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クエリ検索: "しんのすけ"
88件中 1-20の結果を表示しています
  • 間藤 卓, 米川 力
    蘇生
    2018年 37 巻 3 号 242a
    発行日: 2018/10/31
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー
  • 小久保 陽太
    日本ゴム協会誌
    2019年 92 巻 1 号 10-14
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/23
    ジャーナル フリー

    Rubber is widely used in automotive and consumer fields. We are investigating the application to electrostatic capacitive sensors and electrostrictive polymer actuators by making rubber conductive. The conductive rubber sandwiches the dielectric layer (foamed urethane) so that it detects the capacitance change of the layer due to the load stress on the sensor. By using conductive rubber, we have succeeded in developing highly reliable capacitive sensor. We are promoting sensor development that can be used in medical, nursing care and automotive fields. In addition, it can also apply to an electrostrictive polymer actuator by laminating a rubber electrode and a dielectric layer with high insulating property.

  • 浦 光博
    社会心理学研究
    2010年 26 巻 2 号 163-164
    発行日: 2010/12/20
    公開日: 2017/02/21
    ジャーナル フリー
  • 依田 哲也
    日本口腔外科学会雑誌
    2013年 59 巻 8 号 505
    発行日: 2013/08/20
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル フリー
  • 若年者側のコストとしての顔再認記憶成績の分析
    原田 悦子, 鷹阪 龍太, 田中 伸之輔, 水浪 田鶴, 須藤 智
    日本認知心理学会発表論文集
    2021年 2020 巻 PT1_14
    発行日: 2021/03/15
    公開日: 2021/03/15
    会議録・要旨集 フリー

    Suzuki(2018)は「いい人/悪い人」の行動を複数回体験する投資信頼ゲームにおいて,高齢者は「個別の相手の信頼性」の学習が困難であることを報告したが,その学習支援として原田ら(2020)は,信頼ゲームの際「高齢者が若年成人と相談できる」効果を検証した.その結果,高齢者の投資ゲーム成績は向上し,その要因として若年成人とのペア実施が高齢者の制御焦点に影響を与えた可能性を示唆した.本研究はそうした学習支援がもたらす負の影響として,若年成人の顔写真再認記憶成績の低下を報告し(実験1),若年成人同士のペア条件との比較から,その成績低下が若年成人群の年齢の効果,あるいはペアでの課題遂行によるものではなく,「高齢者とペアを組むこと」による効果であることを示した(実験2).高齢者にとっての若年成人との対話がもたらす利益を強調しつつ,そこに生じる若年成人の対話負荷についても注意をする必要性が示された.

    Suzuki (2018) reported that older adults have difficulty in learning individual"s trustworthiness in the investment game, in which they experience "good/bad guy" behaviors four times. Based on this, Harada et al.(2020) examined facilitating effects of conversation with younger adults on older adults" game performance, showing that improvements coming from shifting regulatory focus, not from improvement of their memory. In this study, we analyzed negative sides of supportive activity on face-recognition memory performance, which appeared only with younger adults (exp.1), and compared it with the new condition, the pairing younger adults (exp. 2). Results showed that decline in face memory by younger adults in exp.1 was not due to the age of younger participants, nor executing the task in pair, but to being paired with an older partner. Although for elders conversation with younger adults give benefits, we should be aware the cost of younger adults, as conversational load.

  • *上田 真由子, 和田 一成, 臼井 伸之介
    日本認知心理学会発表論文集
    2012年 2012 巻 P2-16
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    会議録・要旨集 フリー
    覚醒水準が極端に高くなりやすい緊急事態には、ヒューマンエラーが発生しやすいと言われている。しかし、緊急事態下の行動に関する研究は、ほとんどが事例分析や集団パニックに関するものであり、個人の緊急事態下の行動を実験的に検討した研究はほとんどない。そのため、本研究では、緊急事態の定義となる「時間切迫性」と「重大性」の2つを同時に設定した環境(高覚醒条件)を設定し、実験参加者に水道管ゲームを遂行させた。また,副次課題として時折画面中央にターゲットを提示し,できるだけ速く正確に反応するように求めた。 その結果,統制条件と比較して高覚醒条件では,クリック回数が増え,思考時間も短くなった。また,ターゲットに対するミス率とFA率も高くなった。つまり人間は,非常事態に「深く考えないとりあえずの行動」を積極的に実施しがちになり、また実施中の作業以外への事象に対して気づきにくく,間違って反応しやすいといえる。
  • 江川 義之, 庄司 卓郎, 中村 隆宏, 臼井 伸之介
    日本人間工学会大会講演集
    2002年 38spl 巻
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/11/18
    会議録・要旨集 フリー
  • *所 晋之助, 矢野 智則, 相良 裕一, 宮原 晶子, 平岡 友二, 小林 泰俊, 坂本 博次, 砂田 圭二郎, 山本 博徳
    日本小腸学会学術集会プログラム・抄録集
    2018年 2 巻 S1-7
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/06
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】

    小腸リンパ管拡張症に対してはステロイドの全身投与を行うことがあるが, 漸減・中止により再燃し長期投与が必要になる症例も少なくない. ブデソニド(以下BUD)は初回通過効果で多くが代謝されるため, 副作用も含めて全身作用は少ないとされている. 今回BUD腸溶性顆粒充?カプセルであるゼンタコート(ゼリア新薬工業)内服が有用であった小腸リンパ管拡張症の3例を経験したので報告する.

    【症例】

    症例1. 18歳男性で下腿浮腫と低アルブミン血症(1.1g/dl) があり, プレドニゾロン(以下PSL)内服で治療開始し改善を認めた. その後PSLを漸減し中止するも再燃したため,BUD 9mg内服を開始した. 症状は改善し, 現在3mgまで減量している.

    症例2. 21歳男性で水様便と低アルブミン血症(1.6g/dl) が増悪したため,PSL内服を開始した. その後漸減すると再燃したため,PSL 5mg内服を継続していた.PSL内服からBUD 3mg内服に変更したところ再燃はみられず, 現在3mg隔日投与まで減量している. 症例3. 38歳女性で下腿浮腫と下痢と低アルブミン血症(1.1g/dl) があり,PSL内服を開始した. 自己免疫性溶血性貧血もあるため慎重にPSLを減量したが,PSL10mgの継続内服が必要であった.BUD 3mg内服の併用を開始したところPSL減量が可能となり, 現在PSL4mgまで減量しているが症状の再燃は認めていない.

    【結論】

    ゼンタコートは下部回腸から右側大腸にかけてのクローン病に有効とされているが、空腸病変を主とする小腸リンパ管拡張症においても有用である可能性がある.

  • 鈴木 陽介, 黒澤 昌洋, 山中 真, 橋本 茜, 泉 雅之
    蘇生
    2025年 44 巻 1 号 7-12
    発行日: 2025/04/01
    公開日: 2025/04/09
    ジャーナル フリー

    目的:一般病棟のマットレスで蘇生用マネキンに胸骨圧迫を行う場合,背板の使用が深さ,リコイル,施行者の疲労度に与える影響を明らかにする。方法:女性看護師30名を対象にランダム化クロスオーバー比較試験を行い,2分間の胸骨圧迫の質や疲労度について,背板の有無による差を測定した。結果:胸骨圧迫の深さは,背板使用群4.26cm,背板不使用群4.43cmであり有意差を認めなかった(p=.39)。修正ボルグスケール,バイタルサインも,全ての項目において両群に差を認めなかった。結論:女性看護師が胸骨圧迫を行う場合,背板を使用しても胸骨圧迫の深さ,リコイル,施行者の疲労度に影響を及ぼさない可能性が示唆された。

  • *田中 剛, 仙田 量子, 柴田 信之介, 南 雅代, 谷水 雅治
    日本地球化学会年会要旨集
    2002年 49 巻 1P54
    発行日: 2002年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    岩石中の白金族元素は、濃度が低く、かつ遍在するために、再現性のある定量が困難であった。Re, Os, Ru, Irが容易に放射化される2つ以上の安定同位体を含む事に着目して、同位体希釈中性子放射化分析を試みた。良好な再現性を得た。
  • 和中 真之介
    日本船舶海洋工学会誌 KANRIN(咸臨)
    2021年 97 巻 14
    発行日: 2021/07/10
    公開日: 2023/03/07
    解説誌・一般情報誌 フリー
  • 野中 弘敏, 中野 隆司
    日本教育心理学会総会発表論文集
    2006年 48 巻 PC027
    発行日: 2006/08/21
    公開日: 2017/03/30
    会議録・要旨集 フリー
  • *白井 克明, 小尾 晋之介, 益田 重明
    理論応用力学講演会 講演論文集
    2003年 52 巻 2003324
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/03/25
    会議録・要旨集 フリー
    球面波の干渉を用いた新しい局所壁面せん断応力の光学的測定方法を提案する。本測定法はレーザドップラー流速計の応用であり、検定を必要としない。本測定法で得られるドップラー信号の周波数はバースト中に変化し、その変化の様子は粒子の通過する位置と角度に依存する。そのため、本測定方法を用いれば局所壁面せん断応力の大きさと向きの同時測定が可能と考えられる。本測定法の実現には、局所壁面せん断応力の向きを検出するための特別な信号処理法が必要である。本研究ではドップラー信号の性質を利用した信号処理法を提案し、それついて議論する。
  • 石本 麻友子, 林 悠太, 鈴川 芽久美, 波戸 真之介, 今田 樹志, 小林 修, 秋野 徹, 島田 裕之
    理学療法学Supplement
    2013年 2012 巻 E-S-03
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/20
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに、目的】内閣府の高齢者社会白書によると、65 歳以上の独居高齢者は増加傾向にあり、平成22年には高齢者人口に占める割合が24.2%となっている。また高齢者世帯も多く、その割合は29.9%となっている。要介護認定者数は年々上昇していることから、介護が必要な状態にある独居高齢者、高齢者世帯の増加も見込まれる。財団法人日本公衆衛生協会の調査によれば、重度な要介護状態にありかつ認知症状もみられる独居高齢者も、自宅で生活を継続している事例が指摘されている。さらにその多くが居宅生活を続けることを望んでいるという調査結果が示されている。理学療法士にとって、独居や高齢者世帯の高齢者ができる限り長く居宅生活を営めるよう支援することは重要な責務であると考える。居宅生活を継続する要因について、村田らは軽度要介護高齢者を対象として5年間の追跡調査を行った結果、身体機能、認知機能には有意差は認められなかったが、主観的健康感と社会参加の有無には有意差が認められたと報告している。しかしこの研究の課題として、対象者数が少ない点、介護度を軽度者に限定している点、重度の認知症がある高齢者を除外したことが挙げられている。そこで本研究では、デイサービスを利用している要介護高齢者で、介護度を限定せず、認知機能障害を呈している高齢者も含めた大規模集団を対象に世帯構成別に心身機能の比較を行い、居宅生活を継続するために必要な要因を明らかににすることを目的とした。【方法】対象は通所介護サービスを利用していた要介護高齢者3743名(要支援1: 13.8%、要支援2: 15.8%、要介護1: 34.7%、要介護2: 22.1%、要介護3: 10.5%、要介護4: 2.6%、要介護5: 0.4%)であり、高齢者の独居群(男性244名、女性746名、平均年齢81.4±6.6歳)、高齢者世帯群(男性245名、女性177名、平均年齢80.8±5.9歳)、高齢者以外の家族と同居している同居群(男性684名、女性1647名、平均年齢83.1±6.4歳)に分類した。調査項目は、握力、chair stand test 5-times(CST)、開眼片足立ち、歩行速度、timed “up & go” test(TUG)、mental status questionnaire(MSQ)とした。世帯構成間の比較について、CST、開眼片足立ち、TUG、MSQはKruskal-Wallis検定、握力、歩行速度は一元配置分散分析を用い、有意差を認めた場合は多重比較検定としてそれぞれSteel-Dwass法、Tukey-Kramer法を用いた。有意水準は5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】対象者にはヘルシンキ宣言に沿って研究の主旨及び目的の説明を行い、同意を得た。なお本研究は国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会の承認を受けて実施した。【結果】全ての調査項目において群間で測定値に差があることが認められたため、多重比較検定を行った。片脚立ちとTUGにおいて独居群は同居群よりも有意に高い運動機能を示し、片脚立ち独居群4(1-60)秒、同居群3(1-60)秒、TUG独居群12.1(5.8-52.6)秒、同居群13.1(5-131)秒であった。CSTと歩行速度は、独居群と高齢者世帯群が同居群に比べ有意に高い運動機能を示し、CST独居群10.5(3.8-50)秒、高齢者世帯群10.2(3.1-39)秒、同居群11.0(3-76.5)秒、歩行速度独居群0.81±0.25m/秒、高齢者世帯群0.80±0.27m/秒、同居群0.76±0.26m/秒であった。MSQは独居群が高齢者世帯群、同居群に比べ有意に高い認知機能を示し、独居群1(0-10)点、高齢者世帯群2(0-10)点、同居群2(0-10)点であった。握力は、すべての群間において有意差が認められた。【考察】独居群は同居群に比べ、片足立ちやTUGといった身体機能のなかでもバランス機能の高さが重要である。また独居群だけでなく高齢者世帯群においても歩行や下肢筋力といった日常生活の根底を支える身体機能の高さは、同居群よりも必要であると考えられる。認知機能は独居群が高齢者世帯群や同居群よりも高く、独居生活における認知機能の重要性が示唆された。握力においてはすべての群間で有意差があり、世帯構成を分類するための評価指標として有用である可能性がある。【理学療法学研究としての意義】本研究において明らかとなった世帯構成別の心身機能の特徴は、理学療法士が要介護高齢者の居宅生活を継続するための効果的な方策を探る上で、有用であると考える。
  • 波戸 真之介, 鈴川 芽久美, 林 悠太, 石本 麻友子, 島田 裕之
    理学療法学Supplement
    2012年 2011 巻
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに、目的】 介護予防という概念は要介護状態になるのを未然に防ぐことに加え、現在要介護状態にあっても、それ以上状態を悪化させないことを含む。2006年の介護保険改正時には要支援者に対する「新予防給付」が制定され、「新予防給付」における「運動器の機能向上」は諸施設で理学療法士が取り組む機会も多い。しかし、要介護高齢者における心身機能やADLについての報告は未だ少なく、どのような取り組みが要支援の状態から要介護に移行する過程を延長させるために有効か十分明らかとなっていない。そこで本研究の目的は要支援者と要介護者間の心身機能の相違を明らかにし、介護予防の評価及び介入を実施する必要性の高い項目を検討することとした。【方法】 対象は全国の通所介護サービスを利用している要支援1から要介護2の高齢者で、各運動機能および認知機能検査を実施できた3198名(平均年齢82.0±6.45歳、女性2208名)であった。このなかで、要支援1および2を要支援群(1129名)、要介護1および2を要介護群(2069名)とした。調査項目は、年齢、性別に加え、運動機能の指標として握力、Chair Stand Test 5 times(CST)、Timed Up & Go(TUG)、開眼片脚立ち時間を測定した。また、認知機能の指標としてはMental Status Questionnaire(MSQ)を測定し、誤答数が0から2を「認知症の疑い無し」、3から10を「認知症の疑い有り」とした。統計学的解析は、各測定項目における要支援群と要介護群の差を検討するため、t検定とχ2検定を用いて比較した。加えて、従属変数を要介護認定状態(要支援群:0、 要介護群:1としてダミー変数化)、独立変数を年齢、性別(男性:0、女性:1)、握力、CST、TUG、開眼片脚立ち時間、認知症疑いの有無(認知症の疑い無し:0、有り:1)、とした強制投入法による多重ロジスティック回帰分析を行い、各独立変数のオッズ比を求めた。有意水準はp<0.05とした。【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には本研究の主旨および目的の説明を行い、同意を得た。なお本研究は国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会の承認を受けて実施した。【結果】 単変量解析により要支援群と要介護群を比較したとき、年齢に有意差は認められなかったが、性別は要支援群で女性が有意に多かった。体力測定は要支援群が握力、CST、TUGで有意に良好な結果を示したが、開眼片脚立ち時間に有意差は認められなかった。また、要介護群は認知症疑いの有る人が有意に多い結果を示した。多重ロジスティック回帰分析により求めた各独立変数のオッズ比は、年齢が0.97(95%信頼区間;0.96-0.98、p<0.01)、性別が0.55(95%信頼区間;0.44-0.68、p<0.01)、握力が0.97(95%信頼区間;0.96-0.99、p<0.01)、CSTが1.00(95%信頼区間;0.99-1.02、p=0.95)、TUGが1.03(95%信頼区間;1.01-1.04、p<0.01)、開眼片脚立ちが1.00(95%信頼区間;0.99-1.01、p=0.77)、認知症疑いの有無が6.68(95%信頼区間;5.52-8.08、p<0.01)を示した。【考察】 握力やTUGといった筋力、歩行機能の低下が要支援から要介護に移行する要因として抽出されたことは、運動療法を用いた機能向上で介護予防が期待出来る可能性を示唆しており、介護予防における理学療法の有用性を支持する結果であった。加えて、要介護状態と認知機能の有無の関連性が認められたため、要支援および要介護高齢者に対して認知機能の評価を積極的に実施する重要性が確認された。しかし、今回使用したMSQは簡便な認知機能検査であるため、より詳細な検査を用いての検証が今後必要である。また今後は、筋力や歩行等の運動機能や認知機能の向上が要介護状態の維持、改善に寄与できるかを縦断的に検討するべきだと考えられる。【理学療法学研究としての意義】 介護予防事業において「運動器の機能向上」は国民の健康寿命を伸ばすうえで重要とされている。「運動器の機能向上」の取り組みにあたり、本研究のように大規模集団を対象とした研究によって要支援者と要介護者間の心身機能の相違を明らかにすることは、今後対象者評価の一助となり効率的な介入につながることが期待される。
  • 林 悠太, 鈴川 芽久美, 波戸 真之介, 石本 麻友子, 島田 裕之
    理学療法学Supplement
    2012年 2011 巻
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに、目的】 日常生活活動(ADL)障害を持たない地域在住高齢者を対象に、運動機能とADLの障害発生率との関連を報告した研究は多く見られ、ADLの低下予防には運動機能の維持が重要な要素となっている。しかし、要介護高齢者においては、運動機能とADLの関連を明らかにした研究は少ない。そこで、本研究では要介護高齢者を対象に、運動機能とADLの関連を検討し、効果的なADL予防対策を探ることとした。【方法】 対象は通所介護サービスを利用していた要介護高齢者2695名(男916名、女1779名、年齢81.9±6.7歳)であった。要介護度の内訳は、要介護1が48.3%、要介護2が33.4%、要介護3が14.2%、要介護4が3.5%、要介護5が0.6%であった。対象者の条件は、明らかな認知症を有さず、すべての検査の実施が可能であることとした。測定項目は、運動機能として握力、chair stand test(CST)、片足立ち検査、6m歩行速度、timed up & go test(TUG)を、ADLの評価としてFunctional Independence Measure(FIM)の運動項目13項目(FIM-M)を用いた。FIM-Mはすべての項目が6点以上である者を自立群、1項目でも5点以下の項目がある者を介助群として2群に分けた。解析方法については、従属変数は自立群・介助群とし、独立変数は年齢・性別・運動機能の各測定項目とした。各変数において単変量解析(χ2検定・t検定・Mann-WhitneyのU検定)を行い、有意差が見られたものにおいて、ロジスティック回帰分析を用い比較・検討した。また、ロジスティック回帰分析によって選択された因子は、ROC曲線を用いて自立群と介助群を最適分類するためのcut-off値、および曲線下面積(AUC)を求め、感度・特異度を算出した。有意確率は5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には、数値の公表に関して、統計量を用いるなど個人の特定がなされないよう配慮することで了承を得た。本研究は国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会の承認を受けて実施した。【結果】 自立群は1327名(男439名、女888名、年齢81.7±6.5歳)、介助群は1368名(男477名、女891名、年齢82.1±6.9歳)であった。単変量分析より、握力、片足立ち検査、6m歩行速度では自立群に比べ介助群で有意に低く、CST、TUGでは有意に高かった。性別、年齢では群間に有意差は認められなかった。ロジスティック回帰分析では、ADL自立度とは、握力(0.99,95%CI 0.98-0.99,P<0.01)、片足立ち検査(0.99,95%CI 0.98-0.99,P<0.05)、6m歩行速度(0.53,95%CI 0.35-0.79, P<0.001)、TUG(1.07,95%CI 1.05-1.09,P<0.001)においてそれぞれ有意な関連が認められた。ROC曲線においては歩行速度のAUCが67%と最も高く、cut-off値は0.67m/s、感度76%、特異度48%であった。【考察】 単変量分析およびロジスティック回帰分析の結果から、FIM-Mに影響を及ぼす因子として抽出されたのは, 握力、片足立ち検査、歩行速度、TUGであった。Guralnicら(2000)は、自立高齢者のADL障害発生と立位バランス、歩行速度、椅子からの立ち上がり時間を統合した運動機能に関連があることを報告している。本研究の結果から、要介護高齢者においてもADLには運動機能の多くが関係しており、ADL低下予防には各運動機能の評価やアプローチも重要であることが示唆される。また、ROC曲線よりADLが自立するためには運動機能の中でも歩行速度が最も重要な因子であると考えられる。先行研究においても、佐直ら(1997)は、10m最大歩行速度は日常生活活動の予知ができると報告している。また甲斐ら(2011)は、要介護高齢者の5m最速歩行速度はFIM-M、およびその下位項目得点と有意な相関が認められたと報告していることから、歩行速度はADL全体に重要な関わりをもっていると考えられる。【理学療法学研究としての意義】 原田ら(2006)や鈴川ら(2011)によると、要介護高齢者は健常高齢者と比較して短期間でADLが低下しやすいことがわかっている。我が国では、その要介護高齢者が急増していることから、要介護高齢者のADL能力を維持するために効果的な取り組みが必要である。今回、要介護高齢者の運動機能とADLの関係が明らかになったことは、効果的なADL低下予防対策を考える上で有意義であると考える。
  • 林 悠太, 鈴川 芽久美, 波戸 真之介, 石本 麻友子, 今田 樹志, 秋野 徹, 小林 修, 島田 裕之
    理学療法学Supplement
    2013年 2012 巻 E-O-10
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/20
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに、目的】 高齢者にとって排泄関連動作能力の低下は羞恥心や屈辱感を伴うことから外出機会や社会参加の減少につながることが考えられる。排泄関連動作の難易度について、安藤は排尿動作を6項目に分類し、最も難易度の高いのは、トイレでの「着衣を上げる」動作であり、次いで「便器から車いすへの移乗」及び「便器に座る」とされており、これらの動作能力の維持・向上は、在宅の要介護高齢者が在宅生活を継続していく上で重要となってくる。しかし、要介護高齢者を対象とした排泄関連動作と心身機能との関連について具体的に述べられているものは少ない。 そこで、本研究では、排泄関連動作能力の低下と心身機能との関連について検討し、効果的な機能訓練の提供につなげていくことを目的とした。【方法】 対象は,通所介護サービスを利用していた要介護高齢者2171名(81.4±6.5歳、男性719名、女性1452名)であった。対象者は、すべての検査の実施が可能である者とした。認知機能はmentalpstatuspquestionnaire(MSQ)を用い,誤答数が9もしくは10であった者は除外した。測定項目は、運動機能として握力、chairpstandptestp5-times(CST)p、開眼片足立ち、歩行速度、timedp“up & go”ptest(TUG)を用いた。排泄関連動作はFIMのトイレ動作項目、トイレ移乗項目を用い、ベースライン時と1年後の評価を比較した。各動作項目とも1年後に1点でも低下が認められた対象者を低下群とし、それ以外の対象者を維持向上群とした。 各項目での低下群と維持向上群間のベースライン時の各変数を比較するために,Mann-WhitneyのU検定(MSQ)、対応のないt検定(年齢、握力、CST、開眼片足立ち、歩行速度,TUG)、χ2乗検定(性別、要介護度(軽度;要支援1~要介護2/重度;要介護3~5))を用いた。排泄関連動作を状態変数としてMSQと各運動機能のcut-off値を求め、cut-off値未満と以上とで2値のダミー変数化してそれぞれ独立変数とし、多重ロジスティック回帰分析を行った。【倫理的配慮、説明と同意】 対象者にはヘルシンキ宣言に沿って研究の主旨及び目的の説明を行い、同意を得た。なお本研究は国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会の承認を受けて実施した。【結果】 トイレ動作では、維持向上群は1778名、低下群は393名で、トイレ移乗動作では、維持向上群は1758名、低下群は413名であり、ベースラインから1年後の低下率は、それぞれ18.1%、19.0%であった。 低下群と維持向上群間におけるベースライン時の基本属性、心身機能の比較では、トイレ動作では、すべての項目において有意差が認められた。トイレ移乗動作では、年齢のみ有意差が認められなかった。両項目とも握力、開眼片足立ち、歩行速度では、低下群が維持向上群に比べ有意に低値を示し、CST、TUG、MSQは有意に高値を示した。 cut-off値はトイレ動作ではMSQ3問、握力17.5kg、CSTは12.4秒、開眼片足立ち3.5秒、歩行速度0.63m/s、TUG15.0秒であった。トイレ移乗では、握力18.5kg、歩行速度0.87m/s、TUG14.9秒であり、他の機能はトイレ動作と同じ値であった。多重ロジスティック回帰分析の結果、トイレ動作では握力(Odds Ratio(OR): 1.43,95%Confidence Interval(CI):1.13-1.81)、CST (OR:0.77, 95%CI:0.56-0.82,)、開眼片足立ち(OR:1.32,95%CI:1.04-1.67)、TUG(OR:0.73,95%CI:0.56-0.95)、トイレ移乗ではTUG(OR:0.67,95%CI:0.52-0.87) のみが有意な変数として抽出された。【考察】 トイレ動作能力低下の関連因子として握力、CST、開眼片足立ち、TUGが抽出された。トイレ動作能力には、下衣を下げる、座る、拭く、立ち上がる、上衣を上げるといった動作が含まれており、上肢機能や立ち座り、立位バランス能力が必要となってくることから、本研究の結果は妥当であると考える。 トイレ移乗能力低下の関連因子としてはTUGのみが抽出された。TUG は歩行のみでなく、起立、歩行時の方向転換、着座といった動作が含まれているため、排泄関連動作全体に関係してくることが考えられる。そのため、本研究ではトイレ動作、トイレ移乗動作ともにTUGが関連因子として抽出されたと考えられる。 要介護高齢者の排泄関連動作低下に関連する因子は、トイレ動作とトイレ移乗動作では異なり、各動作に合わせた評価が必要であることが示唆された。【理学療法学研究としての意義】 在宅要介護高齢者の在宅生活継続の可否に影響を与える排泄関連動作と心身機能との関連が明らかになったことは、今後の効果的な機能訓練を提供する上で有意義であると考える。
  • ~4212名を対象とした2年間の追跡調査~
    秋野 徹, 波戸 真之介, 鈴川 芽久美, 林 悠太, 石本 麻友子, 今田 樹志, 小林 修, 島田 裕之
    理学療法学Supplement
    2013年 2012 巻 E-O-11
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/20
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに、目的】我が国では急速な高齢化が進んでおり、要支援や要介護状態となる高齢者は増加の一途を辿っている。その背景として、加齢や廃用による心身機能、認知機能の低下によって、日常生活活動(activities of daily living: ADL)が低下し、介護度が悪化する例は多く存在するものと考えられる。介護度の悪化がどのようにして起こったのか、介護度の悪化の傾向や要因を縦断的に大規模で調査した報告は、介護予防への取り組みにおいて重要性が高い。そこで本研究は、縦断的な調査により要介護度の悪化に影響を及ぼす要因を検討することを目的とした。【方法】対象は2005年10月から2012年10月の間で全国のデイサービスを利用し、2年間の追跡調査が可能であった要支援1から要介護4までの高齢者4212名(平均年齢82.2±6.6歳、男性1354名、女性2858名)とした。なお、追跡期間内に要介護度の改善が認められたものは対象から除外した。調査は、追跡調査開始時にベースラインとしてFunctional Independence Measure (FIM)、握力、歩行速度、Chair Stand Test- 5 times(CST)、開眼片脚立ち時間、Mental Status Questionnaire (MSQ)を測定した。その後2年間、1年ごとに要介護度の追跡調査を実施し、2年以内に要介護度の悪化した者を悪化群、悪化しなかった者を維持群とした。 統計学的解析は、ベースラインにおける各調査項目について、悪化群と維持群の間の差異を単変量解析(t検定、U検定、χ2検定)にて比較した。また、要介護度の悪化発生までの期間を考慮したうえで、要介護度の悪化に対する各調査項目の影響を検討するため、Cox比例ハザード回帰分析を実施した。独立変数は性別、ベースラインにおける年齢、介護度、FIM運動項目の合計点、FIM認知項目の合計点、握力、歩行速度、CST、開眼片脚立ち時間、MSQとし、ステップワイズの変数減少法による分析を用いた。また、要介護度の悪化と有意な関連を示した変数に関してはハザード比を算出した。なお、有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】対象者にはヘルシンキ宣言に沿って研究の主旨および目的の説明を行い、同意を得た。なお本研究は国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会の承認を受けて実施した。【結果】2年間の追跡期間における悪化群は2693名(平均年齢82.4±6.4歳、男性879名、女性1814名)、維持群は1519名(平均年齢81.8±7.0歳、男性475名、女性1044名)であった。単変量解析により、悪化群と維持群間を比較したとき、年齢は維持群が有意に低く、ベースラインにおける介護度は維持群が有意に重度であった。加えて、FIM運動項目合計点、握力、歩行速度、CST、開眼片脚立ち時間、MSQは維持群が有意に高い値を示した。Cox比例ハザード回帰分析の結果、モデルχ2検定は有意となり、要介護度の悪化に有意な関連を認めた変数は、性別(ハザード比:0.749、95%信頼区間:0.724~0.776)、ベースラインにおける介護度(ハザード比:0.819、95%信頼区間:0.740~0.906)、FIM運動項目合計点(ハザード比:0.996、95%信頼区間:0.994~0.998)、MSQ(ハザード比:1.063、95%信頼区間:1.049~1.077)、歩行速度(ハザード比:0.759、95%信頼区間:0.655~0.880)握力(ハザード比:0.988、95%信頼区間:0.981~0.996)となった。【考察】2年間の追跡調査にて要介護度が悪化した群と維持していた群を比較した結果、ベースラインでのFIM運動項目や運動機能は維持群のほうが有意に高かった、また、縦断的な解析により、ベースラインにおけるFIM運動項目、MSQ、歩行速度、握力が高いほど、要介護度の悪化の発生が増加することが示され、これらの評価指標が介護度の悪化の予測に有用である可能性が示唆された。特に歩行速度に関しては、ADLの低下に関連することや、将来の要介護度発生に影響を与えることが報告されており、本研究も先行研究を支持する結果となった。しかし、要介護高齢者においては歩行困難な対象が多く存在することを考慮する必要があり、今後は対象を限定したうえで要介護度の悪化への影響を検討することも課題である。【理学療法学研究としての意義】介護予防は、現在要介護状態にあるものを要介護状態に陥らないようにすることに加え、現在要介護状態にあるものの要介護状態を悪化させないことも含む。理学療法士としての介護予防への取り組みとして、歩行を含む心身機能、生活機能の維持・向上を図ることの重要性が縦断的に確認されたことは、重要な知見と言える。
  • 今田 樹志, 波戸 真之介, 鈴川 芽久美, 林 悠太, 石本 麻友子, 小林 修, 秋野 徹, 島田 裕之
    理学療法学Supplement
    2013年 2012 巻 E-O-10
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/20
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに、目的】高齢者の多くは、疾病や老化、廃用といった原因により上下肢の機能が低下し、日常生活活動(ADL: activities of daily living)に制限が生じている。臨床上、要介護高齢者においては上肢機能が高く下肢機能は低い、あるいは上肢機能が低く下肢機能は高いといった、一方の機能が高く、もう一方の機能が低下していることが少なくない。先行研究では、高齢者の握力や歩行速度は将来のADLの予測因子として重要であることが明らかになっているが、それらの機能の組み合せからADLとの関連を検討した報告は少ない。そこで本研究は、握力と歩行速度の機能の高低の組み合わせによって、要介護高齢者のADLに違いがあるのかを大規模集団にて明らかにすることを目的とした。【方法】対象者は、通所介護サービスを利用する要介護高齢者14105人(男性4737名、女性9368名、年齢:82.8±7.2歳)とした。要介護度の内訳は、要介護1が29.6%(4176名)、要介護2が28.3%(3999名)、要介護3が21.4%(3023名)、要介護4が13.9%(1973名)、要介護5が6.6%(934名)であった。ADL評価としてFunctional Independence Measure(FIM)の運動13項目(食事、整容、清拭、上位更衣、下位更衣、トイレ動作、排泄コントロール、排便コントロール、ベッド・椅子・車椅子移乗、トイレ移乗、浴槽・シャワー移乗、歩行・車椅子、階段)を使用した。また、上肢機能の指標として握力、下肢機能の指標として歩行速度を測定した。握力と歩行速度に関してはそれぞれ平均値により高値群と低値群に分け、握力と歩行速度の組み合わせで握力、歩行速度ともに高値の群(高/高群)、握力が高値で歩行速度が低値の群(高/低群)、握力が低値で歩行速度が高値の群(低/高群)、握力、歩行速度ともに低値の群(低/低群)に分けた。統計学的解析としては、kruskal-wallis検定を用いて各FIM項目得点の群による差を確かめ、さらにSteel.Dwass法を行い各群間の比較を行った。有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】対象者には、ヘルシンキ宣言に沿って研究の趣旨及び目的の説明を行い、同意を得た。なお、本研究は国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会の承認を受けて実施した。【結果】握力の平均値は14kgとなり、握力の高値群は6755名(男性3694名、女性3061名、年齢80.8±7.0歳)、低値群は7350名(男性1043名、女性6307名、年齢84.6±7.0歳)となった。また、歩行速度の平均値は0.64m/sとなり、歩行速度の高値群は4599名(男性1614名、女性2985名、年齢82.1±6.6歳)、低値群は9506名(男性3123名、女性6383名、年齢83.1±7.5歳)となった。高/高群は3063名(男性1491名、女性1572名、年齢81.1±6.5歳)、高/低群は3692名(男性2203名、女性1489名、年齢80.6±7.3歳)、低/高群は1536名(男性123名、女性1413名、年齢84.1±6.4歳)、低/低群は5814名(男性920名、女性4894名、年齢84.7±7.1歳)であった。FIM運動項目の平均得点は、すべての項目において高/高群、低/高群、高/低群、低/低群の順に高かった。また、FIMの各運動項目について、Steel.Dwass法を用いて各群間の比較を行ったところ、すべてのFIM運動項目で各群間すべての組み合わせに有意差が認められた。【考察】要介護高齢者の上下肢機能の高低の組み合わせにおいて、握力、歩行速度ともに高値である者のADL能力が最も高く、握力、歩行速度ともに低値である者のADL能力は最も低いことが明らかとなった。先行研究において、石崎らは握力が弱いことが基本的ADLや手段的ADLの自立度低下の危険因子であることを報告しており、甲斐らは要介護高齢者の歩行速度はFIM運動項目と有意な相関が認められたと報告している。先行研究と同様に本研究対象者においても、ADL能力の高さには、握力、歩行速度それぞれに高値であることの重要性が示唆された。また上下肢の機能の乖離が生じた対象者においては、握力が高値で歩行速度が低値である者よりも、握力が低値で歩行速度が高値である者の方がADL能力が高く、ADLの自立度の向上のために歩行機能へのアプローチがより優先されるべきであると考えられる。古名らは地域在住高齢者において、握力や歩行速度を含めた複数の運動機能の測定を行い、測定値を得点化し、その合計点からADL障害発生の危険性を報告している。本研究において要介護高齢者のADLにおいても、握力、歩行速度等複数の測定を行い機能を確認した上でアプローチをする必要性があることが明らかとなった。【理学療法学研究としての意義】握力、歩行速度共にADL能力の高さに関連があり、さらに歩行速度が高値である方がADL自立度向上に影響する可能性が示唆されたことは、下肢機能の代表である歩行機能の重要性を再確認したと言える。
  • 小林 修, 林 悠太, 波戸 真之介, 鈴川 芽久美, 石本 麻友子, 今田 樹志, 秋野 徹, 島田 裕之
    理学療法学Supplement
    2013年 2012 巻 E-P-01
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/20
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに、目的】高齢社会白書によると平成23年10月の我が国の高齢者人口は、過去最高の2,975万人となり総人口に占める割合も23.3%となった。今後、要介護認定を受けた高齢者の数も年々増加していくことが予測されている。また、同居や隣居を志向する高齢者の割合が減少してきており、今後は要介護高齢者の独居世帯、あるいは高齢者夫婦のみの世帯が増加すると予測されている。理学療法士にとって、このような高齢者が居宅生活を継続していけるよう支援をしていくことは重要な責務であり、地域に居住する高齢者の世帯形態に着目し、これらの日常生活動作能力(以下ADL)や生活状況を明らかにする必要がある。赤嶺らは、世帯構成別のADLの違いを調査した結果、世帯間でADLに有意差は認められなかったと報告している。しかし、この調査は介護保険施行前に実施されており、要介護高齢者を対象とした研究は見当たらない。そこで本研究では、要介護高齢者を対象として独居世帯と同居世帯のADLを比較し、独居生活を継続していくために重要な生活機能を検討することとした。【方法】対象は、通所介護サービスを利用している要介護高齢者7821名(男性2326名、女性5495名、年齢83.22±6.97歳)であり、同居人の有無により独居群2081名(男性490名、女性1591名、年齢82.89±6.93歳)、同居群5740名(男性1836名、女性3904名、年齢83.74±7.00歳)に分類した。調査項目は、年齢、性別、要介護度に加え生活機能の評価としてFunctional Independence Measure(FIM)を測定し、セルフケア、排泄コントロール、移乗、移動、コミュニケーション、社会的認知の大項目にカテゴリー化した。統計学的解析は、各項目における独居群と同居群との差を検討するために対応のないt検定(年齢)、Mann-WhitneyのU検定(要介護度、FIM大項目)、χ²検定(性別)を用いて比較した。加えて、従属変数を世帯(同居群:0、独居群:1としてダミー変数化)、独立変数を年齢、性別(男性:1、女性:2)、要介護度、セルフケア、排泄コントロール、移乗、移動、コミュニケーション、社会的認知とした多重ロジスティック回帰分析を行い、各独立変数のオッズ比を求めた。有意水準は5%未満 とした。【倫理的配慮、説明と同意】対象者にはヘルシンキ宣言に沿って本研究の主旨および目的の説明を行い、同意を得た。なお本研究は国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会の承認を受けて実施した。【結果】単変量解析より、年齢と要介護度は同居群に比べ独居群で有意に低く、FIM大項目はコミュニケーション以外の項目おいて独居群が有意に高い値を示した。コミュニケーション項目に関しては独居群の方が有意に低値を示した。男女比は、同居群に比べ独居群で有意に女性が多かった。多重ロジスティック回帰分析より、独居世帯に影響を及ぼす因子として、年齢、性別、要介護度、セルフケア、移動、コミュニケーション、社会的認知項目が抽出された。各項目のオッズ比は年齢が0.95(95%Confidence Interval (CI):0.94-0.96)、性別が1.64(95%CI:1.45-1.86)、要介護度が0.61(95%CI:0.54-0.69)、セルフケアが1.02 (95%CI:1.00-1.04)、移動合計点が1.04(95%CI:1.00-1.07)、コミュニケーションが0.94(95%CI:0.91-0.99)、社会的認知が1.03(95%CI:1.01-1.06 )を示した。【考察】世帯構成に影響を及ぼすADL項目として抽出されたのは, セルフケア、移動、コミュニケーション、社会的認知であった。独居高齢者の居宅生活継続に対する支援として、これらの項目に対する評価や介入の重要性が示唆された。しかし、各項目のオッズ比は0.94から1.04の範囲で推移しており、影響力としては小さいことが考えられる。独居高齢者の居宅生活継続に関連する因子は、ADLだけでなく、家族の支援や生活機能に合わせた居宅サービスを提案すること、身体機能に合わせた家屋環境を設定することも重要になることが考えられる。また、独居高齢者は世帯の中で唯一の生活者でありIADLの遂行も避ける事ができないため、世帯構成に関連してくる可能性が高い。今後はサービスの種類や家族支援の有無、IADLも含めて調査を行い、独居生活継続に対する効果的な支援について検討していく。【理学療法学研究としての意義】要介護状態にある独居高齢者であっても、居宅生活継続を希望される高齢者は多くいる。本研究のように要介護高齢者の大規模集団を対象とした研究によって独居高齢者に重要な生活機能の一部が明らかになったことは、効果的な支援の一助となる。
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