合成 Progesterone 剤 Altrenogest (AT) による豚の発情調整試験を行った。
少なくとも1回発情を示した44頭の未経産豚及び経産豚を4区に分け, 1日1頭当り5mg, 10mg, 15mg及び20mgをそれぞれの区に2.5kgの飼料に混ぜて18日間連続経口投与した。AT投与終了後の発情は1日2回チェックし, 授精は新鮮精液による人工授精又は自然交配によった。血清 Progesterone 濃度は, 酵素免疫測定法により測定した。血液は19頭の未経産豚又は経産豚からAT投与前, 投与中, 投与後に採血した。
1) AT投与中の発情は, すべての投与区において抑制された。AT投与終了後の発情は, 5mg区以外の投与区では良好に調整されたが, 5mg区では発情再帰しない豚が増加 (10mg, 15mg区: P<0.05, 20mg区: P<0.01) した。発情再帰日数は, 投与量が多くなる程長くなる傾向があった。受胎率及び産子数は, それぞれ15mg区では75.0%, 9.8±3.4頭, 20mg区では75.0%, 9.4±3.1頭であった。
2) AT投与中の血清 Progesterone 濃渡は, 全投与区において黄体期は高く (15.1~53.6ng/m
l), 発情周期の17日までには減少し, 発情期は低値 (<1.3ng/m
l) であった。次の黄体期においては血清 Progesterone 濃度は低値のままであった。AT5mg区以外の全投与区では血清 Progesterone 濃度は, AT投与終了後6~7日目まで低値 (<2.0ng/m
l) が続き, 9~10日目には10.0~15.8ng/m
lに上昇 (10mg, 20mg区: P<0.001, 15mg区: P<0.05) した。しかし, 5mg区においては, AT投与終了後から9~10日まで徐々に上昇し続けた。
この結果から, ATを1日1頭当り15又は20mgを18日間連続経口投与することにより, 繁殖性を低下させることなく豚の発情を有効に調整できることが明らかになった。
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