日本養豚学会誌
Online ISSN : 1881-655X
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55 巻 , 4 号
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原著
  • 松本 光史, 髙木 勇治, 井上 寛暁, 山崎 信, 村上 斉, 高田 良三
    2018 年 55 巻 4 号 p. 131-141
    発行日: 2018/12/20
    公開日: 2019/03/07
    ジャーナル フリー

    暑熱環境下の肥育後期豚の飼養成績低下を軽減することを目的に,アミノ酸を強化した飼料による2つの実験を行った。実験1では飼料中リジン含量を要求量の100% (Lys100区),150% (Lys150区)および200% (Lys200区)にした3試験区を設け,5週間にわたる暑熱期の飼養試験を行った。実験2では飼料中リジン含量を要求量の100% (Lys100区),200% (Lys200区)およびリジン200%に対するトレオニン,メチオニンの含量が理想パターンになるようにこれらのアミノ酸を添加(Lys200TM区)した3試験区を設け,4週間にわたる暑熱期の飼養試験を行った。実験1では,飼料摂取量に有意差は認められなかったが,Lys200区の値が最も高くなった。日増体量はLys100区に対してLys200区で有意(P<0.05)に高い値を示した。飼料効率は試験区間で有意な差は認められなかったが,Lys200区で高い値を示した。血しょう中遊離アミノ酸濃度は,リジンを添加したLys150区,Lys200区でLys100区に対してリジン濃度は高くなったが,逆にトレオニン,アルギニン,ヒスチジンは低くなった。酸化ストレスマーカーとして測定した全血中GPx,血球中SOD,および筋肉中TBARSはいずれも試験区間に差は認められなかった。実験2では,飼料摂取量には試験区間で違いは見られなかった。日増体量に有意差は認められないもののLys200TM区はLys100区よりも高い値を示した。飼料効率はLys200TM区がLys100区に対して有意(P<0.05)に高くなった。血しょう中遊離アミノ酸濃度は,実験1でリジン添加に伴って低下したトレオニン,アルギニン,ヒスチジン濃度は実験2ではそのような反応は認められなかった。以上より,暑熱環境下の肥育後期豚にリジン,トレオニン,メチオニンを要求量の2倍の含量になるように添加して給与することで飼養成績が改善されることが明らかとなった。

  • 田原 岳, 永井 健一, 兵頭 勲, 小嶋 禎夫, 宇杉 央, 田中 大也, 野村 こう, 小林 栄治, 米澤 隆弘, 高橋 幸水, 古川 ...
    2018 年 55 巻 4 号 p. 142-153
    発行日: 2018/12/20
    公開日: 2019/03/07
    ジャーナル フリー

    トウキョウXは1990年にデュロック種,鹿児島バークシャー種,英国バークシャー種,北京黒豚の4品種·系統を基礎豚として系統造成が開始され,1997年に日本種豚登録協会から系統認定された日本初の合成系統豚である。トウキョウXは維持に移行してから20年が経過しており,この間,認定集団の遺伝構成を維持するとともに近交係数を抑制する組み合わせで交配を実施しているが,閉鎖群により飼育されているため,近交度の蓄積による遺伝的多様性の低下が危惧されている。加えてトウキョウXの基礎豚となった北京黒豚自体が合成系統であるため,豚の品種間におけるトウキョウXの系統的な特性ははっきりと解っていない。そこで本研究ではトウキョウXの系統的位置づけと遺伝的多様性,集団構造を明らかにすることを目的として,マイクロサテライトDNAに基づく解析を行った。品種·系統間の遺伝的関係では,主座標分析,系統解析,Structureを用いた遺伝的集団構造の解析のいずれも,トウキョウXはヨーロッパ系群を構成し,中国系群とは遺伝的に離れていること,ヨーロッパ系群のなかではデュロック種およびバークシャー種の影響を強く受けていることが示された。トウキョウXにおける遺伝的多様性指標は,ヨーロッパ系豚と同程度の値を示し,中国系豚よりも高い水準であった。またトウキョウX集団内におけるFIS 値はほぼ0であり,トウキョウXは分集団化が回避されていることが示唆された。血統情報をもとに推定した基礎豚の遺伝的寄与率でも遺伝的斉一性が向上していることが示唆されている。これらのことは近交係数の上昇を抑制する組み合わせで実施している交配様式が有効に機能していることを示している。その一方で閉鎖群による飼育下では近交係数の上昇は不可避であるため,近交退化を防ぐために本研究で得られた遺伝子型情報をもとに出来るだけヘテロ接合度が高くなる交配様式で血統管理を行うことが重要と考えられる。

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