日本養豚学会誌
Online ISSN : 1881-655X
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51 巻, 1 号
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原著
  • 前田 恵助, 山本 史華, 諏佐 尚哉, 高橋 俊浩, 豊吉 正成, 入江 正和
    2014 年 51 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2014/03/05
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    特産物の肉質向上とエコフィード活用を目的として,デュロック×ニホンイノシシ(Sus scrofa leucomystax)の一代雑種であるイノブタを用い,発育,肉質に対するリジン含量が低くなったパン主体飼料給与と性の影響を調べた。10頭のイノブタを2群に振り分け,一方には市販の肉豚肥育用配合飼料(対照区:リジン0.60%)を,他方には低リジンのパン主体飼料(低リジン·パン飼料区,リジン0.42%)を給与した。飼料摂取量,日増体量は低リジン·パン飼料区が対照区に比べ低下した(DG 0.46 vs 0.29, P<0.05)。枝肉重量,枝肉歩留,背脂肪厚は去勢が雌より増加する傾向を示した。胸最長筋の筋肉内脂肪含量は,対照区2.47%であるのに対し,低リジン·パン飼料区では3.97%と増加した(P<0.01)。胸最長筋の脂肪酸組成では,低リジン·パン主体飼料によりC16:0,C18:0がやや低下し,C16:1,C18:1がやや増加した。また,C18:2は雌が去勢雄よりわずかに増加した。剪断力価,調理損失は低リジン·パン飼料区が対照区よりやや増加したが,性の影響は認められなかった。以上の結果より,デュロック×ニホンイノシシの一代雑種であるイノブタの筋肉内脂肪含量は通常2.5%程度で,リジン含量の低いパン主体飼料を給与すると,飼料摂取量,日増体量が低下するものの,筋肉内脂肪含量が4%近くまで増加すること,さらに性の影響では,雌より去勢の方がやや日増体量が優れ,背脂肪厚が厚くなる傾向にあり,背脂肪の融点がやや低くなることが分かった。
  • 佐藤 正寛
    2014 年 51 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 2014/03/05
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    豚の系統造成では,相対希望改良量を達成するための各形質の育種価に対する重み付け値を用いて総合育種価を推定する方法が広く用いられている。本研究では,相対希望改良量を達成するための重み付け値を用いた選抜において,血縁情報量と遺伝的改良量の期待値との関係を明らかにすることを目的とした。種雄豚1頭に5頭の雌豚を交配し,一腹あたり雄1頭,雌2頭を育成するものとした。選抜は2形質を想定し,遺伝率を0.2および0.6の組み合わせとした。それぞれの遺伝率の組み合わせに対し,遺伝相関を−0.5,0.0,0.5の3通りとした。表型相関は遺伝相関に等しいものとした。形質1と形質2の相対希望改良量はそれぞれの1遺伝標準偏差とした。血縁情報は,選抜候補個体自身とその血縁個体の表型価を用いるものとした。血縁係数が1/4よりも小さな個体の血縁情報を用いても,遺伝的改良量の期待値は僅かな増加しか見込まれなかった。したがって,相対希望改良量を達成するための選抜において総合育種価を推定する場合,選抜候補個体との血縁係数が1/4以上の血縁情報を用いればよいと考えられた。
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