日本養豚学会誌
Online ISSN : 1881-655X
Print ISSN : 0913-882X
ISSN-L : 0913-882X
44 巻 , 2 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
原著
  • 井尻 哲, 中山 阿紀, 中野 公隆, 山内 慎也, 角川 幸治, 土屋 義信
    2007 年 44 巻 2 号 p. 31-39
    発行日: 2007/06/20
    公開日: 2007/12/05
    ジャーナル フリー
    まだ十分に有効利用されていない広島県内の食品工場製造副産物の飼料化を推進するため,発酵リキッド法による肥育豚用飼料への活用を検討した。
    食品製造副産物である食パン耳,馬鈴薯皮,ポテトチップ屑,ジャム製品ロス,緑茶抽出かす,および豆腐かすを主原料とし,これに養分調整のために数種類の飼料原料を混合して,肥育豚の栄養要求量を満たす飼料設計を行った発酵リキッド飼料(FLF)を調製した。
    原料105kgを粉砕,混合し,加熱殺菌した後,冷却し,スターターとしてLactobacillus plantarum A305株を用いて前日から培養しておいた同原料10kgを加え,33℃で20時間培養した。培養後のFLFは109.4個/gという高濃度の乳酸菌を含み,pHは4.2を示した。
    乾燥配合飼料(FF)と調製したFLFを肥育豚に給与し,発育および飼料の利用性に及ぼす影響を調べた。試験には99日齢の肥育豚11頭を用い,体重を揃えて,対照区と試験区に割り付け,対照区にはFFを,試験区にはFLFをそれぞれ20日間不断給餌した。
    その結果,4日間のFLF馴致期間を除く16日間の発育成績を比較すると,1日平均増体量(DG)は,対照区および試験区それぞれ965g, 1,207gとなり,試験区の方が対照区よりも有意(p<0.05)に高かった。
    1日当たり飼料摂取量は,試験区が14,271g(乾物換算 : 3,568g),対照区が3,750g(乾物換算 : 3,048g)であった。乾物摂取量での飼料要求率は,試験区2.96,対照区3.16で試験区は対照区に比べて飼料効率が約6%優れていた。
    以上の結果から,広島県内において,現在,食パン耳以外はコンポスト原料とされているこれらの製造副産物は,発酵リキッド化法により飼料利用できることが実証され,資源の有効活用と排出サイド・畜産サイド双方の経済性向上に寄与できる可能性が示唆された。
  • 角川 幸治, 井尻 哲, 中野 公隆, 山内 慎也, 土屋 義信
    2007 年 44 巻 2 号 p. 40-50
    発行日: 2007/06/20
    公開日: 2007/12/05
    ジャーナル フリー
    食品残さを原料にした発酵リキッド飼料を豚に給与することで,ふん便中のFirmicutesの存在比率が上昇した。試験区のみで存在比率が上昇した菌については,Eubacterium tortuosumの近縁種であることは分かったが,相同性が86%と低かったため菌名の特定は出来なかった。また,この菌叢変化が豚に与える影響については,増体成績が良好であったこと,下痢などの体調不良を起こさなかったことなどから,少なくとも豚にとって害になるような菌叢変化ではないと考えられた。
    一方,スターターとして添加したLactobacillus plantarum A305は,胃酸耐性の不足から,豚腸内への定着が不十分であることが分かった。このため,試験区と対照区の間で,期待したほどのプロバイオティック効果が出なかったものと考えられた。しかし,菌叢の変化自体は起こっていたため,乳酸菌の死菌体もしくは乳酸発酵時の代謝物の影響によって菌叢が変化したものと考えられた。
  • 山内 慎也, 角川 幸治, 松本 英之, 土屋 義信, 井尻 哲
    2007 年 44 巻 2 号 p. 51-58
    発行日: 2007/06/20
    公開日: 2007/12/05
    ジャーナル フリー
    著者らがフスマから分離したLactobacillus plantarum A305株は,乳酸収率が高くポリ乳酸生産用として研究が進められているアミラーゼ産生乳酸菌Lactobacillus manihotivorans LMG18011株に比べ,培養温度30℃および38℃において菌体の増殖とpHの低下が速く,対数増殖期の比増殖速度(μmax)はそれぞれ0.39h-1および0.49h-1であった。また,稲発酵飼料専用で「畜草1号」として販売され広く利用されているLactobacillus plantarum Chikuso1株に比べデンプン資化能を有することから,デンプン質を多く含む食品残さの乳酸発酵に適していた。さらに,大部分の乳酸桿菌はpH 2.5,20分間の処理で完全に死滅するのに対し,A305株19.0%の生存率を示すなど,胃酸や胆汁に対しても比較的耐性が高かった。
    A305株は,洗米排水培地においても良好な生育を示し(μmax=0.65h-1),5℃で10日間保存しても,生存率は54%であった。
    A305株は,食パン耳,ジャガイモ皮等を含む食品残さ培地においても良好な生育を示し,対数増殖期での比増殖速度μmaxは0.47h-1となり,MRS培地での値より高い値を示した。
    発酵リキッド飼料のpHは,10時間の培養で4.3,乳酸濃度は8.4g/lとなった。豚病原菌の生育を抑え,豚の摂食性が低下しない範囲内にほぼ収まるものと考えられた。
  • 高田-及川 直子, 押田 敏雄, 森 直子, 堂ヶ崎 知格
    2007 年 44 巻 2 号 p. 59-65
    発行日: 2007/06/20
    公開日: 2007/12/05
    ジャーナル フリー
    豚乳汁に含まれるビタミンE(V.E)濃度を分娩から離乳時まで測定し,V.E濃度の推移,初乳中V.E濃度と血漿中あるいは赤血球中V.E濃度との関連,さらに乳汁中のV.E濃度とSe濃度との関連について検討した。乳汁中V.E濃度は,分娩当日の初乳で最高値(17.8μg/ml)となり,分娩後4日目までは高い値(平均14.9μg/ml)を示したが,その後は低下し,離乳時すなわち分娩後21日目で最低値(3.1μg/ml)となった。分娩予定日7日前の血漿中V.E平均濃度は4.05μg/ml,赤血球中V.E平均濃度は0.47μg/mlであり,初乳中V.E濃度と血漿中V.E濃度との間には有意の相関(r=0.5004,p<0.05)があり,さらに,乳汁中のV.E濃度とSe濃度との間にも,有意の高い相関(r=0.649,p<0.01)があった。
feedback
Top