日本養豚学会誌
Online ISSN : 1881-655X
Print ISSN : 0913-882X
ISSN-L : 0913-882X
40 巻, 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 齋藤 常幸, 須藤 英紀, 五十嵐 宏行, 今田 哲雄
    2003 年 40 巻 3 号 p. 121-128
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    ランドレース種の肉豚48頭を供試し, 肥育後期 (70-110kg) における給与飼料中の可消化養分総量 (TDN) および粗蛋白質 (CP) 水準の違いが産肉能力および窒素排泄量に及ぼす影響を調べた。供試飼料はTDN-CPが77%-14%, 77%-11%, 71%-14%, 71%-11%の4種類を調製し, CP 11%飼料には不足するアミノ酸を添加し, 去勢雄と雌それぞれ6頭ずつ4グループに分けた肉豚に給与した。飼育管理は単飼, 不断給餌, 自由飲水とした。試験期間中の発育性, 窒素摂取量および排泄量と体重110kg到達時の枝肉成績を調査した。去勢雄では給与飼料中のTDN水準が発育性や背脂肪厚に影響を及ぼした。一日平均増体重は, TDN 77%飼料給与 (1,116g) に比べTDN 71%飼料給与 (969g) が有意に劣り, 背脂肪厚平均では, TDN 77%飼料給与 (3.26cm) に比べTDN 71%飼料給与 (2.97cm) が有意に薄くなった。しかし, 雌ではTDN水準が発育性や背脂肪厚に大きな影響を及ぼさなかった。一方, 給与飼料中のCP水準は, 性にかかわらず窒素排泄量に大きな影響を及ぼした。窒素排泄総量は, CP 14%飼料給与に比べCP 11%飼料給与が, 去勢雄で28%, 雌で22%それぞれ有意に減少した。
  • 山本 朱美, 佐藤 義人, 中村 慶逸, 伊藤 稔, 古谷 修
    2003 年 40 巻 3 号 p. 129-134
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    アミノ酸添加の低蛋白質飼料への乾燥リンゴジュース粕の配合が, 肥育豚の発育, 窒素排泄量および背脂肪厚に及ぼす影響について調べた。標準的な粗蛋白質 (CP) 飼料 (標準CP飼料), アミノ酸添加低蛋白質飼料 (低CP飼料) および低CP飼料にリンゴジュース粕を10%配合した飼料 (低CPリンゴ粕飼料) の3種の飼料を用い, 体重80kgから出荷時まで, 各飼料処理区について12頭の肥育豚を供試し, 不断給飼, 自由飲水の条件下で飼養した。試験期間中に, 酸不溶性灰分を指標物質とする消化試験を実施して糞中への窒素排泄量を推定するとともに, 日本飼養標準・豚にもとづき尿中への窒素排泄量を算出した。試験の結果, 1日増体量は, 標準CP飼料, 低CP飼料および低CPリンゴ粕飼料で, それぞれ, 835, 757および818gとなり, 統計的に有意差は認められなかったが (P>0.05), 低CP飼料でやや低い傾向を示した。また, 平均背脂肪厚は, それぞれ, 1.7, 1.9および1.5cmで, 統計的に有意差は認められなかったが (P>0.05), 低CP飼料でやや厚く, リンゴ粕配合で薄くなる傾向を示した。1日, 1頭あたりの糞中窒素排泄量は, 標準CP飼料, 低CP飼料および低CPリンゴ粕飼料で, それぞれ, 13.5, 13.4および17.9gとなり, 低CPリンゴ粕飼料で約30%多い傾向を示したが, 尿中窒素排泄量では, それぞれ, 38.7, 31.3および23.0gとなり, リンゴ粕配合で標準CP飼料の場合に比較して59%に低下する傾向を示した。以上の結果より, 肥育後期の低CP飼料にリンゴ粕を10%配合することにより, 豚の発育および背脂肪厚に悪影響を及ぼすことなく, 尿中窒素排泄量を著しく低減できることが示唆されたが, さらに例数を増やして検証する必要がある。
  • 山本 朱美, 伊藤 稔, 古川 智子, 長峰 孝文, 亀岡 俊則, 古谷 修
    2003 年 40 巻 3 号 p. 135-140
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    アミノ酸添加の低タンパク質飼料への乾燥ビートパルプ添加による尿中への窒素排せつ量およびふん尿混合物 (スラリー) からのアンモニア揮散量低減効果について調べた。体重約35kgの豚4頭を代謝ケージに収容し, 2頭には粗タンパク質 (CP) 含量の低い低CP飼料を体重の3% (低CP区, CP11.33%), 他の2頭には低CP飼料にビートパルプ (CP7.78%) を外付けで30%添加 (飼料配合割合としては23.08%, 低CPビートパルプ区) した飼料を体重の3.9%給与した。4日間の馴致期間の後, 尿とふんを3日間全量採取した。1期目の試験が終了後, 供試飼料を切り替えて2期目の試験を7日間行った。また, 別の豚4頭を用いて2回目の試験を実施した。なお, 1回目の試験では, スラリーからのアンモニア揮散量をインビトロ法で測定した。得られた結果は以下の通りであった。1日当たりの窒素摂取量は低CP区と低CPビートパルプ区で, それぞれ23.6および25.4gとほとんど変わらなかった。ふん中窒素排せっ量はそれぞれ4.7および9.7gで, 低CPビートパルプ区で有意に (P<0.001)多かったが, 尿への窒素排せっ量はそれぞれ10.3および5.6gと低CPビートパルプ区で有意に (P<0.001) 低くなった。1日当たりのアンモニア揮散量はそれぞれ722および359mgと低CPビートパルプ区で有意に低くなった (P<0.01)。培養前および培養後のスラリーのpHは, 低CP区に比べ低CPビートパルプ区でそれぞれ, 1.66および0.91単位と有意に低くなった (P<0.05)。肥育豚でアミノ酸添加低CP飼料にビートパルプを添加給与することにより, 尿中への窒素排せつ量およびスラリーからのアンモニア揮散量が著しく減少することが明らかとなった。
  • 門司 恭典, 西村 美和子, 山内 伸彦, 永井 卓, 百目鬼 郁男
    2003 年 40 巻 3 号 p. 141-148
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    ブタ未成熟卵子の核相と細胞周期に関与する成熟促進因子 (MPF: Maturation Promoting Factor) およびMAP (Mitogen-Activated Protein) キナーゼ活性を指標とした細胞質の成熟との関係を調べることを目的とした。ブタ卵母細胞の体外培養開始から培養後48時間まで4時間間隔で卵子の核相の変化を経時的に調べ, 同時に細胞質内のヒストンH1キナーゼ (MPFの指標となるもの) およびMAPキナーゼ活性を調べた。ヒストンH1キナーゼ (H1k: Hisuton H1 kinase) およびMAPキナーゼ (MAPk: Mitogen-Activated Protein kinase) 活性を測定するには多くの卵子が必要であり, また, サンプルが変わると活性が微妙に変化する可能性があるので, 一度に同一サンプルの両キナーゼの活性を測定した。その結果, 培養開始0時間では, 全ての卵子が卵核胞期 (GV期) の核相を示した。培養開始後12時間までほとんどの卵子はGV期の核相を示したが, その発現比率は16時間から減少し始め, 24時間から大きく減少し, 32時間ではほとんど見られなくなった。第1減数分裂中期 (M1期) を示す核相の卵子は培養開始後16時間から発現し, 24時間で約8割の卵子がM1期の核相であった。第1減数分裂後期から終期 (A1-T1期) の核相は, 28および32時間で認められ, その割合はそれぞれ4.2および18.2%であった。第2減数分裂中期 (M2期) の核相を示す卵子は, 24時間まで発現しなかったが, 32時間で23.4%ととなり, 36時間では79.3%まで急激に増加し, 48時間では86.4%と最も高い比率を示した。
    H1k活性は, 核相がGV期を示している12時間までは低値で経過し, 核相が移動期 (Pro M1期) およびM1期を示し始めた16時間から20時間にかけて上昇を始め, M1期の発現率が最高値に達する24-28時間で最も高い値がみられた。M2期の核相が現れ始める32時間で, 一時低下の傾向を示したが, M2期率が高値を示す36時間で再度上昇し, その後一定の値を示した。MAPk活性は, H1k活性と同様12時間まで低い値を示し, 核相がPro M1期およびM1期を示し始めた16時間から20時間にかけて上昇を始め, M1期率が最高値に達する24-28時間さらに48時間まではほぼ一定の高値を示した。
    以上の結果より, ブタ卵母細胞の体外成熟を行う場合, 36時間の培養が必要であること, また, 核相の変化とH1kおよびMAPk活性の変動は密接にリンクしていることが明になり, これらのキナーゼの活性により, 細胞質の成熟と核の成熟が同調することが示唆された。
  • 佐藤 正寛
    2003 年 40 巻 3 号 p. 149-154
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    混合モデル方程式を構築せずあらかじめA-1のみを算出した後に解を求める Semi-indirect 法と方程式を構築して解を求める Direct 法を, スケーリング付き傾斜勾配法により比較した。データはモンテ・カルロ法により発生させた8セットで, データセット1~4は単一形質で個体数約2,000,000頭, データセット5~8は5形質で個体数約400,000万頭である。混合モデル方程式は母数効果に続き変量効果を配置した。Direct 法によるスケーリング付き傾斜勾配法プログラムは単精度計算では収束しないことがあった。演算時間において, 両者に大きな違いはみられなかった。Semi-indirect 法は Direct 法に比べメモリを必要としなかった。以上の結果より, Semi-indirect 法は必要メモリが少ないことから, より複雑なモデルが用いられたときに有効性が高まるものと考えられた。
  • 齋藤 常幸, 秋場 宏之
    2003 年 40 巻 3 号 p. 155-158
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
feedback
Top