日本養豚学会誌
Online ISSN : 1881-655X
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52 巻, 2 号
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原著
  • 佐藤 正寛
    2015 年 52 巻 2 号 p. 43-49
    発行日: 2015/06/26
    公開日: 2015/09/30
    ジャーナル フリー
    豚の系統造成では,相対希望改良量を達成するための育種価に対する重み付け値を用いて総合育種価を推定する方法が広く用いられている。本研究では,相対希望改良量を達成するための重み付け値を用いた選抜において,望ましい重み付け値を得るための血縁情報量をコンピュータシミュレーションによって明らかにすることを目的とした。種雄豚1頭に5頭の雌豚を交配し,一腹あたり雄1頭,雌2頭を育成するものとした。選抜は2形質を想定し,遺伝率をそれぞれ0.2および0.6とした。遺伝相関は−0.5,0.0,0.5の3通りとした。表型相関は遺伝相関に等しいものとした。形質1と形質2の相対希望改良量はそれぞれの1遺伝標準偏差とした。血縁情報は,選抜候補個体自身とその血縁個体の表型価を用いるものとした。選抜候補個体との血縁係数が1/4以上の個体の情報を用いることで,選抜形質の遺伝的改良量が希望改良量の方向に一致することが明らかとなった。
  • 川村 英輔, 高田 陽, 高柳 典弘
    2015 年 52 巻 2 号 p. 50-63
    発行日: 2015/06/26
    公開日: 2015/09/30
    ジャーナル フリー
    畜産経営は,機械化が進んだため電気や化石燃料が必要不可欠であるが,経営内の消費電力量の調査や使用パターンなど詳細を明らかにした報告事例は少ない。そこで畜産経営内の作業毎や時間帯別の消費電力量を簡便に把握するため,農場内の機械の種類,台数及び稼働状況などを書き出し,机上で経営内の「消費電力の可視化」を試みるとともに省電力化及び電力コスト削減を検討した。調査は,経営規模の異なる神奈川県内の2養豚場について実施した。結果として農場内の推計消費電力量を「消費電力の可視化」することで(1)装置の消費電力と稼働状況,(2)消費電力量が最大値となる時間帯,(3)消費電力量の推計最大値,(4)消費電力量の時間毎の傾向を確認することが可能となった。また作業項目及び作業時間を把握することで,消費電力が最大値となる時間帯の作業や稼働装置を確認できることから,装置の稼働を消費電力量の少ない時間帯に移したり(ピークシフト),またその時間帯に稼働している装置の優先順位をつけて優先順位の低い装置の稼働を停止する(ピークカット)など消費電力の負荷平準化に活用できる。
  • 石田 藍子, 芦原 茜, 勝俣 昌也
    2015 年 52 巻 2 号 p. 64-72
    発行日: 2015/06/26
    公開日: 2015/09/30
    ジャーナル フリー
    我々はこれまでに,飼料用玄米と規格外カンショを配合した飼料を肥育豚に給与することを想定して飼養試験をおこなってきた。その結果,玄米とカンショを肥育後期豚に併給するときの配合割合は,それぞれ50%程度と20∼25%程度がよいと結論づけている。また,茨城県内ではカンショ加工残さの飼料化がおこなわれている。そこで本実験では,実証試験として,茨城県内の養豚生産者の一般管理下において,飼料用玄米50%とカンショ加工残さ(試験1:干し芋残さ,試験2:芋ようかん残さ)22.5%を配合した飼料を肥育後期豚(体重65 kgから120 kg)へ給与し,飼養成績および肉質に及ぼす影響をトウモロコシ主体の市販飼料と比較して検討した。試験1では,日増体重が飼料用玄米とカンショ加工残さの併給により高くなったが(P<0.05),試験2では差が無かった。背脂肪内層の脂肪酸組成は,試験1および試験2で,飼料用玄米とカンショ加工残さの併給により一価不飽和脂肪酸割合が高くなり,多価不飽和脂肪酸割合は低くなった(P<0.05)。以上の結果より,飼料用米およびカンショ加工残さの併給は,実際の養豚生産者の飼養管理下において,トウモロコシ主体の市販飼料と遜色ない飼養成績を示し,脂肪酸組成に影響を及ぼすことが明らかになった。
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