日本養豚学会誌
Online ISSN : 1881-655X
Print ISSN : 0913-882X
53 巻 , 3 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
原著
  • 永井 健一, 兵頭 勲, 小嶋 貞夫, 宇杉 央, 野村 こう, 高橋 幸水, 古川 力
    2016 年 53 巻 3 号 p. 95-104
    発行日: 2016/10/18
    公開日: 2016/12/28
    ジャーナル フリー

    我が国の養豚では三元交雑による肉豚生産が一般的であるが,単なる個体の組合せでは生産物にバラツキが生じてしまう。そこで遺伝的斉一性や生産性を向上させるために,閉鎖群育種による系統造成が行われている。トウキョウXはバークシャー種,デュロック種,北京黒豚を基礎品種に旧東京都畜産試験場で造成され,1997年に系統認定された日本初の合成系統豚である。トウキョウXは系統認定後17年を経過しており,近交度の蓄積による近交退化が危惧されている。そこで血統情報から実際の平均近交係数(F),任意交配時の平均近交係数( f ),平均血縁係数(R)および遺伝的寄与率を算出し,遺伝的多様性を評価した。また正規線形モデルの共分散分析により総産子数(TNB),分娩頭数,生産頭数(NBA) ,死産頭数(NBD),黒子数,哺乳開始頭数,哺乳中死亡頭数および離乳頭数(NW)に対する母豚,父豚,産子の近交度の影響を分析し,TNB,NBA,NBDおよびNWについて遺伝率を推定した。解析データはトウキョウXの血統記録(1990年∼2014年)および分娩記録(1997年∼2014年)であった。FfおよびRは1997年ではそれぞれ6.9%,9.3%および20.0%であったが,2014年にはそれぞれ11.8%,14.7%および26.6%まで上昇した。認定豚の雄の遺伝的寄与率は2000年頃から偏りが生じ始め,2004年以降はおおむね横ばいであった。寄与率の推移は個体により大きく異なり,雌の遺伝的寄与率でも類似した結果を示した。共分散分析において,各近交度の効果は全形質において5%水準では有意性を示さなかったが,母豚の近交度の上昇に伴い繁殖性が低下する傾向がみられた。特にTNBの母豚の近交係数に対する回帰係数から,近交係数10%上昇あたりTNBが0.88頭減少する傾向がみられた。遺伝率はTNB,NBA,NBDおよびNWでそれぞれ0.11,0.07,0.03および0.05と推定された。繁殖形質に育種改良の余地があるか更なる検証が必要である。

資料
feedback
Top