豚の血漿中プロジェステロン (P) の測定に酵素免疫測定 (EIA) 法を用いたオブチェック血液用EIAキット (オブチェック) およびオブチェックカウサイドW牛全乳用EIAキット (カウサイドW) の応用を試みた。
10ng/m
l以内の血漿については希釈せずに検討した結果, オブチェックによる測定値 (EIA値) とラジオイムノァッセイ法による測定値 (RIA値) との間には高い相関 (r=0.956, P<0.001, n=14) が認められた。しかし豚の血液中P値はオブチェックの測定上限 (10ng/m
l) を越えることが多いたあ, 高P値 (10ng/m
l以上) の豚被検血漿を希釈して測定する方法を検討した結果, 去勢雄血清または血漿, あるいは正常雄血清を用いて2~5倍希釈する方法が有用と認められた。希釈測定の成績と直接無希釈測定成績の集計において, EIA値とRIA値との間には高い相関 (r=0.961, p<0.001, n=34) が認められた。
特別な器具機材が必要なく短時間にフィールドで測定可能な, 定性測定用キットのカウサイドWでは, 付属の標準液Sとオブチェックの標準液 (0.5, 1, 5, 10ng/m
l) を標準対照に用いることにより, 豚血漿P値の半定量測定が可能であった。
これらのキットにより, 豚血漿中のP濃度を正確かつ簡便迅速に測定できること, およびこれら簡易測定法は獣医臨床領域において豚の妊娠や繁殖障害の診断等へ応用できると考えられる。
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