植物のエチレン受容体モデルとして,トリス(1-メチル-2-イミダゾリル)メタノール(=TMI)および1,1-ビス(1-メチル-2-イミダゾリル)-1-オクタノール(=BMI)を配位した銅(I)エチレン錯体を合成することに成功した。[Cu(tmi)(C
2H
4)]ClO
4〔1〕におけるCu-C
2H
4結合は,σ 供与結合が支配的でπ逆供与は弱いことが,配位エチレンの
1H-NMR化学シフトおよびν
c=cから明らかにされ,植物の受容体-エチレン結合に類似していることが示された。さらに〔1〕はエチレン活性を示すCOと容易に置換し,カルボニル錯体[Cu(tmi)(CO)]ClO
4〔2〕を与え,エチレン受容体モデルと類似の機能を有することが明らかにされた。〔2〕はν
coをアセトン中で2060cm
-1,固体では2115cm
-1に示すことから,COがターミナル配位した単核錯体である。〔2〕を真空中,100℃ で3時間加熱するとCOが脱離し,二核錯体[Cu
2(tmi)
2](ClO
4)
2を生成した。BMIの場合も,エチレン錯体[Cu(bmi)(C
2H)
4]ClO
4のみならずカルボニル錯体[Cu(bmi)(CO)]ClO
4を合成することに成功した。
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