山梨英和大学紀要
Online ISSN : 2433-6467
Print ISSN : 1348-575X
ISSN-L : 2187-0330
10 巻
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 深津 容伸
    原稿種別: 本文
    2011 年10 巻 p. A-1-A-8
    発行日: 2011年
    公開日: 2020/07/20
    ジャーナル フリー
    日本に初めてキリスト教がもたらされたのは、1549 年にフランシスコ・ザビエルが来日してからであった。以後、多くの宣教師たちによって日本伝道がなされてきたが、カトリックのイエズス会による伝道には現地への適応主義という特徴があった。日本研究や日本人が信じる仏教研究を重視し、日本人に合わせたキリスト教伝道を行った。それはすなわち、ヨーロッパのキリスト教を持ち込むことを避けたということである。日本人に受け入れ易いキリスト教の内容やあり方を目指し、外来の宗教であるキリスト教が日本人の感性と働突しないように努めた。後に、明治期に入るとプロテスタントによる伝道が開始するのであるが、宣教師たちはキリスト教原理を重んじ、それに日本人を適応させようとした。本稿では、この両者の違いが日本人に何をもたらしたか、日本人はキリスト教にいかなる印象を抱くに至ったかを論じていく。
  • 宅間 雅哉
    原稿種別: 本文
    2011 年10 巻 p. A9-A40
    発行日: 2011年
    公開日: 2020/07/20
    ジャーナル フリー
    古英語hamm はイングランドの地名を構成する重要な要素の一つで,「囲い地」「河畔の低地草地」「突起地形」「河川の湾曲部」「島状・谷状地形」を意味する.この古語に由来する地名は,通常語末の綴りが-hamとなり,大半がイングランド南部,とりわけ南東部と南西部に多く分布する.ただ多義的であるが故に,hammがいかなる意味で語源に関与するかによって,これらの地名は異なる分布状況を見せる.また初期には「河川の湾曲部」「河畔の低地草地」の意味で関与する場合が多いが,最盛期には「囲い地」の意味で関与するものが過半数を占める.文献初出年の新旧によって分布の推移を追跡すると,まず南東部に最初の分布が見られ,続いて中西部,中東部,南西部の順で分布域が拡大する.この推移は,『アングロサクソン年代記』に記されたウェセックス王国の版図拡大史にほぼ一致する.
  • 韓 暁宏
    原稿種別: 本文
    2011 年10 巻 p. A41-A58
    発行日: 2011年
    公開日: 2020/07/20
    ジャーナル フリー
    中国は1978 年から今日に至るまで、社会主義市場経済という理念の下で過去に類を見せない目覚ましい経済発展を遂げてきている。この持続的な経済発展には外国からの直接投資が大きな役割を果たしている。具体的に言えば、中国の対外輸出、産業レベルアップ、技術導入、税収と就業等において、外国の直接投資が多大な貢献をなしている。しかし、近年、中国の経済発展モデルの転換に伴って、外国からの直接投資への政策は大きな変化が見られている。このような流れの中で、今までの外国からの直接投資はどのように評価すべきか。また、これからの中国の新たな経済発展モデルへの転換にあたって、外国の直接投資は如何に活用するか。本稿は、中国の経済発展における外国の直接投資への政策、現状、効果を検証したうえ、今後の外国の直接投資においての課題及び活用策を探る。
  • 奥村 弥生
    原稿種別: 本文
    2011 年10 巻 p. A59-A68
    発行日: 2011年
    公開日: 2020/07/20
    ジャーナル フリー
    本研究では,情動の抑制と統制可能感という二つの次元から捉えた表出統制モデルを提示し,情動への評価との関連を通して検討を行った。大学生186名に質問紙調査を行った。分析の結果,怒りの場合は,統制可能感が高いと情動への否定的評価が低く,肯定的評価が高いことが示された。悲しみの場合は,男性の場合に抑制と統制可能感の交互作用が認められた。抑制が高い場合に,統制可能感が低い方(出せない)が高い方(出さない)よりも否定的評価が高いことなどが示された。これについて,各情動の特徴や性役割期待の影響という視点から考察を行った。以上の結果から,抑制と統制可能感による二次元表出統制モデルの有用性と,各スタイルにおける情動への評価の違いが示された。
  • 今村 亨, 窪内 節子
    原稿種別: 本文
    2011 年10 巻 p. A69-A82
    発行日: 2011年
    公開日: 2020/07/20
    ジャーナル フリー
    ここ数年の大学教育において初年次教育が重視されてきている。山梨英和大学では「初年次導入教育」の一環としてアカデミックリテラシーが実施されている。本研究では新入生に自由記述による質問紙法を実施し、全14 回のうちどの授業が効果的であったかを内容分析した。その結果、新入生がキャリア教育やコミュニケーションスキルに興味・関心があることが分かった。今後のアカデミックリテラシーではどのような授業内容が望ましいかが本調査から示唆される結果が得られた。
  • 木村 寛子
    原稿種別: 本文
    2011 年10 巻 p. A83-A94
    発行日: 2011年
    公開日: 2020/07/20
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は、予測を外す表現や非常識な発想をおかしみと共に受け入れる方法を明らかにすることである。そこで、予測とのずれ、常識とのずれを含むユーモアエッセイを分析資料とし、資料から読み取ることのできるずれを確認したうえで、理解主体がずれの他に読み取っているものや感じとっていることを、周囲の表現を見ながら明らかにするという手順で分析を行った。分析の結果、ずれを生み出す表現主体の着眼点や、本題とは無関係な理屈、常識的ではない発想の中にある日常性などを、理解主体はずれの他に読み取っていること、そこからさらに表現主体の心理や現状を想像できるようになることが明らかになった。表現主体の発想を理解し、心情を想像することは、理解主体が表現主体に共感したり期待を抱いたりすることにもつながるだろう。このような過程を通して理解主体の中に生まれる共感や期待が、ずれをおかしみと共に受け入れるために重要だと考えられる。
  • 車 勤
    原稿種別: 本文
    2011 年10 巻 p. A95-A108
    発行日: 2011年
    公開日: 2020/07/20
    ジャーナル フリー
    普遍的に実効力のある倫理は、現代社会に固有な形態である「貨幣・商品社会システム」を根拠にしなければならない。そのシステムの原型を描いたアダム・スミスに、「構成関係」から社会をとらえたスピノザを重ね合わせ、取りだしたのが「互恵交換」の倫理である。その構成要素は以下の6つ。1.人々の対等性、2.恵みを構成関係者全体で享受する、3.与え返される程度に与える、4.人を騙さず、期限などの約束を守る、5.説明責任、6.離脱する自由。これらを社会形成原理として徹底的に実現すること。それはまた、理性の平和的な使用〜略奪目的でも飼育目的でもない〜になる。
  • 石田 千尋
    原稿種別: 本文
    2011 年10 巻 p. 1-32
    発行日: 2011年
    公開日: 2020/07/20
    ジャーナル フリー
    本稿は、上代から中世までの、富士山についての記述をもつ文学作品の表現の分析を通して、古典文学における富士山像の形成と展開の過程を明らかにすることを主たる課題とする。具体的には、常雪を戴く神としての山、人知れぬ情火に燃える山、仙女かぐや姫の本拠としての山、仏のやどる山、などのイメージが、文学作品の解釈を通して形成されてゆく点を中心に論じた。なお本稿は、『山梨県富士山総合学術調査研究報告書』(二〇一二年三月)所収の「富士山と文学上代〜中世」にまとめた富士山の文学史的概説に対する、各論的論考に当たるものである。
  • 川島 秀一
    原稿種別: 本文
    2011 年10 巻 p. 33-48
    発行日: 2011年
    公開日: 2020/07/20
    ジャーナル フリー
    周知のように、『注文の多い料理店』は、賢治文学の巻頭を飾る童話集であり、この「どんぐりと山猫」はその冒頭に配される物語です。もじどおり、賢治文学の出発を告げるテクスト。その〈広告文〉では、「山猫拝と書いたおかしな葉書が来たので、こどもが山の風の中へ出かけて行くはなし。必ず比較をされねばならないいまの学童たちの内奥からの反響です」と記されます。この《おかし》という言葉をめぐって、その招待の理由である〈裁判〉の中から立ちあらわれてくる《意味》の陥穽と、その世界のなかに漂い浮遊しはじめる〈いま〉の〈こども〉たち。変貌しはじめる世界を前に、自意識の翳りをおびはじめた主人公の一郎は、まさに〈おとな〉への境目に立っています。作品は、なによりも〈いのち〉の始原をめぐる〈問い〉をひそめつつ、《意味》に憑かれたようにして生きる《空虚な身体》を顕在化させ、〈いま〉という時間を徹底的に批判し、また相対化しています。本稿は、これら問題の分析とあわせて、賢治文学における「どんぐりと山猫」の意味についても考察しようとするものです。
feedback
Top