著者らは養豚経営において重要な要因である母豚の繁殖能力に対する産次および品種の影響を分析した。
分析に用いた繁殖記録は, 群馬県17戸, 新潟県18戸の農家において, 1987年1月から1991年12月までの5年間に繁殖用雌豚 (母豚) 2,367頭から得られたもので, 合計13,923腹のフィールド・データを利用した。分析した繁殖形質は生存産子数, 死産子豚数, 生時一腹子豚体重, 21日齢一腹子豚体重の4形質であり, 品種はランドレース種 (L) と大ヨークシャー種 (W), およびその交雑種 (L×W, W×L)である。数学モデルで取り上げた要因は産次, 品種, 地域および交互作用の各効果と分娩年一季節グループの3次までの回帰係数である。
一腹あたり生存産子数は, LとWLは5産で, またWとLWは4産で最も大きい値を示した。死産子豚数は4品種とも2産で最も小さい値を示し, 3産から増加した。生時一腹子豚体重はWLを除き4産で最も大きい値を示した。21日齢一腹子豚体重はLを除き2産および3産で最も大きい値を示した。また, 生時一腹子豚体重と21日齢一腹子豚体重は4品種とも初産と2産の産次間差が他の産次間に比べ最も大きな値であった。
一腹当たり生存産子数の4産次までの最小二乗平均値は, L, W, LW, WLの順にそれぞれ, 10.59頭, 10.09頭, 11.27頭, 11,21頭であり, 品種別能力はLW=WL>L>Wの順位であった。死産子豚数では同様に0.91頭, 0.80頭, 0.61頭, 0.71頭であり, 品種別ではL>W>WL>LWの順であった。生時一腹子豚体重では16.63kg, 15.12kg, 16.71kg, 16.83kgであり, 品種別ではL=LW=WL>Wの順であった。21日齢一腹子豚体重では65.69kg, 62.42kg, 62.50kg, 63.78kgであり, 品種別ではL>WL=LW=Wの順であった。
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