日本養豚学会誌
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29 巻, 1 号
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  • 田邉 亮一, 安藤 四郎, 池田 敏雄, 秋田 富士, 神部 昌行, 小澤 明仁, 佐藤 正寛, 古川 力, 西田 朗, 中井 博康
    1992 年 29 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1992/03/10
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    梅山豚およびLW・D豚にアルファルファミールを多給した場合の内臓形質の変化について, 梅山豚26頭, LW・D豚14頭を用いて検討した。アルファルファミール添加によって, TDN70, 60, 50%の飼料を調製し, 自由摂取により給与した。供試豚は体重90kgで絶食後屠殺した。屠殺後, 各臓器の重量, 腸の長さを測定した。測定データの解析には最小二乗法を用いた。
    内臓総重量, 腸間膜, 大網膜, 胃, 大腸の重量は, 梅山豚の方が有意に重かった (大腸重量のみP<.05, 他はP<.01)。大腸の長さも梅山豚の方が有意に長かった(P<.01)。心臓, 肺, 脾臓の重量は, LW・D豚の方が有意に重かった (脾臓のみP<.05, 他はP<.01)。胃の重量, 小腸の重量, 長さには有意差はみられなかった。TDN水準の低下につれて, 肝臓, 盲腸の重量が有意に重くなり (いずれもP<.05), 心臓の重量が有意に軽くなった (P<.01)。
    いずれの測定項目においても, TDN水準と品種の組み合せによる交互作用の効果は有意にならなかった。
  • 大石 孝雄, 兵頭 勲, 小嶋 禎夫, 田中 一栄
    1992 年 29 巻 1 号 p. 7-15
    発行日: 1992/03/10
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    東京都畜産試験場では, 高品質豚肉生産等を目指した合成系統を作出するため, 北京黒豚7, 鹿児島バークシャー11, 英国バークシャー10, デュロック種20の合計48頭の基礎豚を導入した。そこで, これら導入基礎品種の遺伝的特性解明の一環として, それらの血液型および蛋白多型を調査した。調査した座位は, 赤血球抗原型8, 血清蛋白質型5, 赤血球酵素型5および血清アロタイプ2の合計20座位である。調査した20座位のうち, 北京黒豚は11, 鹿児島バークシャー, 英国バークシャー, デュロック種はそれぞれ15座位で多型がみられた。CpとAm型以外は少なくとも1品種・系統以上で多型がみられた。遺伝子頻度を基に遺伝的変異性を示す4指標値を算出し, 4品種・系統を比較すると, 北京黒豚で最も変異性の小さい傾向がみられ, 逆にデュロック種は最も変異性が大きかったが, 4品種・系統間に大きな違いはなかった。遺伝子頻度を基に4品種・系統間の遺伝的距離を算出し系統樹を作成したところ, 鹿児島と英国バークシャーが最も近く, デュロック種, 北京黒豚と順次離れた位置を占めていた。北京黒豚および4品種・系統を混合した合成基礎集団について, それらとこれまでに調査した15品種との間で遺伝的距離を計算したところ, 北京黒豚は小耳種と最も近く, 欧米系の大ヨークシャー種, 中ヨークシャー種ともかなり近く, 一方ハンプシャー種とは最も遠い距離を示した。合成集団でみたとき, ランドレース種と最も近い距離を示し, 桃園種と最も遠い距離であった。系統樹では北京黒豚は一応アジア系群に属するが, 中国大陸系とはかなり離れた位置にあり, また合成集団は欧米系群に含まれ, ランドレース種と非常に近い位置を占めていた。
  • 岡田 光弘
    1992 年 29 巻 1 号 p. 16-21
    発行日: 1992/03/10
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    粉塵飛散の要因である密度と粒径を測定した。試料は前報のものと同一である。密度は, 容量約50mlのピクノメータを用いて測定した。粒径は, 粉塵の走査型電顕像と長さを表示するマークの双方をノギスで比較計測した。落下速度は, これらの成績と試料採取時の空気の粘性係数と密度をストークスの公式に代入して求めた。結果は次のとおりであった。
    (1) 豚舎粉塵の水に対する溶出率は, 平均20.46% (17.12~22.95%) であった。他方, キシレンに対する溶出率は, 水に比べると極めて低く平均1.16% (1.08~1.25%) であった。したがって, 粉塵の比重測定のための媒質としては, 水よりもキシレンのほうが望ましいことが示された。(2) この結果にもとずき, キシレンを用いて豚舎粉塵の密度を測定した。風乾物 (現物) の密度は, 平均1.4374 (1.4308~1.4486) であった。これより水分を減じる計算により求めた乾物の密度は, 平均で風乾物より約0.03大きい1.4677 (1.4618~1.4778) となった。(3) 粉塵の長径と短径の算術平均を粒径とした。平均粒径は, 15.2±3.1μm (2.6~35.45μm) であり, 10μm未満のいわゆる吸入性粉塵は25.7%を占めていた。(4) これらの測定値ならびに空気の密度と粘性係数をストークスの公式に代入し, 粒子径を (X: cm), 落下速度を (Y: cm/sec.) とする式Y=3,509,153.942X2を得た。平均粒径 (15.2μm) をこの式に代入したところ, 落下速度は約8.1cm/sec. と算定された。
  • 松岡 昭善, 山野 裕, 池田 周平, 鈴木 伸一, 山中 良忠
    1992 年 29 巻 1 号 p. 22-27
    発行日: 1992/03/10
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    台湾在来種である桃園種の雄, 雌各3頭を豚産肉能力検定飼料を給与して生体重30kgより約90kgまで肥育し, 雌雄間の枝肉形質, 筋肉の一般化学的組成および筋肉, 体脂肪の脂肪酸組成とヨウ素価の差異を明らかにすることを目的として実験を行った。
    枝肉歩留は雄よりも雌が高かったが, 後躯の骨および筋肉の割合は雄において, 脂肪の割合は雌において高い値を示した。前躯, 中躯および後躯それぞれの割合は, 雄では前躯>後躯>中躯, 雌では前躯>中躯>後躯の順であった。第3~4胸椎間, 第11~12胸椎間, 第3~4腰椎間およびランジリにおける脂肪層の平均値は雄が1.2cm, 雌が2.4cmで, 雄は雌の1/2の厚さであった。腎臓周囲脂肪の重量についても雄は雌の約1/2であり, ロース芯断面積については顕著な差はなかった。
    胸最長筋, 大腿二頭筋および半膜様筋の一般化学的組成においては, 各成分とも雌雄間に顕著な差はなかったが, 雌の脂肪含量に若干高い傾向がみられた。
    筋肉脂質の脂肪酸組成は雄でC18:2, C20:2, C20:3, C20:4, C20:5, C18:2/C18:0および全不飽和脂肪酸含量が高く, 雌ではC16:0, C18:1および全飽和脂肪酸含量が高い傾向にあった。体脂肪の脂肪酸組成は雄ではC18:2, C20:2, C20:4, C18:2/C18:0および全不飽和脂肪酸含量が高く, 雌ではC16:0, C18:1および全飽和脂肪酸含量が高い傾向にあった。体脂肪の屈折率およびヨウ素価は個体差が大きかったが, 雄において高い傾向にあった。従って, 雄は雌に比べて体脂肪がやや柔らかく, 肉のしまりも少し劣ることが窺えた。
  • 2. 子豚の絶食時の熱発生量について
    伊藤 澄麿, 栗原 良雄, 池田 周平, 鈴木 伸一, 祐森 誠司, 杉村 敬一郎
    1992 年 29 巻 1 号 p. 28-31
    発行日: 1992/03/10
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    HALDANE 型の呼吸試験装置を用いて生後35日齢以降の体重13~23kgの中ヨークシャー種雄6頭を用いて, 25℃の環境温度の下で絶食時の熱発気量を求めた。その結果, メタボリック・ボディサイズ (x: kg0.75) と熱発生量 (Y: kcal/kg0.75・day) との間に, r=-0.83と高いマイナスの相関係数が得られ, Y=-2.14x+140.97の一次の回帰式が得られた。従来得られている成績, すなわち体重25kg以上の豚の絶食時の熱発生量は体重の増加に伴い減少するが, その量はわずかでほとんど無視できる。しかし, 今回得られた体重25kg以下の絶食時の熱発生量の減少割合は, 体重25kg以上に比べて大きく, この時期の子豚のエネルギー代謝を検討する際に両者の関係は無視できないものと考えられた。
  • 高田 良三, 設楽 修, 斎藤 守, 森 淳
    1992 年 29 巻 1 号 p. 32-40
    発行日: 1992/03/10
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    体重約60kgのランドレース種15頭を用い, 中鎖脂肪 (MCT) および長鎖脂肪 (LCT, 大豆油) を飼料中に8%添加して28日間の飼養試験を行った。発育, 飼料の消化率, 背脂肪厚, 脂肪酸組成を測定し, 以下の結果を得た。
    1) 1日当りの飼料摂取量は対照区に対し, LCT区, MCT区で少ない傾向を示したが, 逆に可消化エネルギー (DE) 摂取量はそれぞれ8.0%, 4.6%多かった。1日平均増体量は対照区の850gに対しLCT区で9.3%多かったが, MCT区では差は認められなかった。その結果, 飼料効率は対照区に対してLCT区で有意に高い値 (P<0.05) を示し, MCT区においても有意ではなかったが高い傾向がみられた。
    2) LCTの消化率は92.4%であったが, MCTのそれは100%ときわめて良好であった。LCTおよびMCTのいずれの添加においても他の飼料成分の消化率に大きく影響は及ぼさなかった。しかし飼料摂取量と, LCTおよび粗蛋白質の消化率との間に有意 (P<0.05) な負の相関関係が認められた。
    3) 背脂肪厚は, カタ, セ, コシいずれの部位においてもLCT区が厚い傾向を示し, 3部位平均値で, 対照区の30.1mmに対しLCT区では32.4mmであった。しかしMCT区では対照区との差は認められなかった。
    4) 背脂肪内・外層および腎脂肪の脂肪酸組成では, LCT区でリノール酸などの不飽和脂肪酸含量が有意に多く, 飽和脂肪酸およびモノ不飽和脂肪酸が少なかった。しかしMCT区ではLCT区とは大きく異なり, 飽和脂肪酸が多く, モノ不飽和脂肪酸が少なかった。
  • 曽根 勝, 知久 幹夫, 吉田 光敏, 番場 公雄, 小笠 晃
    1992 年 29 巻 1 号 p. 41-50
    発行日: 1992/03/10
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    豚精液の希釈液として Polyzanon, 希釈保存液として BTS, Kiev, 保存液として Zolresco, Modena, および Butschwiler の計6種類を用い, 15, 10, および5℃の保存温度における豚精子の生存性および精液混入細菌の影響を検討し, 次の成績を得た。
    1. 精液由来腸内細菌 (E. coli, Serratia sp, Klebsiella sp Enterobacter sp, Citorbacter sp) の大部分がペニシリンG (PCG) とストレプトマイシン (SM) に対して抵抗性を示した。アミノ配糖体抗生物質 (AMK, DKB, GM) とポリミキシンB (PM-B) に対しては, 高い感受性を示した。
    2. 抗生物質を含まない6種類の希釈精液に腸内細菌 (E. coli)を105/ml添加し, 15℃で保存したところ, 3日後には精子活力 (卅) は平均0~30%, 先体正常率は平均15~24%と精子生存性の急速な低下が認められた。
    3. 6種類の希釈保存液をい, これら希釈精液にGM100~150μg/mlおよびPM-B100~150単位/mlを添加し, 15, 10, および5℃で7日間保存した精液の性状は, Modena, Butschwiler, および Zolresco が他に比べて優れており, 精子活力は平均75~80%, pHは平均6.6~7.0であった。
    希釈液として Polyzanon を用いて保存した精液の性状は最も悪く, 精子活力は平均49~52%であった。
    希釈保存液としてBTSおよび Kiev を用いたものの精液性状は, これらの中間の成績で, 精子活力は平均67~69%であった。なお, いずれの希釈保存精液からも細菌はほとんど検出されなかった。
    4. 保存液 Modena および Butschwiler を用い, 15および10℃で10~21日間保存した精液の性状は10~16日間安定しており, 精子活力は平均67~78%であった。
    5. Modena 保存液を用い, 10℃で7日間, および14日間保存した精液の人工授精による分娩率は100%, および57.1%で, 産子数は平均10.2頭, 12.8頭であった。
    6. Modena 保存液を用い, 10℃で7日間および14日間, 5℃で7日間保存した精液による体外受精率の平均は, それぞれ79.5%, 68.1%, 33.7%であった。
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