日本養豚学会誌
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59 巻, 4 号
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原著
  • 江川 紗智子, 平山 祐理, 瀧下 梨英, 古川 義仁, 新 晋二, 三角 浩司
    2022 年 59 巻 4 号 p. 177-183
    発行日: 2022/12/21
    公開日: 2023/03/31
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    本研究では,ブタガラス化保存胚を用いた新しい育種素材豚の導入方法について検討した。ガラス化保存胚による育種素材豚導入には,独立行政法人家畜改良センター(センター本所)に導入された13頭のデュロック種を供胚豚として用いた。採取した胚をMicro Volume Air Cooling法を用いてガラス化し,ドライシッパーに封入後,家畜改良センター宮崎牧場(宮崎牧場)に宅配便にて輸送した。受胚豚は,宮崎牧場で飼養されている雌豚13頭を用いた。ガラス化保存胚を加温した後,受胚豚1頭につき,供胚豚1頭分の胚を外科的に移植した。移植成績の比較として,以前我々が実施した新鮮胚移植による育種素材豚導入の成績を用いた。新鮮胚移植には,本所で飼養されている13頭のデュロック種より胚を採取し,38°Cに保温した状態で,家畜改良センター茨城牧場(茨城牧場)へ車で約3時間かけて輸送した。受胚豚は,茨城牧場で飼養されている雌豚13頭を用いた。到着した新鮮胚は,採胚日と同日にガラス化保存胚移植と同様の方法で外科的に移植した。移植後の受胎・分娩率は,ガラス化保存胚で,76.9%,新鮮胚で,69.2%であった。また,子豚生産率は,ガラス化保存胚で,33.3%,新鮮胚で,27.6%であった。受胎・分娩率および子豚生産率において,ガラス化保存胚移植と新鮮胚移植の間に有意な差は認められなかった。以上のことから,ガラス化保存胚移植による育種素材豚導入は,新鮮胚移植と同等の成績が得られることが明らかになった。

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