日本養豚学会誌
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47 巻, 4 号
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原著
  • 神山 佳三, 岩村 祥吉, 染井 英夫, 丸山 朝子
    2010 年 47 巻 4 号 p. 181-186
    発行日: 2010/12/25
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    前回の発情最終日を0日として,8~10日の3日間,各群10頭についてプロスタグランジン(PG) F 15mg (I区),10mg (II区),5mg (III区)を1日2回筋肉内へ反復投与し,発情周期の短縮効果とその後の繁殖成績を検討した。
    発情周期はI区,II区およびIII区で,それぞれ15.7±0.6日,17.9±3.8日および,17.5±2.5日と生理食塩水を投与した対照区(21.2±1.2日)と比べ有意に短縮した。しかし,IIおよびIII区において,それぞれ3頭の発情周期は21~26日と短縮効果は認められなかった。
    血中プロジェステロン(P)濃度は,対照区では14日から漸減し,18日以降1ng/ml前後の低値で発情回帰時まで推移した。一方I~III区では,発情周期の短縮効果が認められなかった6頭を除くと,投与開始2日目(10日)から急激に減少し,投与終了後2日(12日)以降は1ng/ml程度の低値で発情開始まで推移して,10日から14日まで対照区と比べ有意に低値を示した。発情周期の短縮効果が認められなかった6頭のP濃度の推移をみると,PGF投与期間中は減少傾向を示すものの,投与終了後には上昇して,15~21日まで高い値を維持した。
    PGF投与により誘起された発情時に交配した場合,妊娠期間,産子数,生時体重とも標準的な成績が得られた。
    これらのことから,PGFの1回あたりの投与量を10mgあるいは5mgに減じた場合,70%の個体に発情周期短縮効果が認められた。確実に発情周期の短縮を図るためには1回あたりの投与量を15mgとする必要があることが明らかとなった。
  • 脇屋 裕一郎, 石田 稔, 内田 敏博, 古田 祥知子, 関戸 正信, 河原 弘文, 下平 秀丸, 川村 英輔, 鈴木 一好
    2010 年 47 巻 4 号 p. 187-197
    発行日: 2010/12/25
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    陶器製の回収部材を利用したMAP (Magnesium Ammonium Phosphate)法によるリン除去・回収において,ふん混合割合が高く浄化処理の前処理として汚水脱水機を利用している養豚農家の汚水を供試して,散気管および曝気量を改良したリアクターによるリン除去・回収試験を実施した。
    MAPリアクターは有効容積250Lのステンレス製で,曝気効率を向上させるために微細気泡散気管を3基設置し,送風機で45m3/m3・時の条件で曝気処理を行った。回収部材はあらかじめ30% MgCl2・6H2O液に浸漬処理した星型の陶器製部材を供試し,回収部材24本を容器に設置してリアクターに投入した。試験は,脱水濾過液をMAPリアクターに5分間隔で1日当たり4.8m3 (HRT 1.25hrs)投入し,連続曝気および30% MgCl2・6H2O液の連続添加(10L/日)を行った。試験期間は65日間で実施した。
    原水中のpHは秋期から冬期にかけて高くなり,pH上昇に伴い水溶性PO4-P濃度は減少した。また,脱水濾過液についても同様な傾向が確認されたが,凝集剤添加および機械分離工程で原水よりもpHがさらに上昇し,平均水溶性PO4-P濃度も79.0mg/lから37.9mg/lに減少した。また,試験期間において,原水および脱離濾過液中のpHの上昇により平均水溶性PO4-P濃度が22.9mg/lと低濃度で推移したが,MAPリアクターにおいて曝気効率を高めたことにより,MAP反応の促進により,汚水中のリン1kg当たり0.33~0.46kgと高いMAP回収率を示した。
    以上により,散気管および曝気量を改良することにより,MAP回収率が高くなることが確認されたが,汚水処理の凝集剤添加および機械分離工程においてpH上昇等に伴い水溶性PO4-P濃度が顕著に低下したため,MAP回収効率をさらに高めて年間を通じて安定したリンの浄化能力を確保するためには,原水および脱離濾過液中のpHを低く制御して,高濃度の水溶性PO4-P濃度を維持した状態でMAPリアクターに投入する必要がある。
技術ノート
資料
第14回AAAP(環太平洋畜産会議)報告ならびに第1回アジア養豚研究会講演要旨
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