日本養豚学会誌
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53 巻, 1 号
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原著
  • 高田 良三, 長谷川 麻衣, 佐野 拓哉, 岡田 徹
    2016 年 53 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2016/03/05
    公開日: 2016/06/13
    ジャーナル フリー
    本研究は,離乳子豚用飼料へのアルギニン添加が離乳子豚の飼養成績,窒素出納,血中尿素態窒素(BUN) ·遊離アミノ酸濃度に及ぼす影響を検討するため2つの実験を行った。実験1では脱脂粉乳含量が15%の基礎飼料を用い,試験区は対照区とアルギニン区とした。8頭の離乳子豚(開始体重8.2±0.2kg,去勢雄LWD)を両試験区に4頭ずつ割り振り,対照区にはトウモロコシ·大豆粕主体の基礎飼料を,アルギニン区には基礎飼料にアルギニンを0.5%添加した飼料を給与して14日間の飼養試験を実施した。実験2では基礎飼料の脱脂粉乳含量を8%とし,8頭の離乳子豚(開始体重6.8±0.4kg,去勢雄LWD)を用いて,他は実験1とほぼ同様に行った。実験1·2いずれにおいても飼養成績は両試験区間で差は認められなかったが,日増体量は両試験区ともに400∼450g/日であった。また,実験1の飼料効率はアルギニン区がやや低下する傾向が認められた。BUNはアルギニン区が高くなる傾向が認められ,特にBUNを飼料摂取量に対する比(BUN/摂取量)で示すと実験1·2いずれにおいても有意にアルギニン区が高くなった。窒素出納では実験1の総窒素排泄量(g/d)および実験2の尿中窒素排泄量(g/d)がアルギニン区で有意に高くなったが,窒素蓄積量(g/d)は両試験区間で差は見られなかった。血漿中遊離アミノ酸濃度は実験1では特に差は見られなかったが,実験2においてはアルギニン区でアルギニン,オルニチンが有意に高くなった。以上の結果から,本実験のように離乳時の体重が6.8∼8.2kg程度で増体量が400∼450g/日を示すときは,飼料にアルギニンを添加しても離乳子豚の飼養成績は改善されない可能性が示された。
  • 和賀 正洋, 押田 敏雄, 坂田 亮一
    2016 年 53 巻 1 号 p. 10-16
    発行日: 2016/03/05
    公開日: 2016/06/13
    ジャーナル フリー
    豚肉ヘム色素抽出液を還元して吸収スペクトルを観察した結果,ミオグロビン(Mb)とヘモグロビン(Hb)の他にシトクロムc (Cyt. c)が吸光スペクトルに影響することが強く示唆された。これらのヘム色素の各種誘導体を観察した結果,CO処理したMb,Hb (COMb, COHb)ならびにCyt. cは互いに異なる分光光学的特徴を持っており,COMbは541および578nmに,COHbは539および568nmに,Cyt. cは520および550nmにそれぞれ特徴的な吸光特性が見られ,スペクトル形状が異なった。そこでこれらのヘム色素の吸収ピークである6波長および,COMbとCOHbの等吸収率点がある5波長の合計11波長から3波長を任意に選択し,ランベルトベール則に基づいてテスト溶液のヘム色素濃度の算出を試みた。この算出精度を比較した結果,538,568ならびに578nmの吸光係数を組み合わせた場合に最も高い精度でMb,HbおよびCyt. cを同時に定量出来た。
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