アミノ酸添加の低蛋白質飼料への乾燥リンゴジュース粕の配合が, 肥育豚の発育, 窒素排泄量および背脂肪厚に及ぼす影響について調べた。標準的な粗蛋白質 (CP) 飼料 (標準CP飼料), アミノ酸添加低蛋白質飼料 (低CP飼料) および低CP飼料にリンゴジュース粕を10%配合した飼料 (低CPリンゴ粕飼料) の3種の飼料を用い, 体重80kgから出荷時まで, 各飼料処理区について12頭の肥育豚を供試し, 不断給飼, 自由飲水の条件下で飼養した。試験期間中に, 酸不溶性灰分を指標物質とする消化試験を実施して糞中への窒素排泄量を推定するとともに, 日本飼養標準・豚にもとづき尿中への窒素排泄量を算出した。試験の結果, 1日増体量は, 標準CP飼料, 低CP飼料および低CPリンゴ粕飼料で, それぞれ, 835, 757および818gとなり, 統計的に有意差は認められなかったが (P>0.05), 低CP飼料でやや低い傾向を示した。また, 平均背脂肪厚は, それぞれ, 1.7, 1.9および1.5cmで, 統計的に有意差は認められなかったが (P>0.05), 低CP飼料でやや厚く, リンゴ粕配合で薄くなる傾向を示した。1日, 1頭あたりの糞中窒素排泄量は, 標準CP飼料, 低CP飼料および低CPリンゴ粕飼料で, それぞれ, 13.5, 13.4および17.9gとなり, 低CPリンゴ粕飼料で約30%多い傾向を示したが, 尿中窒素排泄量では, それぞれ, 38.7, 31.3および23.0gとなり, リンゴ粕配合で標準CP飼料の場合に比較して59%に低下する傾向を示した。以上の結果より, 肥育後期の低CP飼料にリンゴ粕を10%配合することにより, 豚の発育および背脂肪厚に悪影響を及ぼすことなく, 尿中窒素排泄量を著しく低減できることが示唆されたが, さらに例数を増やして検証する必要がある。
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