バークシャー雌とイノシシ雄を交配して生産された18頭を飼育して, 生体重50kg, 70kgおよび90kgでそれぞれ6頭ずつを屠殺し, 成長に伴う枝肉成績ならびに理化学的性状の変化を明らかにするために実験を行ない, 次の結果を得た。
1. 体重の増加に伴い枝肉歩留り, 中躯の割合は増加し, 前躯, 後躯の割合は減少した。後躯における骨・脂肪・筋肉の構成割合は, 体重の増加に伴い脂肪の割合が増加し, 骨, 筋肉の割合は減少した。
2. 背脂肪の厚さ, ロース芯の断面積は, 体重の増加に伴い増加した。
3. 筋肉の一般的成分は, 体重の増加に伴い水分含量が減少し, 粗タンパク質含量は増加した。粗脂肪含量に顕著な差はなかった。
4. 胸最長筋の肉色は, 体重の増加に伴い明度, 色相は減少し, 赤色度, 彩度は増加した。 黄色度に顕著な差はなかった。
5. 体脂肪の特性は, 体重の増加に伴う顕著な差はなかった。ヨウ素価は, 背脂肪外層が高く, 次いで背脂肪内層, 腎脂肪の順で, 融点はこれと逆の傾向にあった。
6. 筋肉の脂肪酸組成については, 体重の増加に伴いステアリン酸が減少した。パルミチン酸, 全飽和脂肪酸は, 胸最長筋が, 大腿二頭筋, 半膜様筋よりも有意に高く, リノール酸, 全不飽和脂肪酸はこれと逆であった。体脂肪の脂肪酸組成については, 体重の増加に伴いステアリン酸, 全飽和脂肪酸が増加し, リノール酸は減少した。ステアリン酸, 全飽和脂肪酸は, 腎脂肪が高く, 次いで背脂肪内層, 背脂肪外層の順で, リノール酸はこれと逆の傾向にあった。
以上の結果から, 成長に伴い肉量および肉質が向上する傾向を示したが, 枝肉成績と比較して理化学的性状の変化は少ないと考えられた。
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