肥育豚の発育, 飼料要求率, 群のバラツキおよび枝肉に及ぼすウェットフィーディングの効果を解明するために, 259頭の肥育豚を用いて5回の飼養試験を実施した。試験に供した給餌器は, 従来型セルフフィーダー (対照区), A社およびB社製自然落下型ウェットフィーダー (ウェットA区およびB区), C社製飼料切出し型ウェットフィーダー (ウェットC区) の4種類であった。また, ウェット区をプールして1頭口飼養頭数の影響についても検討した。
肥育豚の1日平均増体量 (DG) に及ぼす給餌器の影響は, 有意差としては検出されなかったが, ウェット各区が対照区より良好な傾向を示した。この増体改善傾向は去勢雄では認められなかったが, 雌では明瞭であった。飼料要求率はウェット各区が有意に良好で, 肥育全期間をとおして6~9%改善さ, れた。また体重の群内バラツキの推移では, 増体にともない対照区よりもバラツキは小さくなる傾向が認められた。ウェットフィーダー1頭口飼養頭数による影響は, DGにおいて有意の効果が認められ, 1頭口飼養頭数が増加するに従いDGは低下した。枝肉の背脂肪厚, 腹脂肪厚には, 有意ではないものの, ウェット各区は対照区よりも, 去勢雄では薄く, 雌では厚めとなる傾向が認められた。
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