日本惑星科学会誌遊星人
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28 巻 , 4 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
特集「AMLAで迫る惑星科学」
  • 佐川 英夫, 青木 翔平, 前澤 裕之, 中川 広務, 笠羽 康正
    2019 年 28 巻 4 号 p. 277-284
    発行日: 2019/12/25
    公開日: 2020/05/22
    ジャーナル フリー

     2018年の6月から9月にかけて,火星全球が濃いダスト(砂塵)で覆われる全球ダストストーム(global dust storm:GDS)が発生した.これは2007年以来のことであり,地表から撒き上げられた大量のダストによる太陽光吸収や日傘効果によって火星大気および地表面の環境が大きく変化したと考えられる.我々は,ミリ波・サブミリ波帯ではダストの光学的厚みが無視できる程度に小さくなること,つまり,ダストで覆われた火星大気の内部を見通せることに着目し,GDS期間中の火星をアルマ望遠鏡のアタカマコンパクトアレイで観測した.干渉計のビジビリティから地表面放射のディスク平均輝度温度を求めたところ,絶対値に不確定性があるものの,GDS最盛期の輝度温度がGDS収束時と比較して18%も低下していたことが示された.

  • 奥住 聡
    2019 年 28 巻 4 号 p. 285-294
    発行日: 2019/12/25
    公開日: 2020/05/22
    ジャーナル フリー

     惑星形成の現場である原始惑星系円盤において,氷が昇華する場所のことをスノーラインと呼ぶ.スノーラインは惑星の素であるダストの進化や微惑星の形成にさまざまな影響を与えうるが,その正確な位置は実は謎に包まれている.原始惑星系円盤の高解像度観測を可能にした ALMA は,我々のスノーラインに関する理解を大きく前進させる可能性を秘める.本稿では,スノーラインとダストの進化に関する最新の理論的理解を整理したうえで,ALMAを用いた水スノーラインの撮像観測の試みと,ALMA によって発見された原始惑星系円盤のダストリングのスノーライン起源説を紹介する.さらに,将来のスノーライン探査の課題と展望についても議論する.

  • スン カンロウ, 百瀬 宗武, 武藤 恭之, 塚越 崇, 片岡 章雅, 花輪 知幸, 深川 美里, 西合 一矢, 芝井 広
    2019 年 28 巻 4 号 p. 295-304
    発行日: 2019/12/25
    公開日: 2020/05/22
    ジャーナル フリー

     多くの原始惑星系円盤のガスとダストが異なる空間分布を持つことがアルマ望遠鏡によって明らかにされた.本研究は,一つのケーススタディとして若い星HD 142527に付随する原始惑星系円盤のガスとダストの質量比,ガス・ダスト比の空間分布を明らかにする.本稿の最初ではまず,若い星HD 142527に付随する原始惑星系円盤のアルマ望遠鏡の観測結果を紹介する.対象は98.5 GHzと336 GHzのダスト連続波放射と,13COとC18Oの回転遷移J=1-0とJ=3-2の輝線放射である.次に,これらの観測結果を用いて,局所熱力学平衡を仮定してガス面密度とダスト面密度を導出する.本研究で初めて,ガス・ダスト比は円盤の方位角方向に緩やかに変化することと,ガス面密度とダスト面密度との相関関係が見つかった.本稿の内容はSoon et al.(2019)[1]に基づく.

  • 秋山 永治
    2019 年 28 巻 4 号 p. 305-312
    発行日: 2019/12/25
    公開日: 2020/05/22
    ジャーナル フリー

     これまでぎょしゃ座SU星の描像が不明であったが,今回のアルマ望遠鏡による観測で原始惑星系円盤に長さ1000 au以上の尾構造が付随することが確認された.幾何学的な構造に加え速度構造を調べた結果,円盤と尾構造は物理的に接続し一つの系を形成していることが判明した.さらに,原始惑星系円盤と尾構造で構成される系の起源について数値流体シミュレーションで調査したところ,(1)他天体との衝突,(2)周囲の分子雲によるガス流との相互作用,(3)重力不安定による天体放出,のシナリオで観測結果を再現することができ,現段階では褐色矮星程度の質量を持つ天体との衝突または円盤へのガス塊の降着が最も妥当な説明となっている.今後,広視野観測やSiO輝線をはじめとするショックトレーサーを用いた観測で衝突に関する観測的証拠を積み上げ,衝突後の原始惑星系円盤の進化と惑星形成が可能な環境が再構築されるのか調査していく予定である.

「2018年度最優秀発表賞受賞記念論文」
  • 黒川 宏之
    2019 年 28 巻 4 号 p. 266-276
    発行日: 2019/12/25
    公開日: 2020/05/22
    ジャーナル フリー

     近年,系外惑星観測によって,ホット・ジュピターやスーパー・アースといった太陽系に存在しないタイプの惑星に関する統計的性質が明らかにされつつある.一方,太陽系探査・地球外試料分析によって,分析によって,地球型惑星や小天体に関する詳細な宇宙・地球化学データが取得されてきている.筆者は理論モデルを構築し,これらの情報と比較することでその解釈を行ってきた.本稿ではまず,ホット・ジュピターの大気散逸と内部構造,スーパー・アースの形成過程という系外惑星の研究から惑星系形成・進化の全体像に迫る.次に,地球型惑星の表層環境進化,小天体の水岩石反応と赤外スペクトルという太陽系史の研究から,惑星系一般における太陽系の普遍性・特殊性を議論する.

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