今回われわれは,サルモネラ菌による化膿性脊椎炎を経験したので報告する.症例は15歳女子で腰痛を主訴として来院した.既往歴には,アトピー性皮膚炎,9歳時に肺炎があり,家族歴には特記すべきことはなかった.3カ月くらい前から腰痛があり近医を受診した後,民間療法を受けていたが軽快せず来院した.体幹の可動域制限がみられたが,神経脱落所見はなかった.初診時の血液検査所見はWBC 6,970/μl, RBC 371×104/μl, CRP 3.5 mg/dl, 赤沈120 mm/時間であった.単純X線像でL3/4の狭小化および椎体終板の不整像を,MRI所見ではL3•4椎体はT1Wで均一な低輝度を示し,T2Wで淡い高輝度を示した.針生検術を施行し,椎間板からサルモネラ菌が検出された.硬性コルセットを装着させ,抗生剤投与にて約2カ月で腰痛は消失し,血液検査所見も正常化した.サルモネラ感染症もre-emerging infectious diseaseとして考えておく必要がある.
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