中央アルプス木曾駒ケ岳の低山帯の鳥相を1年間を通じて調査した.調査方法は,前報(古厩,1978)の高山帯での調査と同様にライントランセクト法を用いた.
(1)観察された鳥類は,全部で6目18科43種であった.センサスの結果を Table1 に示し,若干の種についてその概要を述べた.
(2)種類数および個体数は,ともに繁殖期に最大値を示し冬季に最小値を示した.優占度の最も高い種は,少数の例外を除いて繁殖期は,夏鳥と漂鳥によって占められ,繁殖期以外は調査地に留鳥として生息するカラ類5種(エナガ,コガラ,ヒガラ,シジュウカラ,ゴジュウカラ)のうちのいずれかであった.
(3)雄のさえずりを記録しやすい種について,.さえずり記録数から繁殖番数の推定を試みた.
(4)コルリ,ウグイス,オオルリでは渡来後にその生息範囲の上限が除々に上がっていくのが観察された.
(5)カラ類の混群は,繁殖期の3ヵ月間を除いて,すべての調査で観察された.カラ類6種のすべてが混群の構成種となっていた.またカラ類5種を含む混群が3例観察された.
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