薬局薬学
Online ISSN : 2434-3242
Print ISSN : 1884-3077
12 巻 , 2 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
総 説
  • 北垣 邦彦
    2020 年 12 巻 2 号 p. 65-73
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/26
    [早期公開] 公開日: 2020/08/24
    ジャーナル フリー

    薬局等に従事する薬剤師は,この二十数年間毎年増え続け,現在では薬剤師免許をもつ者の約 6 割を占めている.この増加は,医薬分業の進展と切り離して論ずることはできない.2015 年 10 月に厚生労働省が公表した「患者のための薬局ビジョン」では,「医薬分業とは,医師と薬剤師がそれぞれの専門分野で業務を分担し国民医療の質的向上を図るものであり,医師が患者に処方箋を交付し,薬局の薬剤師がその処方箋に基づき調剤を行うことで有効かつ安全な薬物療法の提供に資するものである」とされている.我が国における医薬分業の確立はいまだ道半ばであるが,高齢化社会の急激な進展に対応するための地域医療体制の整備が急務となっており,医薬分業の確立もその一つとなっている.以上の背景からこれまでも薬剤師・薬局のあり方に関わる様々な制度が変わってきており,2019 年の医薬品医療機器等法および薬剤師法の一部改正によって当面の薬剤師・薬局のあり方の整理がついたと考える.本稿では,医薬分業の進展と薬局業務の変遷について振り返り,改正医薬品医療機器等法および薬剤師法から見える現在の薬剤師・薬局の課題と今後の展望についてまとめる.

原 著
  • 前田 守, 長谷川 佳孝, 月岡 良太, 森澤 あずさ, 大石 美也
    2020 年 12 巻 2 号 p. 74-83
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/26
    [早期公開] 公開日: 2020/09/02
    ジャーナル フリー

    国際的な課題の一つである薬剤耐性菌感染症への対策として,抗菌薬の適正使用に向けた薬剤耐性(AMR)対策アクションプランが厚生労働省により 2016 年 4 月に策定された.本研究では,当社グループが 2013 年 4 月~2019 年 3 月に運営していた 248 薬局の処方箋データを用い,抗菌薬の処方回数と処方日数を調査し,有意水準 0.05 とした分割回帰分析で解析した.アクションプラン策定前後で,処方回数推移は−202.3 回 / 月(95%信頼区間(CI):−325.7,−79.0),処方日数推移は −1905.9(95% CI:−2969.0,−842.9)となった.また,2015 年 4 月~2019 年 3 月の第三世代セフェム系,14 員環マクロライド系,ニューキノロン系の月平均処方回数も有意な減少傾向であり,AMR 対策アクションプラン策定が保険薬局の抗菌薬の処方回数と処方日数の減少の一因となった可能性が示唆された.

  • Misuzu Ota, Riho Kusano, Sayaka Hosoya, Takanori Nakajima, Motoki Arak ...
    2020 年 12 巻 2 号 p. 84-94
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/26
    [早期公開] 公開日: 2020/06/02
    ジャーナル フリー
    電子付録

    Summary: A previous evaluation of the pharmaceutical stability of tablets of acetaminophen (AAP)-containing over-the-counter (OTC) drugs formulated with a combination of the excipients erythritol (ET) and crospovidone (CP) revealed that high-temperature and high-humidity storage conditions caused a delayed release of AAP. Reasons for the delay included decreases in micropore volume within tablets due to the deliquescence of ET under high-temperature and high-humidity storage conditions, and the subsequent formation of aggregates after the tablets were returned to room temperature. Erythritol has a pleasant taste, cooling feel, and is an inexpensive and useful flavoring agent. The optimal disintegrant to use with ET as a flavoring agent was studied. The disintegrants tested were CP, low-substituted hydroxypropylcellulose (L-HPC), and sodium starch glycolate (SSG). Results showed that the formulation with the combination of ET and L-HPC disintegrated within 30 min, indicating pharmaceutical stability. Delayed release occurred in Meloxicam, other active pharmaceutical ingredient (API) formulations containing ET and CP. This result suggested that other API formulations including ET and CP also delayed release. It has been confirmed that the use of L-HPC as a disintegrant in acetaminophen preparations could maintain the quality even under high-temperature and highhumidity storage conditions, but other APIs need to be further studied in detail in the future.

ノート
  • 荒井 國三, 浦田 航希, 橋本 昌子, 蓮元 憲祐, 谷山 徹, 卯尾 伸哉
    2020 年 12 巻 2 号 p. 95-107
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/26
    [早期公開] 公開日: 2020/05/13
    ジャーナル フリー

    石川県内の高校生および大学生による医療用医薬品とヘルスケア商品(一般用医薬品,健康食品,サプリメント)の使用実態をアンケートにより調査した.体の具合が悪くなったとき,医療機関に受診しないで健康食品やサプリメントを利用する者が 18.5%(83 名:449 名の健康食品利用者中)いた.さらに,健康食品で病気は治ると,間違って理解している者が 34.5%(654 名)いた.以上より,中高校生に対する「くすり教育」において,医療用医薬品の教育ばかりでなく,健康食品やサプリメントの利用に関する教育を行う必要があると考えられた.

  • 石井 正和, 片岡 千佳, 笠井 英世, 加藤 大貴, 石橋 正祥
    2020 年 12 巻 2 号 p. 108-114
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/26
    [早期公開] 公開日: 2020/05/26
    ジャーナル フリー

    薬局での実務実習における頭痛患者対応の現状と実務実習での経験が学生にもたらす効果を明らかとするために,学生を対象にアンケート調査を行った.対象者は,実務実習を終了した学生(219 名)とした.回収率は 100%(219 名 /219 名)だった.実務実習で,頭痛患者への対応を見学か実施の両方,またはどちらか一方を経験できた学生は 98名,どちらも経験できなかった学生は 121 名だった.実務実習での頭痛患者対応の必要性に関しては,多くの学生がその必要性を感じていた.特に実務実習で見学や実施できた学生は,その思いが強かった.大学で実務実習前に学んだことを実践することができる機会を実務実習で設けることで,学生のモチベーションを高めることができると考える.

  • 松谷 定, 竹下 千尋, 五十嵐 健祐, 阿部 真也, 吉町 昌子, 後藤 輝明, 山城 海渡, 川﨑 直人
    2020 年 12 巻 2 号 p. 115-121
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/26
    [早期公開] 公開日: 2020/06/02
    ジャーナル フリー

    近年,保険薬剤師は業務の多角化が求められている.そのためストレスが増大し,インシデントにつながる危険性がある.しかし,保険薬剤師の職業性ストレスとインシデントの関連性については明らかにされていない.そこで本研究では,保険薬剤師の職業性ストレスとインシデントの関連性について調査した.2016 年12 月,(株)ツルハ(212店舗)の保険薬剤師を対象に勤務状況,職業性ストレス,離職願望およびインシデントに関するアンケートを実施した.回答が得られた 397 名のデータを解析した結果,職業性ストレス因子の「心理的な仕事の負担(量)」「仕事の適性度」「働きがい」と「離職願望」がインシデントと関連することが明らかとなった.本研究で明らかとなったインシデント関連因子を早期に把握できる環境を整える必要性が示唆された.

  • 松村 久男, 飯田 美奈子, 小笠原 健人, 吉田 拓海, 赤池 聡一郎, 栗田 拓朗, 藤掛 佳男, 中島 孝則, 鈴木 勝宏
    2020 年 12 巻 2 号 p. 122-128
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/26
    [早期公開] 公開日: 2020/07/14
    ジャーナル フリー

    粉砕法や簡易懸濁法とは異なる新しい経管投与方法として,試験管ミキサーによる内用固形製剤の懸濁法(以下,ボルテックス攪拌懸濁法)を開発した.24±1℃の常水 20 mL 中でボルテックス攪拌懸濁法を行うと,多くの内用固形製剤は 5 分以内で崩壊懸濁し,8 Fr. 経管栄養チューブ(以下,チューブ)を通過した.簡易懸濁法の適用には,フィルムコーティングの破壊が必要とされる錠剤について,フィルムコーティング錠のままでボルテックス攪拌懸濁法を行ったところ,崩壊懸濁しチューブを通過した.カプセル剤は,24±1℃の条件ではチューブを通過しなかった.以上のことから,ボルテックス攪拌懸濁法は 24±1℃の常水中でもカプセル剤を除く内用固形製剤を崩壊懸濁し,チューブ通過をさせることができ,特に,フィルムコーティング錠において,有用性の高い懸濁方法であると考えられる.

  • 香月 正明, 鳥山 彩, 田嶋 芙紀, 窪田 敏夫, 森内 宏志, 入倉 充
    2020 年 12 巻 2 号 p. 129-134
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/26
    [早期公開] 公開日: 2020/07/21
    ジャーナル フリー

    交付された処方せんは,比較的病院の近くにあり患者の利便性が高い,門前薬局に持ち込まれることが多い.近年,厚生労働省は,かかりつけ薬局の利用を推進している.そこで本研究は,保険薬局はどうあるべきか,患者は何を基準に保険薬局を選択しているのかを明らかにするために,アンケート調査を実施した.その結果,保険薬局を選ぶ基準として,「場所(立地)」と回答した方が最も多い結果となったことより,かかりつけ薬局の利用が推進されているものの,いまだ病院に近いという立地条件を保険薬局の選択基準としている方が多いと考えられる.また,かかりつけ薬局に求めるものを調査したところ,「対応が親切,丁寧である」という意見が多かった.これらの結果より,患者から選ばれるかかりつけ薬局になるためには,医薬品,健康などに関する知識は当然のことながら,患者ニーズに沿った相談に応じることが重要になると考えられる.

症例・事例報告
  • 名徳 倫明, 中田 帆南, 小山 貴士, 萩家 朱美, 堀田 智之, 石坂 敏彦, 宮川 道英, 面谷 幸子, 初田 泰敏, 向井 淳治
    2020 年 12 巻 2 号 p. 135-143
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/26
    [早期公開] 公開日: 2020/06/18
    ジャーナル フリー

    在宅医療を受けている経腸栄養剤施用患者の経腸栄養剤の使用状況と医薬品投与実態に関するアンケート調査を大阪府下の保険薬局を対象に行った.98 名の薬剤師より回答を得た.経腸栄養剤の服薬指導を経験した薬剤師は 47%であった.経腸栄養剤の投与速度や投与時間は「わからない」という回答が多くを占めた.経腸栄養剤施用患者への医薬品の投与タイミングは,大半が医師の指示通りであったが,それ以外の様々なタイミングでの投与も多く見られた.今回の調査から,経腸栄養剤の適切な使用方法が多くの薬剤師においてまだ理解されていないことが見受けられた.薬剤師は,経腸栄養剤の投与方法や医薬品の投与タイミングにおいても大きく関与する必要性が求められる.

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