日本養豚学会誌
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45 巻 , 1 号
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原著
  • 池田 周平, 佐藤 光夫, 土井 芙里, 村岡 和美, 渡邉 直久, 王堂 哲, 祐森 誠司
    2008 年 45 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2008/03/05
    公開日: 2008/08/12
    ジャーナル フリー
    カルニチンがエネルギー生産を促すことや,メチオニン,リジンを前駆物質として体内で生合成されることが知られている。しかし,哺乳期の子豚はその生合成能力が低いため,母乳に含まれるものを利用する。これまでに妊娠期から泌乳期間の長期に母豚にカルニチンを給与し,その効果を認めている報告がある。本試験は母豚への給与を分娩1週間前から泌乳期間の短期間とし,母乳中のカルニチン濃度,母豚の発情回帰への影響,および子豚の発育に及ぼす影響を検討した。供試母豚は,協力養豚場において同時期に分娩予定となった14頭の交雑種を用いた。これらを7頭ずつに分け,対照区の母豚には市販飼料を,試験区の母豚にはカルニチンを50ppm添加して給与した。分娩後0,2,3および11日目に搾乳し,乳汁中総カルニチン,遊離カルニチンおよびアシルカルニチンの濃度を測定した。泌乳量は分娩後1,7,14および離乳日に哺乳前後の子豚の体重差から算出した。出生子豚の頭数,出生体重,生存率,離乳体重と母豚の発情回帰日を記録した。一腹の出生子豚が多かったためにカルニチン給与区で出生時体重が低かったが,一腹総体重には差は認められなかった。試験区の子豚の増体量は大きい傾向にあり,分娩後1週間以内の泌乳量は多く,離乳時には少なくなる傾向にあった。総カルニチン濃度は試験区で高くなる傾向にあり,11日目に試験区の乳汁中遊離カルニチン濃度が有意に(P<0.10)高くなった。発情回帰は試験区で短くなる傾向にあったが,有意差は認められなかった。短期間でも母豚にカルニチンを50ppm程度補給することが子豚の発育,母豚の発情回帰に対して良好に影響することが示唆された。これは乳汁中のカルニチン増加によるものであり,子豚の発育向上は母豚の泌乳における負担を軽減したと考えられた。
  • 池田 周平, 土井 芙里, 村岡 和美, 渡邉 直久, 王堂 哲, 佐藤 光夫, 門司 恭典, 祐森 誠司
    2008 年 45 巻 1 号 p. 10-15
    発行日: 2008/03/05
    公開日: 2008/08/12
    ジャーナル フリー
    L-カルニチン(以降カルニチン)は長鎖脂肪酸のミトコンドリア膜内への透過に必須な栄養素であり,経口摂取によって脂質の異化代謝が亢進することが知られている。暑熱環境下で豚は食欲減退となり,摂取栄養の不足から夏季不妊の症状を示し,特に雄豚では精液性状の低下が問題となる。暑熱環境下におけるカルニチンの給与がこの改善に有効と推察されることから初夏からカルニチンを給与し,晩夏に採取した精液性状をカルニチンの給与されない対照区と比較した。供試した雄豚は生後21~29カ月齢のデュロック種8頭で,対照区には市販種豚用配合飼料,試験区には同一飼料に50ppmのカルニチンを添加して給与した。試験開始前に精液性状を確認し,同等となるように供試豚を4頭ずつ配分した。カルニチンの添加は8月初めから9月末までの2ヶ月間行い,9月上旬と下旬の2回精液を採取し,精液量,精子活力,精子濃度,精子異常率,正常精子数を検査した。試験開始時の両区の精子活力は対照区88.8±3%,試験区86.2±6%であったが,9月上旬には対照区52.5±13%,試験区86.7±3%と試験区が高い傾向(P<0.10)がみられた,9月下旬でも有意差は認められないが試験区が高い値を示した。また,9月上旬に試験区の精子異常率は対照区に比べ低い傾向(P<0.10)がみられた。その他の項目に有意差は認められなかったが,試験区が精子活力,精子濃度,正常精子数で良好な成績を示した。カルニチンを給与することで暑熱環境による体力消耗が緩和され,精液性状が維持されやすかったと考えられた。
  • 藤谷 泰裕, 山本 朱美, 高井 雄一郎, 古谷 修, 小堤 恭平, 木村 良仁, 亀岡 俊則, 森 剛
    2008 年 45 巻 1 号 p. 16-25
    発行日: 2008/03/05
    公開日: 2008/08/12
    ジャーナル フリー
    栄養的制御による窒素排せつ量の低減がメタン発酵におけるバイオガス発生量と消化液の性状に及ぼす影響を明らかにするため,アミノ酸添加低タンパク質飼料(低CP, CP : 11.6%)にリンゴジュース粕を添加した飼料を給与した肥育豚から排せつされたふん尿を用いて,中温メタン発酵処理を行った。
    低CP飼料にリンゴジュース粕を10%添加した試験飼料を豚に給与すると,標準CP飼料(CP : 15.3%)に比較して,投入液の全窒素濃度は13%,消化液の濃度は9%低下した。同様に投入液のアンモニア性窒素濃度は34%,消化液の濃度は26%低減した。低CPリンゴジュース粕飼料の給与により,標準CP飼料給与に比べて,メタン発酵によるバイオガス発生量が1.3倍に増加し,また,メタン発酵ガス中の硫化水素の濃度が1/5と大きく低下した。以上のことから,メタン発酵処理において,低CPリンゴジュース粕飼料の給与により,標準CP飼料に比べて,発生メタンガス回収効率で約30%向上し,脱硫コストが約70%低減する可能性が示唆された。
研究短報
資料
  • 中野 徹, 石井 俊哉, 小野村 光正, 中川 二郎, 奥村 純市
    2008 年 45 巻 1 号 p. 32-35
    発行日: 2008/03/05
    公開日: 2008/08/12
    ジャーナル フリー
    本研究では,乳化剤として酵素処理レシチンを泌乳中の母豚に給与することで摂取油脂の吸収を促進させ,油脂のエネルギーを効率よく吸収することで,暑熱環境下の体重減少を抑制し繁殖成績の改善を図ることを目的とした。
    供試豚は,純粋種7頭,交雑種33頭を用いた。給与飼料は,粗蛋白質17%,可消化養分総量80%であった。対照区と試験区の2区を設置し,試験区には,酵素処理レシチンを泌乳中,1日12g上記飼料に加えて給与した。
    子豚の平均離乳時体重は,対照区7.15kg, 試験区7.37kgであり,暑熱環境下では,対照区6.46kg, 試験区7.13kgであり,試験区が大きかった。分娩舎導入時と離乳時体重から算出される母豚の体重減少率は,対照区12.9%,試験区11.9%であり,暑熱環境下では,対照区13.6%,試験区11.9%であり,試験区が小さかった。
    以上の結果から,酵素処理レシチンを給与することで,暑熱環境下で脂肪の吸収能が向上し,泌乳豚の体重減少を抑制し,繁殖成績を改善する可能性が示唆された。
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