日本養豚学会誌
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25 巻, 3 号
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  • 押田 敏雄, 吉川 康宏, 小林 義浩, 坂田 亮一, 田中 享一
    1988 年 25 巻 3 号 p. 113-118
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    血清成分の測定値はLDH活性値, LDH分画, GOT, GPTなどの項目では溶血による影響を受けることが知られているが, 肉眼的な血清の溶血程度の判定は測定者により異なることが多く, 必ずしも一様ではない。そこで今回, 人為的に種々な溶血血清を作成し, その肉眼的な溶血程度と吸光度およびヘム色素含量の関係について検討した。
    その結果, 総ヘム色素量と吸光度との関係において溶血液添加血清 (実験的溶血血清) および失宜溶血血清 (いわゆる溶血血清) にはそれぞれ高い相関が認められた。また, 両者は共通の回帰係数 (b=0.0675) をもって相関が成立し, 肉眼的な溶血段階は吸光度により, 次のように区分できた。
    溶血程度 (-): <0.400, 溶血程度 (±): 0.400~0.650, 溶血程度 (+): 0.650~0.900, 溶血程度 (++): 0.900~1.700, 溶血程度 (+++): 1.700<
  • 押田 敏雄, 吉川 康宏, 小林 義浩, 坂田 亮一, 田中 享一
    1988 年 25 巻 3 号 p. 119-124
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    豚血清, 特に溶血血清の濃淡および色調を簡単, 正確, 客観的に判定する方法を確立するために, 溶血程度判定の基準となる豚溶血血清色見本 (Color sample for hemolytic serum of pig, 以下CSH) を食用色素で試作した。
    血清の色はヘモグロビン, ビリルビン, アルブミン, 脂肪などの赤色や黄色を基調とするので, 赤味としてトマト液, 黄色味としてSN8液をベースとして, 他に白濁感を惹起する要素としてシュガーエステルをそれぞれ用いて調製した。CSHの試作は種々の人為的溶血程度血清を用い, その Hunter Lab 値と吸光度に基づいて設定した。
    さらに, 61頭分の豚血清 (非溶血血清, 溶血血清) をCSHにより5つの溶血程度 (-~+++) に区分し, これらの各溶血程度の血清とCSHの Hunter Lab 値, 吸光度を比較検討したところ, 溶血程度ごとにほぼ一致した結果を得, その適用率は平均で約90%であった。
  • 入江 正和
    1988 年 25 巻 3 号 p. 125-132
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    飼料への油脂とシクロプロペノイド脂肪酸を含むカポック粕の添加が豚の脂肪性状に及ぼす影響について, 4ヵ月齢の子豚12頭を用いて調べた。大豆油添加量を3水準 (0, 5, 10%)とし, カポック粕の添加量を2水準 (0, 5%) とした3×2要因配置の乱塊法によって試験を実施した。その結果の要旨は次のとおりである。検査したすべての脂肪蓄積部位 (背脂肪外層, 内層, 腎臓周囲脂肪) で油脂添加による影響がみられ, 油脂添加に伴って脂肪の融点が有意に低下し, 屈折率とヨウ素価が有意に上昇した。脂肪酸組成では, 油脂添加に伴ってC16:0, C18:0といった飽和脂肪酸含量が低下し, C18:2脂肪酸含量が上昇した。カポック粕の添加は, すべての部位で融点を有意に上昇させたが, 屈折率, ヨウ素価にはあまり影響を与えなかった。脂肪酸組成では, カポック粕の添加に伴い, すべての部位でC18:0含量とC18:0/C18:1比が有意に増加したが, C18:2含量は影響を受けなかった。油脂とカポック粕添加による交互作用が融点及びC18:1含量でみられ, 油脂添加含量が高い飼料ではカポック粕の影響は少なかった。また, その影響は部位により異なっていた。以上の結果から, カポック粕の軟脂防止効果は, 飼料の油脂含量によって影響され, その影響は体脂肪の蓄積部位によって異なることが示唆された。すなわち, カポック粕の添加効果は飼料中の油脂含量が低い場合には特に腎臓周囲脂肪で顕著にみられたが, 飼料中の油脂含量が高まるにつれ, その効果は減少し, 特に背脂肪ではほとんど認められなくなった。
  • 伊藤 米人, 近藤 ゆり, 楢島 敏男, 谷中 匡, 枡田 博司
    1988 年 25 巻 3 号 p. 133-141
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    合成 Progesterone 剤 Altrenogest (AT) による豚の発情調整試験を行った。
    少なくとも1回発情を示した44頭の未経産豚及び経産豚を4区に分け, 1日1頭当り5mg, 10mg, 15mg及び20mgをそれぞれの区に2.5kgの飼料に混ぜて18日間連続経口投与した。AT投与終了後の発情は1日2回チェックし, 授精は新鮮精液による人工授精又は自然交配によった。血清 Progesterone 濃度は, 酵素免疫測定法により測定した。血液は19頭の未経産豚又は経産豚からAT投与前, 投与中, 投与後に採血した。
    1) AT投与中の発情は, すべての投与区において抑制された。AT投与終了後の発情は, 5mg区以外の投与区では良好に調整されたが, 5mg区では発情再帰しない豚が増加 (10mg, 15mg区: P<0.05, 20mg区: P<0.01) した。発情再帰日数は, 投与量が多くなる程長くなる傾向があった。受胎率及び産子数は, それぞれ15mg区では75.0%, 9.8±3.4頭, 20mg区では75.0%, 9.4±3.1頭であった。
    2) AT投与中の血清 Progesterone 濃渡は, 全投与区において黄体期は高く (15.1~53.6ng/ml), 発情周期の17日までには減少し, 発情期は低値 (<1.3ng/ml) であった。次の黄体期においては血清 Progesterone 濃度は低値のままであった。AT5mg区以外の全投与区では血清 Progesterone 濃度は, AT投与終了後6~7日目まで低値 (<2.0ng/ml) が続き, 9~10日目には10.0~15.8ng/mlに上昇 (10mg, 20mg区: P<0.001, 15mg区: P<0.05) した。しかし, 5mg区においては, AT投与終了後から9~10日まで徐々に上昇し続けた。
    この結果から, ATを1日1頭当り15又は20mgを18日間連続経口投与することにより, 繁殖性を低下させることなく豚の発情を有効に調整できることが明らかになった。
  • 神部 昌行, 岡 基, 吉田 實
    1988 年 25 巻 3 号 p. 142-146
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    子豚を用いる生物定量法によりアルコールの有効エネルギーを測定した。
    体重約10kgの離乳子豚5頭を単飼して, ミルクと育成飼料175gを1日2回給与して予備飼育した。ミルクは子豚用調整乳40gを200mlの水に溶いたものである。子豚は, 4~5日でこの給与法になれて, ミルクを1分足らずで飲み, 育成飼料を30~40分で全部食べるようになり, その後, 体重が11~12kgに達したときから本試験に移った。
    本試験では, 全頭に所定量の育成飼料を与え, そのほかに, 0-0区ではミルクのみ, 1-0, 2-0区ではショ糖の1および2単位量を, 0-1, 0-2区ではアルコールの1および2単位量を, それぞれ, ミルクに溶いて給与した。試験は, それぞれ同腹の雄5頭と雌5頭を用いて2回実施した。試験期間は5週間とした。
    共分散分析法により, 初体重による補正をした終体重について, 5点傾斜比法により, 子豚の体重増加に利用されたアルコールの有効エネルギーを計算した。
    アルコールの有効エネルギーは, 4.02kcal/g, 95%信頼区間9.5~2.4kcal/gと推定された。総エネルギー7.1kcal/gのうちの57% (134~34%) が子豚の体重増加に利用されていた。
  • 戸津川 清, 萱場 猛夫, 大澤 有子, 上野 宏樹, 須藤 信也, 富樫 稔
    1988 年 25 巻 3 号 p. 147-152
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    Percoll 密度勾配遠心法による豚精子の分離を目的として, 遠心分離後の精子の分布と性状およびキナクリンマスタード染色による F-body 様小体の検出さらには分離後の各分画における F-body 様小体の検出率について比較検討し, 次のような結果を得た。
    1) Percoll による分離 (7密度層: 比重1.06~1.2, 1100rpm, 30分) の結果, 活発な前進運動をしている精子は下部4分画層において認められた。
    2) 原精液中において, キナクリンマスタードにより染色された F-body 様小体を有している精子の検出率は43~44%であった。
    3) 分離操作後, 各分画層より回収した精子の F-body 様小体検出率は上層に比べて第7および第8分画層において低い傾向が認められ, X精子が分離されていることが推察された。
  • 金丸 英伸, 丹羽 太左衛門, 門司 恭典, 鈴木 伸一
    1988 年 25 巻 3 号 p. 153-160
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    桃園種精液の有効利用を目的として, 精液の一般性状を調査するとともに, ストロー法および錠剤化法による凍結保存を行ない, 凍結保存処理過程における精子の生存性, 形態および代謝能について調査し, 改良種のそれと比較検討した。
    1) 3頭の桃園種より採取した43例の射精所要時間は7分27秒, 1射精の精液量は176.65±5.54ml, 液体部量は121.70±4.66ml, 膠様物量は54.05±2.81g, 精子濃度は1.64±0.17億/ml, 1射精の総精子数は217.1±30.18億, 精液のpHは7.02±0.04, 採取時の精子生存指数は80.70±1.18, 異常精子率は32.82±3.00%であった。
    2) 凍結保存処理過程が進むに従い, 精子生存性は低下傾向を示し, 精子のアクロソーム損傷率およびGOT値は増加した。精子の酸素消費量と精液中の乳酸蓄積量は凍結融解後で最も高く, 次いで第1次希釈後, 凍結前の順であった。
    3) 凍結融解後の精子生存指数はストロー法では43.5±1.67, 錠剤化法では51.25±2.51と錠剤化法がストロー法に比べ良好な値であったが, アクロソーム損傷率はストロー法が低い値で, GOT値および代謝能については有意差は認められなかった。
    4) 桃園種精子の生存性および代謝能は改良種精子に比べ低い値を示したが, 人工授精を実施する上において充分な結果であるものと思われる。
  • 杉本 亘之
    1988 年 25 巻 3 号 p. 161-165
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    養豚飼料において, 可消化養分含量からDE含量の推定をはかるため, 消化試験の結果得られた, 延53種類の飼料のデータを用いて解析した。DE含量 (Y: kcal/g) とTDN含量 (X: %) との間には, Y=0.151+0.043X (r=0.910, P<0.01) の関係が, DE含量 (Y: kcal/g) とDCP含量 (X1: %), 可消化粗脂肪含量 (X2: %),可消化NFE含量(X3 :%)および可消化粗繊維含量(X4: %)との間には, Y=-0.392+0.0663X1+0.0979X2+0.0459X3+0.0541X4 (R=0.955, P<0.01) の関係が, DE含量 (Y: kcal/g) とDCP含量 (X1: %) およびTDN含量 (X2: %) との間には, Y=-0.182+0.0181X1+0.0437X2 (R=0.954, P<0.01) の関係がそれぞれ得られた。これらのことから, TDNおよびDCP含量を用いてDE含量の推定をはかることが, 精度および実用上, 利用性が高いものとみなされた。
  • 高橋 敏能, 桜井 好晴, 萱場 猛夫, 太田 三郎
    1988 年 25 巻 3 号 p. 166-168
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
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