中間赤外カメラ(LIR)はあかつきの打ち上げ直後(2010年)から2024年最新の観測まで実に10年を超える期間正常に動作し,2016年4月以降はほぼ毎日観測を行ってきました.このような長期連続観測を,しかも宇宙空間で続けるとなると装置の性能が正しく維持されるかは大きな問題となります.これはLIRも例外ではなく,詳しい調査により観測期間中にLI Rには5%以上の感度低下が生じており,金星の観測温度に長期の見掛け上の温度変化を生じさせていることが分かりました.そこでLIRチームでは感度の時間変化量を定量化し,新たなプロダクトとして「Level2d」を定義して観測温度の補正を行ったデータを公開しています.本記事では,Earth, Planets and Space誌に発表した論文[1]に基づきLIRの追加キャリブレーションについての紹介,またこの成果に基づくプロダクトの配布,および補正済みデータによる時系列解析事例について紹介します.Level2dプロダクトが,特に長期の金星温度観測解析に役立てられることを期待しています.
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