日本養豚学会誌
Online ISSN : 1881-655X
Print ISSN : 0913-882X
ISSN-L : 0913-882X
51 巻, 2 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
原著
  • 味埜 美紀, 祐森 誠司, 池田 周平
    2014 年 51 巻 2 号 p. 39-44
    発行日: 2014/06/25
    公開日: 2014/10/06
    ジャーナル フリー
    本試験では茶に多く含まれる機能性成分の茶カテキンを肥育後期豚に給与し,産肉成績および免疫能への影響を検討した。供試豚の LWD 三元交雑種去勢12頭はカテキン無添加の対照区,カテキン0.2%添加区,カテキン0.4%添加区の3区に各4頭ずつ配分した。試験は体重75~110 kgの期間に行った。消化試験は試験開始1カ月後から5日間行った。IgG,IgA 測定のための採血は試験開始前,各区平均体重90 kg時,試験終了時の計3回行った。枝肉性状,肉質の調査は飼育試験終了後のと畜解体時に行った。飼育成績の各項目で有意差は認められなかった。茶カテキン添加による採食量の低下は認められず,無添加と遜色ない成績となった。粗繊維の消化率は茶カテキンの添加割合が高くなるにつれて高い値を示したが,個体差が大きく有意差は認められなかった。その他の飼料消化率にも有意差は認められなかった。試験終了時の血漿中 IgG,IgA 濃度は0.4%区で低い値を示し,IgG 濃度で有意差(P<0.05)が認められた。また,融点で0.2%区が対照区,0.4%区に対して有意に低い値を示したが,その他の枝肉成績および肉質の項目では有意差は認められず,背脂肪層厚やロース部の粗脂肪含量に影響はなく脂肪蓄積の抑制は認められなかった。
  • 生駒 エレナ, 鈴木 千恵, 石原 康弘, 小村 喜久男, 大小田 勉, 丸野 弘幸
    2014 年 51 巻 2 号 p. 45-53
    発行日: 2014/06/25
    公開日: 2014/10/06
    ジャーナル フリー
    経腟採卵法は,同一個体から反復して非外科的に採卵することが可能な技術で,牛では既に高能力雌牛からの後継牛生産に応用されており,その手法もほぼ確立されつつあるが,豚での報告はほとんどない。そこで,本試験では豚の経腟採卵法による効率的な卵胞卵子の回収を目的に,適切な吸引圧および発情周期について調べた。はじめに,卵胞液を吸引する際の吸引圧について60,90,120 mmHg(mm 区)で検討したところ,1頭当たりの平均採卵数はそれぞれ5.3,7.1,5.8個/頭で有意差は認められなかったが,卵丘細胞が2層以上付着し卵子細胞質が均一な卵丘卵子複合体(Aランク卵子)の割合は,120 mm 区と比較して90 mm 区で有意に高い値を示した(60,90,120 mm 区;12.5%,27.2%,5.2%,P<0.01)のに対し,卵丘細胞が完全に剥離した裸化卵子(Dランク卵子)に関しては120 mm 区と比較して90 mm 区で有意に低かった(60,90,120 mm区;56.3%,36.0%,60.3%,P<0.01)。次に,発情周期の影響について検討するために,発情終了後2-5,6-10,11-16日(日区)(発情終了日を0日と設定)で比較したが,1頭あたりの平均採卵数および卵丘細胞の付着状況に有意差は認められなかった。得られた卵子に関しては,体外成熟・体外受精・体外発生培養を行い,発情周期ごとの採卵数あたりの分割率,胚盤胞発生率について検討したところ,すべての発情周期において胚盤胞にまで発生し,分割率および胚盤胞発生率は各発情周期間において有意な差は認められなかった。以上の結果から,自然発情下のバークシャー種を用いた経腟採卵法では,90 mmHg の吸引圧で卵丘細胞の付着状況が良好な卵子を効率的に回収できることが確認できた。また得られた卵子から胚盤胞を作出でき,豚においても経腟採卵法の利用により胚生産が可能なことが示唆された。
  • 市川 大樹, 薄井 志保, 金子 麻衣, 纐纈 雄三
    2014 年 51 巻 2 号 p. 54-62
    発行日: 2014/06/25
    公開日: 2014/10/06
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,農場規模グループ間で生産効率と飼養管理を比較することにより,大規模農場の特徴を明らかにすることであった。同一の生産記録ソフトを使用している115農場に,飼養管理に関する調査票を送付した。回答のあった96農場(83.5%)のアンケート結果は農場の繁殖データと統合し分析に用いた。96農場は平均在庫雌豚数の上位と下位25パーセントタイルを用いて,大規模(394頭以上),中規模(167-393頭),小規模(166頭以下)農場の3グループに分類した。農場グループ間の生産効率と飼養管理の比較には分散分析を用いた。大規模農場の平均在庫雌豚数(±標準誤差)は,1,032±188.0頭であった。大規模農場は小規模農場よりも,年間種付け雌豚当たり離乳時子豚数が2.6頭多く,補正21日齢一腹体重が4.0 kg重かった(P<0.05)。Gilt pool size,更新率,雌豚の淘汰率と死亡率において,農場グループ間で差はなかった。大規模農場は小規模農場よりも従業員1人当たりの在庫雌豚数が112.8頭多く,1つの分娩クレート当たりの離乳腹数が2.8腹多かった(P<0.05)。大規模農場は小規模農場よりも,若雌豚の自家育成を行い,画像式超音波妊娠鑑定器を使用していた(P<0.05)。分娩誘発剤使用割合は,大規模農場が小規模農場よりも42.9%多かった(P<0.05)。妊娠期の給餌や子豚管理において,農場グループ間で差はなかった。大規模農場は,高い労働効率と設備使用効率を持ち,最新技術を用いて,高い繁殖生産性を持つと考えられる。
研究短報
feedback
Top