われわれは食道癌術後に発生した難治性の乳糜胸に対し酢酸オクトレオチド投与を含めた保存的治療を行った1例を経験した.症例は52歳男性,2012年9月に進行食道癌;c-T3 N1, M0, StageⅡの診断で術前化学療法を施行し11月に右開胸食道亜全摘術,3領域リンパ節郭清術を施行した.術後第3病日より右胸腔ドレーン排液量が増加し乳糜胸と診断した.低脂肪食摂取を継続し同時に酢酸オクトレオチドを連日投与した.一時的に排液量は漸減したが500ml/日以上の排液が持続した.その後ミノマイシンを胸腔内へ追加注入したがすぐには奏効が見られなかった.脂肪制限食と中心静脈栄養(total parenteral nutrition:以下,TPN)を併用した栄養管理を継続させ,再度の酢酸オクトレオチド投与を連日行ったところ徐々に排液量の減少を認め,術後50日目にドレーン抜去し59日目に軽快退院した.2000年以降に報告された食道癌術後乳糜胸の24例を集計して多角的に検討したので文献的考察を加えて報告する.
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