日本養豚学会誌
Online ISSN : 1881-655X
Print ISSN : 0913-882X
48 巻 , 3 号
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原著
  • 佐藤 正寛, 石井 和雄
    2011 年 48 巻 3 号 p. 125-133
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル フリー
    豚の系統造成では相対希望改良量を達成するための選抜が主流である。本研究では,豚の系統造成において制限付きBLUP法によって種豚を評価した場合の10世代にわたる選抜反応をコンピュータシミュレーションによって比較した。繁殖集団の大きさは,毎世代雄10頭雌50頭とした。選抜の対象は,1日平均増体重(DG),背脂肪厚(BF),ロース芯面積(EM)の3形質とし,10通りの相対希望改良量を想定した。選抜には制限付き選抜指数法(RSI法)および制限付き最良線形不偏予測法(RBLUP法)を用いた。さらにRBLUP法は,集団のすべての個体に制限を付加する方法(AR-BLUP法)および選抜候補個体にのみ制限を付加する方法(PR-BLUP法)の2通りを想定した。予想されたように,RBLUP法はRSI法よりも高い選抜反応を示した。第10世代におけるPR-BLUP法による選抜反応はAR-BLUP法のそれよりも僅かに高い傾向にあるものの,選抜法による統計的な差は認められなかった。平均近交係数はいずれの相対希望改良量を用いても類似した値となり,選抜後5世代の平均近交係数は約9%,10世代のそれは約19%であった。また,平均近交係数において選抜法による差はみられなかった。以上のことから,DG,BFおよびEMの3形質に対する選抜では,遺伝的パラメーターおよび相対希望改良量が本研究の範囲内にあれば,いずれの制限付きBLUP法を用いても類似の選抜反応が期待されると考えられた。
  • 山田 未知, 中村 フチ子, 西牧 由佳, 宮本 拓平, 半沢 伸治, 山田 幸二, 大槻 健治, 佐藤 茂次, 松井 滋
    2011 年 48 巻 3 号 p. 134-142
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル フリー
    エゴマ種実添加飼料の保存性向上技術開発のため,未処理のエゴマ種実を3%添加した飼料および焙煎したエゴマ種実を3%添加した飼料について,温度30°C,湿度80%に設定した恒温・恒湿器内で5週間保存し,その脂質性状の変化を検討した。またこれらエゴマ飼料(NPS5飼料),焙煎エゴマ飼料(RPS5飼料)と保存していないエゴマ飼料(NPS0飼料)の肥育豚への給与試験も併せて行った。保存試験において,各保存飼料の酸価は,エゴマ飼料に比べ焙煎エゴマ飼料が低い値を示しながらも,保存期間が長くなるに伴いその値は高くなり,両飼料とも保存前と2週目(P<0.05)及び5週目(P<0.05)間に有意な差が見られた。過酸化物価は,両飼料とも保存期間に伴う変化は見られなかった。各保存飼料の脂質含量は,エゴマ飼料において,保存前及び2週目に比べ5週目が有意に低い値を示し(P<0.05),その脂肪酸組成も,C18:3が保存前に比べ5週目で有意に低い値を示した(P<0.05)。その結果としてn-6/n-3比が保存前に比べ5週目で有意に高い値を示した(P<0.05)。焙煎エゴマ飼料においては,C18:2で2週目に比べ5週目が有意に高い値を示したが(P<0.05),脂質含量及びその他の脂肪酸は,保存前から5週目まで有意な変化は見られなかった。給与試験においては,一日平均増体量でRPS5区がNPS0区に比べ有意に高い値を示した(P<0.05)。また給与豚の脂肪組織における脂肪酸組成では,腎臓周囲脂肪でC14:0およびC16:0がNPS5区に比べRPS5区で有意に低い値を示した(P<0.05)。腎臓周囲脂肪および背脂肪のC18:3ではNPS0区に比べNPS5区で有意に低い値を示し(P<0.05),n-6/n-3比ではNPS0区に比べNPS5区が有意に高い値を示した(P<0.05)。さらに筋肉内脂質においては,C18:3でNPS0区に比べNPS5区で有意に低い値を示した(P<0.05)。しかしNPS0区とRPS5区間の腎臓周囲脂肪,背脂肪,筋肉内脂質の脂肪酸組成については有意な差は見られなかった。以上のことから,本研究の保存条件下において,エゴマ飼料は脂質の変性が見られたものの,焙煎エゴマ飼料は大きな変化は見られなかったことが明らかとなり,エゴマの焙煎処理は脂質の酸化抑制に効果があることが考えられた。
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