以上の結果を綜合すると次の如くである.
1. 玉蜀黍雌蕊の大部分は無窒素化合物よりなる.
2. フィトステロールは玉蜀黍雌蕊の一成分であつて, エーテル浸出物より之を分離せり.
3. 玉蜀黍雌蕊中には約2%の還元糖を含有し, 其の大部分は葡萄糖であつて葡萄糖の存在は酒精浸出物よりグリュコーズ, フェニールオサゾンとして證明せり.
4. 玉蜀黍雌蕊中の炭水化物は主として葡萄糖, ペントーザシ, ガラクラン等よりなる.
5. ペントーザンは主としてキシランよりなる.
6. キシランの存在は加水分解生産物よりキシローズのカドミウム鹽及キシロズフェニールオサゾンとして證明せり.
7. ガラクタンの存在は加水分解生産物より粘液酸の生成により之を證せり.
8. 玉蜀黍雌蕊中には少量の有機酸を含有す.
9. 無機物質中の主要なるものは加里鹽であつて其の一部は酒精浸出物中より鹽化加里として分離せり.
本研究をなすに當り試料の普通成分の分析は西野利雄及田中正吉兩氏の助力を得たことを兩氏に深謝す.
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