日本養豚学会誌
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技術ノート
  • 寺田 圭, 鈴木 駿, 大谷 利之, 岡部 修一, 大塚 誠
    2024 年 61 巻 4 号 p. 109-115
    発行日: 2024/12/28
    公開日: 2025/03/26
    ジャーナル フリー

    養豚経営における収益の向上には,出荷される豚の枝肉が上位(極上または上)に格付される比率を高めることが重要である。上位の枝肉格付けを目指すため肥育豚の背脂肪厚の管理が必要となるが,出荷前の肥育豚から出荷後の枝肉背脂肪厚評価を予測する方法は開発されていない。そこで,本研究では生後20週齢の肥育豚について市販の乾電池駆動のハンディ型インピーダンス測定器を用いて,その後出荷した時点の枝肉背脂肪厚評価の内,「厚脂」を予測する式(厚脂予測式)を作成することを目的とした。著者らによる過去の報告で用いた35頭の群(基準群)を利用して厚脂予測式を作成した。出荷後の枝肉背脂肪厚評価で「厚脂」を1「厚脂でない」を0として目的変数とし,20週齢時に測定したインピーダンス値の周波数100 kHzで得られた値と50 kHzで得られた値の比(100 kHz/50 kHz)およびインピーダンス値を測定したときの体重(測定時体重)を説明変数としてロジスティック回帰を実施した。さらに,厚脂予測式を作成した群とは別の44頭の群(検証群)を用いて厚脂予測式の有効性を評価した。基準群のデータを用いて,「厚脂」と判定される確率(0-1)=1/(1+exp(-(-142+183×(100 kHz/50 kHz)-0.33×測定時体重))の厚脂予測式が得られた。この式に20週齢の検証群のデータを代入し,得られた値が0.5以上の個体を「厚脂」とした場合,正解率0.68,再現率0.76,適合率0.70および特異度0.58となった。オッズ比は4.35で95%下限オッズ比が1.20となった。下限オッズ比が1を超えたため本報告で予測された「厚脂」と出荷後の実際の「厚脂」との関連性が有意であることが示され,作成した厚脂予測式が有効であると考えられた。

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