症例は69歳,男性. 33年前の労災事故で両側下肢完全麻痺となり,以後臥床生活を送っていたが,呼吸困難発症のため救急受診した際,巨大ブラに合併した気胸と診断された.なお8年前,某医にて自然気胸の診断で約2週間の胸腔ドレナージを受けていた.入院後直ちに胸腔ドレナージを施行したが,一側肺野を占める大きなブラにより縦隔は健常側へ偏位したままであり,呼吸困難はほとんど解消されなかった.さらにこのブラ内ヘドレーンを挿入して縦隔偏位や症状の改善がみられたが患側肺の拡張は得られず, Naclerio-Langer法に準じたブラ切除・縫縮を行った.長期間の臥床により生じた褥創処置の他は問題なく経過し,動脈血液ガス分析所見もPaO
252, PaCO
2 37mmHg (酸素吸入4L/分)から術後はroom air条件下にてPaO
2 60, PaCO
2 43mmHgと酸素投与も必要とせず術後40日目に退院となった.
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