春検定, 秋検定の年2回に分けて実施されていた産肉能力検定が, 1973年に年間を通して実施できるように改訂された1)。この検定方法の変更を機会にそれまでのデータを用いて, 性, 季節, ヨークシャー種 (以下Y種という), ランドレース種 (以下L種という), 大ヨークシャー種 (以下W種という), ハンプシャー種 (以下H種という) の4品種と地域を要因とする分散分析を行った2)。豚産肉能力検定成績の春検定と秋検定の判定基準の間に, 項目によっては同一品種でありながら評点にして最高8点の差がみられ, 季節の差が大きく関与していることが判った。W種の春期雌と秋期去勢の間では, 評点にして12点の差がみられた。L種の春期における地域IとIIIにおいて2ランクの差がみられた。分散分析の結果, 性による効果は屠肉形質においてよく表れ, ロース断面積, 各部位の背脂肪層, ハムの割合でそれぞれ0.1%水準で有意であった。季節による効果は発育形質においてよく表れ, 90kg日齢, 20~90kg所要日数, 1日平均増体重, 飼料要求率でそれぞれ0.1%, 20kg日齢に5%水準で有意であり, 屠肉形質では屠体長, 背腰長 (II), ロース断面積, 大割肉片のハムとバラの割合でそれぞれ0.1%水準で有意であった。品種による効果は18項目すべての項で有意, ロース断面積と胸腰椎骨数を除き0.1%水準で有意であった。地域による効果は, 20kg日齢, 90kg日齢, 冷屠体重で0.1%水準で有意であった。季節と地域の交互作用は, 20kg日齢, 屠肉歩留に0.1%水準で有意であった。1日平均増体重, 20~90kg所要日数, 飼料要求率などにおいて1%水準で有意であり, 季節と地域の交互作用は発育形質において有意な項目が多かった。また, 品種と地域の交互作用は, 発育形質のほか背脂肪層, 屠肉歩留, 屠体長, ロース断面積に影響を与えていた。季節・品種・地域の交互作用については, 20kg日齢, 飼料要求率, 屠肉歩留, 屠体長, 大割肉片のロース・バラの割合などに関係していた。
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