近赤外分光分析法が食肉流通段階における軟脂豚の客観的評価法として用いられる可能性を検討するため, 近赤外分光分析計の吸光度と脂肪酸組成との関係を調査した。近赤外分光分析計は, INSTALAB 600 (DICKEY-john 社製) 2台を用い, 20波長 (1445~2345nm) の測定を行った。
まず, 32点の試料を用いて, 近赤外分光分析法による脂肪酸組成算出のための重回帰式を作成した。次に, これと異なる64点の試料について, この重回帰式で脂肪酸組成を算出し, ガスクロマトグラフィーで測定した値と比較して近赤外分光分析法の有効性を検討した。
飽和脂肪酸含量を測定した結果, 1722, 1734および1818nmの3波長を用いた検量線が最も優れていた。これらの波長は, 飽和脂肪酸に帰属される。
近赤外分光法による測定値と化学分析値との間に高い相関 (r=0.934) が認められ, 予測値の標準誤差 (SEP) は0.918%と小さく安定していた。35℃における測定結果は, 20℃における測定結果とほぼ同様の成績を示した。したがって, 近赤外分光分析法は, 食肉流通段階における軟脂豚評価を非破壊により簡易・迅速に, 測定できる可能性を持つ方法であることが明かとなった。
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