数学的モデリングの動向において,その導入に焦点を当ててみると,導入に時間が掛 かってしまう事が課題として挙げられている。そこで筆者は,スェーデンにおいて実施されて いるJonas Bergman Arlebackらの研究に着目し,フェルミ推定問題を導入題材として扱うことに より,長時間を要せずに高等学校段階にモデリングの導入が可能であるという示唆を得た。本 研究は,日本の高等学校段階に対してフェルミ推定問題を活用の可能性についての基礎研究を 行うことを目的とした。日本の高等学校段階1年生及び大学で数学を専攻する学部3年生に対し 「東京スカイツリー問題」を出題,予め準備した数学的モデリングの副アクティビティが発現 するのかどうかをダイアグラム化した対話の内容をプロトコル分析によって示した。結果とし て,モデル化の副アクティビティは発現しかつ短時間で方法論の導入は可能であるという示唆 を得た。
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