日本養豚学会誌
Online ISSN : 1881-655X
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54 巻, 1 号
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原著
  • 山田 未知, 池原 麻友美, 岡田 裕輝, 後藤 穂高, 武田 陽介, 森好 政晴, 菅野 美樹夫, 尾崎 邦嗣, 山田 幸二, 筒井 静子 ...
    2017 年 54 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2017/03/06
    公開日: 2017/06/12
    ジャーナル フリー

    北海道産未利用原料を用いた肥育期飼料給与が肥育豚の発育,産肉および脂肪組織の脂肪酸組成に及ぼす影響について,市販飼料給与区(対照区)と未利用原料を用いた試験飼料給与区(試験区)の2区を設定して検討した。試験飼料は乾物中粗タンパク質含量が市販飼料のそれと同量となるように,北海道産の規格外ジャガイモ(ジャガイモ)30.0%,廃棄された豆腐(豆腐)16.0%,アスパラガスの切り下(アスパラ)10.0%,商品とならない小麦粉(小麦粉)43.5%に市販のビタミン·ミネラル製剤0.5%を加えて配合した。なお,ジャガイモ,豆腐およびアスパラについては−30℃で凍結保存していたものを解凍·脱水処理後に60℃の送風乾燥機で乾燥し,風乾物として試験飼料の原料とした。給与試験には体重約76kgの三元交雑去勢豚(WLD)を用いた。その結果,発育成績および枝肉成績ともに両区間に有意な差は見られなかった。腎臓周囲脂肪および胸最長筋内脂質の脂肪酸組成は,C18:1の割合が対照区に比べ試験区で有意に低い値を示した(P<0.05)。また,C18:2とC18:3の割合が対照区に比べ試験区で有意に高い値を示した(P<0.01)。さらに,n-6/n-3比は対照区に比べ試験区で有意に低い値を(P<0.01),脂肪の硬軟を示すC18:2/C18:0比は対照区に比べ試験区で有意に高い値を示した(P<0.01)。一方,背脂肪および胸最長筋と頸棘筋間脂肪の融点は対照区に比べ試験区で有意に低い値を示した(P<0.01)。以上の結果から,養豚用飼料原料として活用されていないジャガイモ,小麦粉,豆腐およびアスパラを原料とした飼料を給与した豚は,市販飼料を給与した豚に比べ,脂肪中の多価不飽和脂肪酸が多くなることから,その融点は低くなり,若干脂肪は軟らかくなるものの,n-3系多価不飽和脂肪酸であるC18:3が増加し,その発育および産肉性も市販飼料給与豚と同等であることが確認できた。

  • 前田 恵助, 山中 浩輔, 入江 正和
    2017 年 54 巻 1 号 p. 11-20
    発行日: 2017/03/06
    公開日: 2017/06/12
    ジャーナル フリー

    高タンパク質の飼料条件下において,エコフィードとして利用される砂糖またはチョコレート添加によるカロリーアップが,豚の生産性と肉質にどのような影響を及ぼすのかを調べた。リジン含量0.74%,粗タンパク質含量16.3%の同一飼料条件下で,可消化エネルギー(DE)が4.2Mcal/kgの対照区,砂糖添加によりDEを4.6Mcal/kgとした区,チョコレート添加によりDEを4.6Mcal/kgとした区の3区を設けた。デュロック種18頭(平均体重68.8kg)を各区6頭(雌3頭,去勢雄3頭)ずつ割り当て,体重約118kgまで飼養した。DE増加による日増体量に有意な影響はなかった。枝肉重量は,対照区に比べ,両試験区で重い傾向にあり,枝肉歩留はDE上昇によって高まった。肉質では,砂糖添加区で胸最長筋のL*値が,チョコレート添加区でb*値がやや高くなった。すべての区で筋肉内脂肪含量の平均値は7%以上と高かったが,カロリーアップの有意な効果はみられなかった。皮下内層脂肪,腎臓周囲脂肪において両添加区で,一価不飽和脂肪酸含量が増加し,多価不飽和脂肪酸含量が減少するか,減少する傾向にあった。以上の結果より,高タンパク質飼料条件下においても高い筋肉内脂肪の豚肉は生産でき,砂糖やチョコレート添加によるカロリーアップ法の筋肉内脂肪に対する増加効果は必ずしも期待できないが,脂肪質改善の可能性があることが示された。

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