油温脱水法によって製造した食品残渣 (フライドミール) を肉豚に給与し, 発育, 屠体と脂肪の性状に及ぼす影響を調査した。
開始時平均体重69.9kgの子豚12頭を試験飼料の種類によって次の4区に分けた。1区; 豚産肉能力検定飼料 (対照区), 2区; 2号油で油温脱水処理した食品残渣 (フライドミール1), 3区; 硬化魚油で油温脱水処理した食品残渣 (フライドミール2), 4区; 蒸気加熱で処理した食品残渣 (蒸煮残飯)。なお, 2~4区の飼料にはビタミン・ミネラルプレミックスを添加した。供試豚は試験開始から2週間毎に体重と飼料摂取量を調査し, 6週間後一斉に屠殺し, 屠体の成績と脂肪の理化学的性状を調べた。
試験開始から2週間における1日増体量と飼料摂取量は, 対照区に比べてフライドミール1, 2と蒸煮残飯を給与した区で劣っていたが, その後2~6週における発育ならびに飼料摂取は順調であった。
屠体長, 背腰長II, 背脂肪厚 (肩, 背, 腰) には飼料による影響は特にみられなかった。
体脂肪の脂肪酸組成には飼料の影響がみられ, 硬化魚油で油温脱水処理した食品残渣, すなわち, フライドミール2の給与は豚の体脂肪中のC14:0, C16:1含量を増加させた。フライドミールを含む2~4区の食品残渣を給与した豚ではC18:2, C18:3含量が対照のものに比べて高かった。背脂肪外層, 内層, 腎臓周囲脂肪における屈折率とヨウ素価は, 対照区に比べて2, 3, 4区で高い傾向を示した。
以上のことから, フライドミールの給与は馴致期間を長くとる必要があると考えられるが, ビタミン, ミネラルを添加したフライドミールは単独でも充分飼養が可能であり, また, 油温脱水法における熱媒体としての油の違いで豚の体脂肪の脂肪酸組成が異なることがわかった。
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