原始惑星系円盤は惑星形成の現場である.近年,すばる望遠鏡やALMA望遠鏡など,地上の大型望遠鏡を用いた観測によって原始惑星系円盤の観測が大きく進展し,その新たな一面が明らかになってきた.特に,原始惑星系円盤は,一般に「円盤」という時に考えるようななめらかな構造を持っているのではなく,様々なスケールでの構造を持っていることがわかってきた.このような構造から何を読み取っていくか,様々な研究が進められている.本稿では,原始惑星系円盤の観測に関する基本的な事項をまとめた上で,最近の観測によって明らかになってきた円盤構造とその解釈について概説する.
ホットジュピターのような短周期ガス惑星では,大量の質量放出が発生していることが紫外線でのトランジット観測から明らかになっているが,その詳細なメカニズムについてはまだ解決されていない点が多く残されている.我々はガス惑星大気中での磁気流体波動の伝播とその散逸によって,惑星からの大気の流体力学的な流出が駆動されるというモデルを提案し,磁気流体力学シミュレーションを行うことによってそのモデルの検証を行った.その結果,磁気流体波動の散逸によってガス惑星の高層大気は高温に加熱され,大気の乱流が一定の強度以上であれば,観測されている値と整合的な質量放出率が得られることが判明した.さらに質量放出率と大気構造の,惑星質量や半径などのパラメータ依存性についても議論し,質量放出率は大気の圧力スケールハイトに強く依存している事を示した.またこのモデルを大気散逸が観測されている惑星 GJ 436b に対して適用した結果,従来の大気散逸駆動モデルでは説明が困難であった観測的特徴を説明出来るパラメータが存在することが判明した.我々の研究は,ガス惑星大気中での磁気流体波動は大気散逸や大気構造に大きな影響を与える事を意味するものである.
激しい衝撃変成を経験した隕石には,衝撃時の高温高圧下で形成された高圧鉱物が含まれている.これらの高圧鉱物は隕石の主要な母天体である小惑星における衝突現象についての情報のみならず,地球マントル物質の物理化学的性質にも様々な示唆を与えてくれる.
2015年12月7日の金星周回軌道入り以来,IR2カメラによる金星観測は順風満帆というわけではなかった.三ヶ月に及ぶ長い苦労の時期を乗り越えて,2016年3月からはいよいよ本格的に金星撮像データを取得できるようになった.
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