本試験は, 子豚の群編成が血漿コルチゾール濃度, 白血球数, 白血球百分比, 単球の貪食能, リンパ球機能に及ぼす影響を明らかにする目的で実施した。LW種去勢雄のSPF子豚, 4頭/腹および8頭/腹の計12頭を用いた。生後63.0日齢に, 8頭/腹のうち4頭の子豚を, 別の1腹4頭を飼育している豚房に移動し, 13日間同居させた。移動した子豚を移動子豚, また, 移動せずに編成した子豚を先住子豚とした。残りの1腹8頭のうちの4頭は, 編成せずに対照子豚とした。編成直後から2時間, 先住子豚は移動子豚に対して, 激しく耳を噛むあるいは前肢で肩に乗るなどの攻撃がみられた。その後, 子豚間の闘争は試験終了まで全くみられなかった。編成後2時間における血漿コルチゾール濃度は, 編成直前に比較して有意に高く, 編成後24時間には編成直前の値まで低下した。試験期間中, 白血球数と白血球百分比には有意な変動は認められなかった。先住子豚の編成後3日における, ポークウィードマイトジェン (PWM) およびフィトヘマグルチニン (PHA) により誘発されたリンパ球幼若化能 (
in vitro リンパ球機能検査) は, 編成前3日に比較して有意に低下していた。先住子豚および移動子豚における, 単球の酵母貪食能およびPHA皮内反応 (
in vivo リンパ球機能検査) は, 編成前3日に比較して編成後13日まで有意に低下していた。対照子豚でも, 血漿コルチゾール濃度が軽度上昇し, 編成後3日に一時的な単球貪食能の低下がみられたが, PHA皮内反応は編成後13日でも低下していた。
これらの成績から, 群編成は子豚にとってストレスであり, 編成後少なくとも13日間, リンパ球機能と単球貪食能は抑制されていることが示された。
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