日本養豚学会誌
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45 巻, 4 号
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原著
  • 押田 敏雄, 平安山 英登, 北村 博
    2008 年 45 巻 4 号 p. 179-186
    発行日: 2008/12/25
    公開日: 2009/04/08
    ジャーナル フリー
    肝機能検査の一つであるBSP色素排泄試験について豚での報告はきわめて少ない。そこで,肥育豚における1ケ月齢から6ケ月齢の加齢にともなうBSP30分停滞率を検討するとともに,肝機能検査の指標とされる血清酵素活性値およびAlb含量との関係についても検討し,以下のような結果を得た。
    1. BSP停滞率の月齢別推移
    1ケ月齢2.5%から3ケ月齢4.0%にかけて上昇し,3ケ月齢をピークとし,以降は下降し,6ケ月齢では2.5%となった。
    2. BSP停滞率と血清酵素活性値およびAlb含量との関係
    GPT, ALP, GOTでは,BSP停滞率と異なったパターンの推移を示し,相関関係は認められなかった。しかし,GGTとAlbに関しては,BSP停滞率と同様なパターンの推移を示し,有意な相関が認められた。なお,回帰式と相関係数はそれぞれy=4.55x+15.7(r=0.643,p<0.01),y=0.25x+2.94(r=0.747,p<0.01)となった。
  • 高田 勝, 岡 孝夫, 高橋 遼平, 野村 こう, 花田 博文, 天野 卓, 秋篠宮 文仁
    2008 年 45 巻 4 号 p. 187-192
    発行日: 2008/12/25
    公開日: 2009/04/08
    ジャーナル フリー
    沖縄にはアグーとアヨーと呼ばれる在来豚が存在する。これらの在来豚は畜産分野などから高い注目を集めつつあるが,その遺伝的背景はいまだ明らかではない。本研究ではミトコンドリアDNA(mtDNA)の解析から,沖縄在来豚の遺伝的背景を明らかにする事を目的とした。供試動物として沖縄で飼育されている来歴の明確なアグー,アヨーおよび奄美大島在来豚である大島島豚各6個体を用い,mtDNA D-loop領域の塩基配列を決定し,解析を行なった。沖縄・奄美在来豚18個体で2つのハプロタイプ(アグーと大島島豚で1つ,アヨーで1つ)が認められた。沖縄・奄美在来豚は3品種とも品種復元のため,他品種との交雑が繰り返されてきた。アグー,大島島豚とアヨーが異なる配列を示したことは,そのような品種の歴史を反映しているものと推察された。また,沖縄在来豚の遺伝的多様性は低く,その近交度も高いものと推察された。本研究結果に既報の家畜ブタおよびイノシシの塩基配列を加え,NJ系統樹を作成した結果,沖縄・奄美在来豚はアジア家畜ブタおよびアジアイノシシと同じクラスターに含まれた。さらに,アヨーはニホンイノシシを含むサブクラスターに,アグーや大島島豚はバークシャー種や大ヨークシャー種などの欧米品種をわずかに含むサブクラスターに含まれた。
  • 家入 誠二, 野村 哲郎, 広岡 博之
    2008 年 45 巻 4 号 p. 193-200
    発行日: 2008/12/25
    公開日: 2009/04/08
    ジャーナル フリー
    豚の閉鎖育種集団を想定したモンテカルロシミュレーションを用い,通常のBLUP法から得られる推定育種価に線形計画を適用した選抜法(BLUP+LP法)と制限付きBLUP法による選抜法(RBLUP法)を比較した。選抜形質は背脂肪厚(BF)および1日平均増体重(DG)とし,両形質を予め設定した方向に改良するものとした。遺伝的パラメーターは,熊本県で実際に造成された系統豚「ヒゴサカエ302」のデータからの推定値を用い,選抜は7世代まで行った。500回の反復の平均値で見ると,両選抜法とも全世代を通じて育種価の集団平均を意図した方向に導いた。しかし,RBLUP法の下では,育種価の集団平均の反復間での分散がBLUP+LP法の下でのそれより大きく,その差は世代とともに増加した。遺伝相関に推定誤差がある場合,両選抜法の下での育種価の集団平均は意図した改良方向からずれを生じたが,RBLUP法におけるずれはBLUP+LP法におけるずれよりも著しく大きかった。近交係数については,両選抜法の間で全世代を通じて大差はなかった。以上の結果から,BLUP+LP法はRBLUP法に比較して信頼性に優れ,豚の系統造成における選抜法として有効であると考えられた。
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