日本養豚学会誌
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原著
  • 三角 浩司, 江川 紗智子, 御澤 弘靖, 平山 祐理
    2020 年 57 巻 4 号 p. 129-137
    発行日: 2020/12/22
    公開日: 2021/03/23
    ジャーナル フリー

    本研究は,生産現場でのブタ胚移植を実施することを目的に,ガラス化保存胚の非外科的移植について検討を行った。供試胚はガラス化保存した胚盤胞~拡張胚盤胞を用いた。受胚豚は未経産豚(8~10ヶ月齢)35頭を用いた。非外科的移植器具には,市販の深部注入用移植器(器具A),深部注入用の試作品(器具B)およびウシ用胚移植器を改良した子宮体移植用の試作品(器具C)を用いた。試験1では,移植部位の確認のため,各移植器をそれぞれ受胚豚5頭に挿入した後,全身麻酔下で開腹手術を行い移植器具の先端部の位置(移植部位)を確認した。その後,ガラス化保存胚を移植した。1頭あたりの移植胚数は1腹採取分(14~16個)で実施した。試験2では,各移植器をそれぞれ立位無麻酔の受胚豚5頭に挿入した後,ガラス化保存胚を移植した。1頭あたりの移植胚数は1腹採取分(15~17個)で実施した。試験1の結果,器具A区では,1頭に子宮穿孔が見られたため,この受胚豚には移植を実施しなかった。他の受胚豚において,移植器の先端は子宮体および子宮角分岐部付近であった。胚を移植した受胚豚4頭中2頭が受胎·分娩し合計8頭の子豚を生産した。器具B区では,受胚豚5頭において,移植器の先端は子宮角分岐部付近であった。受胚豚5頭中3頭が受胎·分娩し合計13頭の子豚を生産した。器具C区では,受胚豚5頭において,移植器の先端は子宮頸管出口付近の子宮体であった。5頭すべて不受胎であった。試験2の結果,器具A区で受胚豚5頭中3頭が受胎したがうち2頭が流産した。残りの1頭から5頭の子豚を生産した。器具B区では,5頭中3頭が受胎·分娩し合計16頭の子豚を生産した。器具Cでは,5頭中3頭が受胎·分娩し合計14頭の子豚を生産した。今回の結果から,無麻酔下の立位状態においては,ブタガラス化保存胚を子宮体へ非外科的に移植することで,外科的移植と同等の効率で産子が得られることが明らかとなった。

  • 瀧下 梨英, 平山 祐理, 橋谷田 豊
    2020 年 57 巻 4 号 p. 138-146
    発行日: 2020/12/22
    公開日: 2021/03/23
    ジャーナル フリー

    ガラス化保存したブタ胚の移植は,特別な施設や技術を要する。このため,種豚農場でのブタ胚移植の普及および定着に向けて,ガラス化胚の簡易で高位安定的な成績が得られる加温·希釈方法を検討した。Micro Volume Air Cooling法によりガラス化した胚盤胞の加温·希釈をシリンジ内で行う簡易な方法により産子はすでに得られているが,流産および胚死滅率は40%と高かった。その際に用いられていた加温·希釈液の温度および量は,実験室の顕微鏡下で加温·希釈を行う従来法の条件(45℃,3 ml)に準じたものであり,シリンジ内加温·希釈法での至適条件の検討が必要と考えられた。そこで,加温·希釈液に対する外気温の影響について,15℃,27℃室温下または38℃保温下で1.5 ml,2 mlまたは3 mlの加温·希釈液に胚を付着させていないガラス化保存用容器を挿入し,その後3分間の加温·希釈液の温度変化を調査した。その結果,15℃室温下では加温·希釈液の温度が8~10℃程度,27℃室温下では4~6℃程度低下した。一方,38℃保温下では一旦,1℃程度の温度低下があったが,3分後にはガラス化保存用容器の挿入前に比べて0.1℃程度の低下にとどまった。つぎに移植液量と受胎および分娩成績との関係を調査した。1.5 mlおよび3 mlの加温·希釈液を各々39℃に保温した状態で加温·希釈したガラス化胚12~16個を各々5頭に移植した。その結果,ともに4頭が受胎して,各々19頭および17頭の産子を生産した。分娩率は各々80%および60%であった。また,移植胚数に対する産子率は各々23.6%および27.5%であり,ともに液量の間に有意差はなく,同等の成績であった。一方,加温·希釈液を39℃に保温することで,当初40%であった流産および胚死滅率が1.5 mlおよび3 mlで各々0%および25.0%に改善された。以上のことより,シリンジ内加温·希釈において,加温·希釈液は39℃に保温することが至適であり,加温·希釈液量は1.5 mlおよび3 mlで良好な成績が得られることが示された。

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