山口医学
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55 巻, 5 号
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原著
  • 松本 佳那子, 松田 昌子, 宮田 富美, 唐樋 さや香, 市原 清志, 平野 均
    2006 年 55 巻 5 号 p. 167-172
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/24
    ジャーナル フリー
    【目的】高照度光照射療法は脳内におけるセロトニンやメラトニン分泌に影響を与えることにより種々の疾患の治療法として期待されている.今回我々は,月経前症候群など,月経周期に伴って出現する症状に対する治療への応用を探索するために,高照度光照射が正常月経周期の自律神経機能にどのように影響するかを検討した.【方法】正常な月経周期を示す21±1歳の女子大学生6名を対象に,基礎体温に基づいて卵胞期と黄体期の各時期に,ホルター心電計により24時間の心電図を記録し,その間に白色発光ダイオード(白色LED)照射実験を行った.記録した心電図上のR-R間隔をMEMCALC法によりスペクトル解析し,自律神経機能の変動を観察した.【結果】正常月経周期では副交感神経活動をあらわすHFは黄体期に低く卵胞期に高く,交感神経活動をあらわすLF/HFは黄体期に高く卵胞期に低かった.高照度光照射により黄体期にはLF/HFは,HFに比べ変動が大きかった.【結論】正常月経周期では卵胞期には副交感神経活動がより高まり,黄体期は交感神経活動がより高まった.高照度光照射は黄体期の交感神経活動の反応の変動をより大きくするも,卵胞期にはそのような変化はみられなかった.
症例報告
  • 竹中 博昭, 八木 隆治, 田中 俊樹, 折田 雅彦, 守田 信義, 濱野 公一
    2006 年 55 巻 5 号 p. 173-178
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/24
    ジャーナル フリー
    胃Gastrointestinal Stromal Tumor (GIST) の同時性多発肝転移に対し胃全摘術後にimatinib mesylateの投与が奏効した1例を経験した.症例は75歳,男性.吐血を主訴として来院した.胃内視鏡検査で胃体上部後壁に出血性潰瘍を伴う粘膜下腫瘍 (SMT) が認められた.CT検査では左上腹部を占める12cmの腫瘤と多発性肝腫瘍が認められ,胃全摘術が施行された.免疫染色の結果はKIT (+), CD34 (+), S100 (-), smooth muscle actin (SMA)(-)で,胃GISTと診断された.非切除に終わった肝転移に対し術後1ヶ月目よりimatinib mesylate 400mg/day投与を開始した.投与開始後2ヶ月目のFDG-PETで肝転移巣の集積は消失し,1年後も同様の所見であった.胃GISTの多発性肝転移に対し,原発巣切除後のimatinib mesylate投与は有効と考えられた.
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