日本養豚学会誌
Online ISSN : 1881-655X
Print ISSN : 0913-882X
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原著
  • 房 家琛, 前多 隼人, 木村 洋文
    2018 年 55 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2018/03/09
    公開日: 2018/06/30
    ジャーナル フリー

    青森県ではリンゴ果汁加工業者から排出されるリンゴジュース搾り粕(以下 : リンゴ粕)の処理が問題となっている。特に乾燥加工処理されていない生リンゴ粕は含水量が高く,飼料としての活用が困難な素材である。近年,日本で広がりつつあるリキッドフィーディング養豚システムは,水分含量の高い食品残さでも乾燥加工費をかけることなく使用できる方法である。また,効率的な給与が可能であることから,今後益々の利用の拡大が期待される。

    本研究では,生リンゴ粕を使用したリキッドフィーディングに最適な生リンゴ粕の添加割合について検討をおこなった。慣行飼料(対照区)に対し,生リンゴ粕を乾物割合で2% (AP2%),4% (AP4%),6% (AP6%),8% (AP8%)加えた後,水分を調整した混合サイレージを作製し,それぞれの飼料の化学成分および発酵品質を分析した。次に平均体重約70 kgの三元交雑種去勢豚15頭を各区に3頭ずつ割り当て,それぞれの飼料にて49日間の肥育試験を実施した。肥育試験終了後,発育成績,肉質,及び血清脂質成分について分析をおこなった。

    対照区と比較し,リンゴ粕添加した各試験区では終了体重,増体量,枝肉重量および背脂肪厚に差は認められなかった。一方,AP4%,AP6%,AP8%区では対照区と比較し飼料摂取量が増加し,飼料効率が低下した(P<0.05)。肉の凍結ドリップ損失率および加熱損失率はAP8%において対照区に比べ有意に低下した(P<0.05)。肉の脂肪酸組成は各試験区間で差は認められなかった。また血清脂質成分にも差はなく,豚の健康状態に影響はなかった。以上の結果から本実験の割合での生リンゴ粕の添加では増体重や枝肉重量に影響がないものの,飼料効率の低下を防ぐためには添加割合2%以内にすることが望ましいことが示唆された。

  • 髙田 勝, 田原 岳, 天野 卓, 野村 こう, 高橋 幸水, 古川 力, 秋篠宮 文仁
    2018 年 55 巻 1 号 p. 12-20
    発行日: 2018/03/09
    公開日: 2018/06/30
    ジャーナル フリー

    琉球豚は中国豚由来であり,黒色を有するアグーと白斑を有するアヨーがある。アグーはバークシャー種との交雑により改良されたと報告されているが,西洋系豚や中国系豚との分子遺伝学的類縁関係は明らかでない。そこで,アグー系とアヨー系を系統内交配により維持している今帰仁アグー集団の繁殖豚AG (B),AG (R),AG (W) とその交雑集団AG (O) およびこれらの祖先集団AG06,AY06,さらに西洋系豚,中国系豚について,マイクロサテライト30座位の遺伝子型を解析することにより,琉球豚の遺伝的多様性とともに西洋系豚,中国系豚との類縁関係および遺伝的構造を明らかにすることを目的とした。有効対立遺伝子数,アレリックリッチネス,多型情報量などの遺伝的多様性の指標値は,いずれもAG (W) が最も小さくAG (O) が最も大きく,AG (O) の多様性は西洋系と同程度であった。今帰仁アグー各系統は西洋系品種に比べてヘテロ接合度の観測値が期待値よりも大きい傾向にあり,FIS は負の値を示して,近親交配を避けた交配が行われていたことが示唆された。品種·系統間の遺伝的関係では,主座標分析から,琉球豚,中国系,西洋系が二次元上にそれぞれのクラスターを形成することが明らかとなった。遺伝的距離にもとづく系統樹からは,AG (B) はAG06と近縁であり,AG (W) はAY06と近縁であることが示され,これらを含む琉球豚は中国系とクラスターを形成した。遺伝的構造の解析からも,琉球豚は中国豚と共通する祖先に由来することが示されたが,AG (B) とAG (R) はバークシャー種と共通する祖先集団由来の遺伝子を有すると推察された。この結果はこれまでの琉球豚の由来の記述を裏付けるものであった。

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