日本養豚学会誌
Online ISSN : 1881-655X
Print ISSN : 0913-882X
52 巻 , 1 号
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原著
  • 大曲 秀明, 三角 浩司, 宮下 美保, 永渕 成樹, 御澤 弘靖, 山下 祥子, 星 宏良, 平山 祐理, 吉岡 耕治
    2015 年 52 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2015/03/05
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
    養豚において繁殖用として用いる種豚の導入は,一般的には外部の種豚生産農場からの生体(豚個体)の移動により行われている。本研究は,種豚導入におけるコストおよび病原体汚染などのリスクを低減することが可能な,胚の輸送と胚移植を活用した方法に代替するためのシステムの構築を目的とした。(独)家畜改良センター(福島県)でデュロック種豚から採取した胚盤胞期胚ならびに拡張胚盤胞期胚を,液体窒素に直接接触することなしにガラス化保存する微量空気冷却(MVAC)法によりガラス化保存し,液体窒素保管容器に入れて佐賀県畜産試験場に輸送した。胚のガラス化保存液(6.0 Mエチレングリコール,0.6 Mトレハロースおよび2% (w/v)ポリエチレングリコールを添加)および加温·希釈液(1.8 Mエチレングリコールおよび0.3 Mトレハロースを添加)の基礎培地として,20 mM Hepesで緩衝したブタ培養胚培養用培地(porcine zygote medium-5,PZM-5)あるいはブタ後期胚培養用培地(porcine blastocyst medium,PBM)を用いた。加温後の胚は外科的に移植し,移植成績を調査した。PBMを用いて拡張胚盤胞期の胚をガラス化保存した場合,一腹産子数(5.3±0.9頭)および移植胚数に対する産子数の割合として求めた子豚生産効率(35.6%)はPZM-5 (2.7±0.3頭および14.8%)に比べ有意に向上した(P<0.05)。このことからMVAC法によるガラス化保存液の基礎培地としてPBMが優れていることが示された。一方で,胚盤胞期胚における子豚生産効率(14.3%)は拡張胚盤胞期胚に比べ有意に低かった(P<0.05)。しかしながら,胚盤胞期胚は拡張胚盤胞期胚より厚い透明帯に囲まれており,ガラス化保存処理の際に透明帯が損傷する恐れが少ないと考えられる。そのため,疾病伝播のリスク低減を考慮すると,種豚導入および生産において,胚移植に胚盤胞期胚を利用することも有用であると考えられた。
  • 飯田 涼介, 金子 麻衣, 纐纈 雄三
    2015 年 52 巻 1 号 p. 8-16
    発行日: 2015/03/05
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,種雌豚の3産次までの生存割合が低い繁殖農場(LRR農場)の若雌種豚の育成法と生涯繁殖成績を特徴づけることと,低い生存割合に関するマネジメント因子を調べることであった。3産次までの生存割合は,3産次まで生存した雌豚数を初交配雌豚の数で割り算出した。若雌種豚の育成法と農場マネジメントについての調査(性成熟前の制限給餌の有無,育成雌豚の飼料の種類,自家育成雌豚の使用割合)を行うために,2008年に同一の生産記録ソフトを用いる115農場に調査票を送付した。回答のあった81農場(70.4%)の記録を2008年に導入された15,678頭の雌豚の繁殖成績と合わせた。3産次までの雌豚の生存割合の下位25パーセンタイル(71.6%)を基に,農場をLRR農場と普通農場に分類した。農場レベルの分析では,LRR農場は普通農場に比べて,分娩割合が3.4%低く,淘汰割合が7.7%高かった(P<0.05)。また,LRR農場は普通農場に比べて,制限給餌を行う農場,育成雌豚に妊娠豚用の飼料を使用する農場の割合が高かった(P<0.05)。さらに,LRR農場の自家育成雌豚の使用割合は,普通農場に比べて29.2%高かった(P<0.05)。雌豚レベルの分析では,LRR農場の雌豚の繁殖障害による1-3産次までの淘汰割合が,普通農場に比べて6.2-11.2%高かった(P<0.05)。しかし,雌豚の生涯平均離乳子豚数における農場グループ間での差は見られなかった(P=0.79)。マルチレベルの比例ハザードモデルでは,雌豚の淘汰ハザードは,性成熟前の制限給餌と高い自家育成雌豚使用割合に関連したが(P<0.05),育成雌豚の飼料の種類とは関連しなかった(P=0.21)。初交配後60週齢における生存確率は,制限給餌された雌豚で80.1%となり,制限給餌されなかった雌豚で84.1%となった。結論として,雌豚の長期生存性の実現に,性成熟前の過度な飼料制限は勧められない。さらに,自家育成雌豚を使用する際に,若雌種豚の繁殖形質の健全性に関する選抜をより厳しく行うことを勧める。
  • 勝俣 昌也, 芦原 茜, 石田 藍子, 小林 裕之
    2015 年 52 巻 1 号 p. 17-28
    発行日: 2015/03/05
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
    玄米でトウモロコシの全量を代替できるか確認すること,玄米とカンショを併給するときの配合割合を検討することを目的として,3つの肥育試験を実施した。実験1では,トウモロコシ(75%配合)の全量を玄米で代替して肥育後期豚に給与したが,日増体量,飼料摂取量,飼料効率ともに影響はなかった。実験2では,玄米の配合割合を3水準(30,52.5,75%)設定し,玄米とカンショの併給が肥育後期豚の飼養成績と肉質におよぼす影響について検討した。日増体量,飼料摂取量に飼料の影響はなかった。飼料効率には飼料が影響する傾向があり(P<0.10),玄米30%配合区が低かったが,ほかの試験区のあいだに差はなかった。1頭あたりの玄米の給与量を増やすために,実験3では肥育前期から玄米(52.5%配合)を給与し,肥育後期は玄米(52.5%配合)とカンショ(22.5%配合)を併給した。肥育前期(30kg∼70kg)と全期間(30∼120kg)をとおしての飼料摂取量は,玄米·カンショ併給区が高く(P<0.05),全期間をとおしての飼料効率は玄米·カンショ併給区で低かった(P<0.05)。しかし,肥育後期には飼料の影響はなかった。実験1,2,3をつうじて,玄米を給与すると皮下脂肪内層の飽和脂肪酸と1価不飽和脂肪酸の割合が高く,多価不飽和脂肪酸の割合が低くなった。とくに,オレイン酸の割合の上昇とリノール酸の割合の低下は,再現性が高かった。実験2では,皮下脂肪内層の融点が玄米の給与で高くなったが,実験1と3では変化しなかった。胸最長筋のドリップロスやせん断力価には,玄米あるいは玄米とカンショの併給の影響はなかった。これらの結果から,トウモロコシの全量を玄米で代替して肥育後期豚に給与しても飼養成績と肉質に問題はなく,玄米とカンショを肥育後期豚に併給するときの配合割合は,それぞれ50%程度と20∼25%程度がよいと結論した。
技術ノート
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