1998年7月,日本で初めての惑星探査機Planet-B「のぞみ」が火星へ向けて打ち上げられた.のぞみに搭載されたMIC(Mars Imaging Camera:可視光撮像装置)による科学観測を補う地上からの支援観測と,のぞみから得られる様々な情報の交換と公開を目的として,探査計画が本格化した1997年に共同観測を発足した.共同観測のメンバーは,MICによる科学観測をめざす研究者と,公開天文台職員やアマチュア天文家である.発足以来,火星が地球へ接近した1997年,1999年,2001年,2003年の4期間にわたって,火星の共同観測を実施した.ミッションは,のぞみを火星周回軌道にのせられなかったが,4期間の共同観測の実施によって,メンバーの間で観測技術や火星の科学について議論が交わされた.また,研究者が,市民の「知りたい」という要望に触れる機会を作ることができた.公開天文台職員やアマチュア天文家は,市民へ,のぞみの科学目的や,火星画像を公開することができた.
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