日本惑星科学会誌遊星人
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33 巻, 3 号
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
特集「宇宙防災:科学と工学の新たな展開」
  • 岡田 達明, 田中 智, 坂谷 尚哉, 嶌生 有理, 石崎 拓也, 荒井 武彦, 千秋 博紀, 出村 裕英, 関口 朋彦, 神山 徹, 金丸 ...
    2024 年33 巻3 号 p. 220-234
    発行日: 2024/09/25
    公開日: 2024/11/22
    ジャーナル フリー

    2013年2月15日にロシア連邦チェリャビンスク (Chelyabinsk) 近郊に飛来した直径17 mの小惑星によって甚大な人身・物損被害が発生して以来,小惑星の地球衝突に対する防災科学「プラネタリーディフェンス」が,世界中で真剣に取り組まれ始めた.Heraは欧州宇宙機関 (ESA) が主導するS型小惑星Didymosと衛星Dimorphosを探査する計画である.米国航空宇宙局 (NASA) のDART探査機によるDimorphosへの衝突によって実践された史上初の軌道修正の効果を,Heraが現地観測によって定量的に検証する.日本からも熱赤外カメラTIRIを提供して熱物性や組成の観測を行い,さらに小惑星科学での貢献を通してHeraに参画する.

  • 金丸 仁明, 岡田 達明, 坂谷 尚哉, 嶌生 有理, 田中 智, 石崎 拓也, 千秋 博紀, 荒井 武彦, 関口 朋彦, 出村 裕英, 平 ...
    2024 年33 巻3 号 p. 235-242
    発行日: 2024/09/25
    公開日: 2024/11/22
    ジャーナル フリー

    小惑星の表面温度は,探査機による近傍運用の計画立案や観測データの解釈を行う上で基礎的な情報である.近年では小惑星探査機に搭載された熱赤外カメラによる小惑星の熱撮像が行われるようになった.熱観測のデータから小惑星の熱物性を決定するためには,合わせて数値シミュレーションによる温度の推定を行う必要がある.二重小惑星探査計画Heraに向けた熱物理モデルの開発の状況と期待される科学成果について紹介する.

  • 中原 俊平, 杉田 精司, 諸田 智克, 長 勇一郎, 平田 成, 巽 瑛理, 湯本 航生
    2024 年33 巻3 号 p. 243-253
    発行日: 2024/09/25
    公開日: 2024/11/22
    ジャーナル フリー

    Hera探査機は,小天体衝突回避に向けて小惑星への人工物衝突によるイジェクタ発生機構を解明することを目的としている.人工イジェクタとそれ以外の物質は宇宙風化度で区別できるので,宇宙風化度の高解像度観測が探査の成否を握る.本研究では,従来の標準手法だった多波長に基づく指標より高解像度観測が実現できる単色撮像で宇宙風化度を推定し,イジェクタを判別できる手法を提案し,従来の指標と同等の確度で宇宙風化度を推定できることを示した.さらに,表層と基層からのみなる単純なモデルを用いて,イトカワ表面の宇宙風化頻度分布の形を再現できることを示した.特に分布をよく再現するのは表面年代が1〜3 Myrの場合であった.本値はイトカワ試料年代と調和的であり,モデルの妥当性を示唆するものである.

  • 西尾 峻人, 大槻 圭史, 杉浦 圭祐
    2024 年33 巻3 号 p. 254-261
    発行日: 2024/09/25
    公開日: 2024/11/22
    ジャーナル フリー

    地球に衝突し得る小惑星の衝突回避の方法の一つとして,小惑星に人工的な衝突を起こして運動方向を変えるというものがある.その有効性の実証のため,探査機DARTによる宇宙衝突実験が行われ,小規模な衝突による運動量輸送が確認された.一方,様々な規模の衝突による速度変化は,微惑星や小惑星の力学進化の基礎過程としても重要である.我々は衝突シミュレーションを用いて,衝突による標的天体の速度変化と破壊規模の関係を調べつつある.その結果,速度変化は破壊規模や衝突する二天体の質量比に依存することがわかった.本稿では,運動量輸送に関するDA RTの結果を簡単に紹介するとともに,我々のシミュレーションの結果について報告する.

  • 阿部 新助, 柳澤 正久, 小野寺 圭祐
    2024 年33 巻3 号 p. 262-269
    発行日: 2024/09/25
    公開日: 2024/11/22
    ジャーナル フリー

    ふたご座流星群母天体である小惑星Phaethonを起源とするcmサイズ粒子の物理量は,活動小惑星の起源や彗星から小惑星への進化過程を理解する上で重要である.2018年ふたご座流星群に伴う月面衝突閃光の観測から,わずか3時間の間に11イベントが検出された.月面に衝突したPhaethon起源のメテオロイドの質量は8〜350 g,換算直径は1.7〜5.9 cm,衝突クレータ直径は1〜4 mと推定され,フラックス,質量指数,クレータのサイズ指数などが導出された.月周回衛星画像からクレータが同定されれば,未解明である発光効率の決定に繋がり,cmサイズ粒子の空間情報は,Phaethonのダスト・トレイル形成の謎に一石を投じるであろう.

  • 浦川 聖太郎
    2024 年33 巻3 号 p. 270-275
    発行日: 2024/09/25
    公開日: 2024/11/22
    ジャーナル フリー

    2013年の遊星人において「スペースガード観測の現状」と題して,当時のプラネタリーディフェンスに対する観測の取り組み(地球接近天体に対する観測)について解説を行った[1].その後,時間軸天文学に根ざした大規模サーベイ観測の発展により,プラネタリーディフェンスの観測に大きな進捗が見られている.また,アーカイブデータを利用したシチズンサイエンスによる太陽系小天体の探索という,新たな活動も行われるようになっている.加えて,重ね合わせ法という画像処理技術が開発され,その技術を用いて地球接近天体の発見に成功している.今回の特集記事に際し,2013年から現在に至るまでのプラネタリーディフェンスに対する観測の進捗と現状についてまとめる.

  • 山本 展彰
    2024 年33 巻3 号 p. 276-285
    発行日: 2024/09/25
    公開日: 2024/11/22
    ジャーナル フリー

    プラネタリーディフェンスは,グローバルな規模で人や社会に対する影響をもたらすものである.そのため,必然的に法との関わりを有しており,プラネタリーディフェンスの研究開発と社会実装を円滑に進めるためにも,法的観点からの検討を行うことには意義がある.本稿は,近年注目を集めているELSI(倫理的・法的・社会的課題)/RRI(責任ある研究・イノベーション)を出発点に,プラネタリーディフェンスをめぐる法理論的課題について予備的考察を試みるものである.本稿を通じて,今後の法理論的研究に向けては,プラネタリーディフェンスの各側面が有する不確実性への対処が重要な課題であること,自然科学諸分野や研究開発現場との協働が必要であることが示唆される.

特集「若い惑星および周惑星円盤・衛星形成研究最前線」
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