日本養豚学会誌
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43 巻, 1 号
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原著
  • 纐纈 雄三, 松井 明日香, 門間 俊, 関口 知典
    2006 年 43 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2006/03/11
    公開日: 2007/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,養豚教育ファームでの活動が,都市生活を営む農学部学生の養豚への理解,豚への認識や意見,そして心理や生理指標に及ぼす影響について調査することであった。この活動は,明治大学農学科の学生実験の一部として行われた。豚約50頭を持つ大学付属農場で実施された活動の前・中または直後で2回,履修学生を被験者として調査をおこなった。農場に近接した寮で1泊2日し,飼料給与,豚の体重測定や行動観察等を行った。全員の血圧と心拍数を測定し,顔と手の表面温度は赤外線サーモグラフィーで撮影した。さらに無作為に選ばれた学生について,活動の前・中で,脳波を測定し,唾液を採取した。気分やストレスの尺度を自己記入式質問紙法の感情プロファイルテスト(POMS)とストレス診断テスト(SACL)で測定した。この活動は,学生の豚とその生産への理解を増し,動物の福祉への認識が変化した。90%以上の学生がこの活動は養豚と食に関する教育の重要性の理解に役立つと認識し,動物福祉への認識も変化した。POMS尺度では活動前・後と比較して,積極的な気分は活動中に上昇し,否定的な気分は減少した。SACL尺度では,重圧感の減少と生き生き感が上昇した。活動中の最高血圧値と皮膚表面温度は,前のものより高かった。脳アルファ2波占有割合も増加した。活動時の唾液中コルチゾール濃度は,前のものより低くなった。これらの結果から,この養豚教育ファーム活動は豚と養豚に関する参加者の理解を改善し,気分や生理にも影響があることが示唆された。
研究短報
資料
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