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クエリ検索: "つる植物"
571件中 1-20の結果を表示しています
  • 森 英樹, 上條 隆志, 正木 隆
    日本生態学会誌
    2019年 69 巻 2 号 83-91
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/08
    ジャーナル フリー
    木本性
    つる植物
    は森林群集においてホスト樹木に負の影響を及ぼし、結果的に森林動態にまで影響しうる。本総説ではこれまでの森林における
    つる植物
    の研究を概観し、
    つる植物
    の重要性をそのクローン繁殖と関連づけて議論した。
    つる植物
    の個体数、種数、バイオマスについては、温帯林よりも熱帯林が高い値を示すが、
    つる植物
    の胸高断面積が樹木よりも小さい点で傾向は共通していた。最近の研究では、
    つる植物
    はホスト樹木の枯死率を増加させることで、森林全体の炭素蓄積量を減少させていることが明らかになってきている。林分内の分布特性を解析した事例によると、成熟した森林では、
    つる植物
    はクローン繁殖によるラメットを親株からの養分供給によって林床で多数待機させ、一度林冠に到達した
    つる植物
    はホスト樹木を乗り換えることで分布を大きく広げることが示されている。今後は、樹木群集全体の種組成への影響など、
    つる植物
    が存在することの意味をより幅広い観点から解明することが課題である。
  • 種子田 春彦, 鈴木 牧, 井上 みずき, 森 英樹
    日本生態学会誌
    2019年 69 巻 2 号 63-70
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/08
    ジャーナル フリー
    つる植物
    は、直立した植物に寄りかかって伸長成長を行う生活形を持つ。力学的支持のために茎や根への投資するエネルギーが少ないために、速い茎の伸長と旺盛な成長が可能となる。そして、マント群落として知られるように直立した植物に覆いかぶさるような勢いで繁茂する。このような
    つる植物
    を、次の二つの理由から特集で取り上げた。一つ目の理由は、森林動態への重要性である。熱帯を中心とした研究から、
    つる植物
    の存在が森林の遷移や種組成にあきらかに負の影響があることが分かってきた。しかし、日本を含む温帯域での研究は少ない。もう一つの理由は、
    つる植物
    の生態の多様性にある。旺盛な成長を可能にした「つる性」は、一方で植物の生態にさまざまな制約を課す。これを克服するために発達させた生態学的または生理学的な性質が、
    つる植物
    にみられる多様な生態を作り出したと言えるだろう。本稿では、
    つる植物
    について簡単に説明した後、特集に掲載された4報の論文について概説する。
  • *仲田 郁実, 上原 巌, 森 英樹
    日本森林学会大会発表データベース
    2020年 131 巻 P1-123
    発行日: 2020/05/25
    公開日: 2020/07/27
    会議録・要旨集 フリー

     木本性

    つる植物
    (以下、
    つる植物
    )は森林の構造や動態に影響を与えると考えられている。しかし、森林群集における
    つる植物
    の生態的な基礎的知見は樹木と比べて大きく不足している。特に
    つる植物
    の研究は個体数や種数が最も多い熱帯林に集中し、温帯林ではさらに知見が少ない。本研究は、東京都奥多摩に位置する東京農大奥多摩演習林内の冷温帯落葉広葉樹林において、
    つる植物
    の種組成や個体数とその分布を明らかにすることを目的とした。

     林内を網羅的に調べるために10m×10mのコドラートをランダムに設置し、そこに

    つる植物が一個体でも含まれればそのコドラート内のつる植物
    と樹木を調査した。この際、最寄りのコドラートからは最低50m隔離し、計40カ所設置した。

     調査の結果、計117個体、7種の

    つる植物
    が発見された。サルナシ(67個体)が最も優占し、30カ所(80%)のコドラートで確認された。その他にはヤマブドウ、ツルウメモドキ、クマヤナギが多く記録された。サルナシは
    つる植物
    全体の個体数の57.3%、胸高断面積の50%を占めていた。この森林では動物・鳥類散布型の
    つる植物
    種が多く自生することが特徴として指摘できる。

  • 加藤 正吾, 兼松 俊成, 川窪 伸光, 小見山 章
    森林立地
    2012年 54 巻 1 号 1-5
    発行日: 2012/06/25
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    異なる登攀様式を示す,付着根型
    つる植物
    のSchizophragma hydrangeoidesと吸盤型
    つる植物
    のParthenosissus tricuspidataの光屈性を調べた。両種に側面から光を照射し,シュートの屈曲のようすを伸長とともに観察した。両種とも,光の照射に対して,シュート長が短いと正の光屈性を示し,シュート長が長くなると負の光屈性を示した。両種の短いシュートは,充分な光合成生産を行うために,正の光屈性を示す必要性があるかもしれない。しかしながら,シュートが伸長すれば林床で相対的に暗い支持ホストの根元を探索しなければならない。したがって,正から負の光屈性に変わることは,支持ホストの平面構造を主に登攀する付着根型と吸盤型の
    つる植物
    にとって重要な性質である。
  • 山尾 僚, 深野 祐也
    日本生態学会誌
    2019年 69 巻 2 号 93-98
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/08
    ジャーナル フリー
    つる性の植物の地上部は、他の植物に巻きつくために垂直・水平方向に大きく展開し、様々な種類の植物と接触する。
    つる植物
    にとってどの植物に巻きつくかは、その後の生長を左右する極めて重要な決定である。
    つる植物
    の特徴的な旋回運動や巻きつき反応に関する研究はダーウィン以来多くなされているものの、
    つる植物
    のホスト選択における識別能力についてはこれまでほとんど研究されていなかった。近年われわれは、
    つる植物
    のなかでも巻きひげのもつ識別能として、自己識別能力(自株と同種の他株を見分ける能力)と同種識別能力(同種と他種を見分ける能力)のふたつに注目し、検証を行った。本稿では、これまでの巻きひげの応答研究について概説しつつ、著者等が明らかにしてきた巻きひげのホスト選択に関する研究を紹介する
  • *市橋 隆自
    日本森林学会大会発表データベース
    2016年 127 巻 S6-3
    発行日: 2016/07/08
    公開日: 2016/07/19
    会議録・要旨集 フリー
    林冠
    つる植物
    個体の水利用特性、林分蒸散に果たす貢献の評価を目指し、暖温帯常緑樹林に生育する
    つる植物
    4種(サカキカズラ、ハマニンドウ、テイカカズラ、カギカズラ)に対し、グラニエ法の適用を試みた。長さ1 cmの自作センサーを用い、野外個体の茎切断面からの吸水速度を基に校正を行ったところ、
    つる植物
    茎内の樹液流速は、標準グラニエ式による予想より数倍高く現れた。
    つる植物
    用の新たな換算式を基に、野外プロットにおいて
    つる植物
    (4種11個体)と優占樹木(4種10個体)に対する1年間の樹液流測定を行った。
    つる植物
    は年間を通して樹木よりも高い樹液流速を示したが(夏期に4倍、冬期に2, 3倍)、その相対的な日周変化、季節変化の様子は、両者でよく類似していた。樹液流データから個体ごとに蒸散量を推定し(基部直径と相関)、さらに個体の蒸散量-基部直径関係を林分の毎木データに外挿した。結果、
    つる植物
    は林分蒸散に対して12.2%の貢献があると推定され、これは基部面積に占める割合2.2%の5倍以上の大きさであった。この予測の精度は恐らく高くはないが、
    つる植物
    と樹木の葉量-基部面積のバランスを考えれば、妥当な結果であると考えられた。
  • 市橋 隆自
    日本生態学会誌
    2019年 69 巻 2 号 71-81
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/08
    ジャーナル フリー
    木本性
    つる植物
    は巻き付く、貼り付くなどして周囲の樹木等に取り付き、これに自重支持を依存しながら成長する。樹木では自重を支えながら高く成長するため茎肥大に大きな資源投資を必要とするのに対し、
    つる植物
    の成長様式はその分の資源を茎伸長と葉量増加へと振り分け、よって資源を効率良く用いて生育空間と光合成生産を拡大する戦略として解釈される。しかしこの仮説は十分に検証されておらず、そもそも野外における
    つる植物
    個体の成長過程に関する情報は非常に少ない。本稿では著者のこれまでの研究に基づき、日本冷温帯林の木本性
    つる植物
    4種を主な対象として成長過程の記載を行いつつ、自重支持依存の戦略的意義を改めて考察した。地上部アロメトリ解析の結果、地上部重量が同じ個体同士を比較した場合、
    つる植物
    が当年に伸長させる茎の量は樹木の5倍、当年に展開する葉量は樹木の3倍近くに及んでいた。この物質分配特性は、植物個体の伸長成長と光合成生産を促進させるものと考えられた。一方、年輪数に基づく個体成長パターンの解析からは、
    つる植物
    が実生から林冠層到達に要する年数は樹木と同程度であり、その期間に蓄積される地上部重量は樹木の10分の1程度にとどまることがわかった。
    つる植物
    は支持物を獲得するためにシュートを伸ばし続けるが、支持物を獲得せず枯れ落ちるシュートも多い。また、
    つる植物
    が取り付いている樹木(ホスト)の倒壊・枝の落下に際し、
    つる植物
    自身も損傷を受け、その体の一部を失うことがある。種によっては林冠に辿り着くまでに伸ばした茎の、長さにして8割近くを失っていると推測された。この大規模な茎のターンオーバーは、
    つる植物
    個体の重量増加速度が小さい一因であると考えられた。以上から、
    つる植物
    の自重支持依存の意義は、従来の仮説通り、茎肥大への資源投資を減らすことにより毎年の茎伸長量を大きくすると共に、同化部の割合が高い地上部構造を維持できる点にあると考えられた。これは光競争の激しい環境で優占する上で、あるいは生産性の低い林内環境で成長を維持する上で大きな利点となる。一方、常にホストを獲得する必要があり、ホストが枯死した時に巻き添えを受ける等の制約により、長期的には必ずしも効率の良い個体成長を可能にするわけではなく、さらに地面まで完全に落下するリスクも内包する不安定な成長様式であることも明らかになった。
  • *斉藤 幹保, 小山 浩正
    日本森林学会大会発表データベース
    2015年 126 巻 P2B107
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/23
    会議録・要旨集 フリー
    クズはシュートが支持物に巻きつきながら登攀して造林木を覆うため保育上の問題となる植物あり、人工構造物を覆う場合にも駆除の対象になっている。一方、近年は家畜飼料としての価値が評価されて利用の検討が始まっている。しかし、同種の登攀の仕方には不明な点も多い。本研究では、巻きつく支柱の直径に応じた登攀の成否とその効率に注目した。山形県鶴岡市内の様々な立地において、クズが巻きついていた1030本の支柱について直径を測定したところ、その95%以上は5cm以下で、最大15.6cmであった。同様の傾向は、クズ群落に直径の異なる塩ビパイプ(1.8cm~14.0cmまで5段階)を設置した登攀実験でも確認された。さらに、登攀に成功したシュートの登攀角度は直径が増加するほど小さくなり、このため登攀効率(1巻きで上昇した高さ)も共に低下していた。これらのことは、クズは細い支柱ほど効率良く利用できるが、直径5cmを超える支柱には巻きつきにくいことを示している。つまり、同種の利用あるいは抑制は、対象となる支柱の直径によって制御できることを示唆している。造林地では、林冠の閉鎖だけでなく、造林木のサイズがつる切り実施の期間を判断する目安になりえる。
  • *仲田 郁実, 森 英樹, 上原 巌
    日本森林学会大会発表データベース
    2021年 132 巻 P-210
    発行日: 2021/05/24
    公開日: 2021/11/17
    会議録・要旨集 フリー

    木本性

    つる植物
    (以下、
    つる植物
    )は森林の構造や動態に影響を与えると考えられている。しかし、森林群集における
    つる植物
    の生態的な基礎的知見は樹木と比べて大きく不足しており、温帯林では個体数やサイズ構造、分布特性などの知見が少ない。本研究では、木本性
    つる植物
    の群集構造と空間分布を明らかにし、それらの特性を検証するとともに、同所的な樹木群集との比較によりその特徴を考察した。調査地は東京都奥多摩に位置する東京農大奥多摩演習林内の落葉広葉樹二次林とした。1ha調査区内で毎木調査を行い、幹直径1cm以上の
    つる植物
    および樹木の種、直径、位置を記録した。
    つる植物
    は計134個体、計10種記録された。平均直径は4.25cm、サルナシが多く、全体として更新個体が少なかった。これらは全植物に対し、それぞれ個体数(1047個体)の13%、種(58種)の17%、断面積合計(38.2m3)の0.6%程度を占めた。樹木群集と比較すると、
    つる植物
    群集では相対的に動物散布型種が多く、森林植物種数や餌資源の多様度への貢献が予想された。空間分布については説明変数にホスト樹木、地形および攪乱の指標を選択し、各々の影響の有無について解析した。本発表では、その結果を報告する。

  • 加藤 正吾
    森林科学
    2021年 92 巻 22-25
    発行日: 2021/06/01
    公開日: 2021/07/01
    解説誌・一般情報誌 フリー
  • *加藤 正吾, 兼松 俊成, 小見山 章
    日本森林学会大会発表データベース
    2008年 119 巻 P2a04
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/03/14
    会議録・要旨集 フリー
  • *安部 哲人, 柴崎 文子
    日本森林学会大会発表データベース
    2020年 131 巻 P2-230
    発行日: 2020/05/25
    公開日: 2020/07/27
    会議録・要旨集 フリー

    外来樹木は世界各地で生態系に大きな影響を及ぼしているが,樹木に依存した生活史をもつ着生植物や

    つる植物
    への影響に関する知見は乏しい.本研究では海洋島である小笠原諸島において,外来樹種アカギが着生植物や
    つる植物
    に与える影響を調査した.父島,母島の在来林とアカギ林,兄島の在来林でそれぞれ20カ所ずつ,20m四方の方形区内で毎木調査を行い,着生植物および
    つる植物
    を記録した.その結果,小笠原諸島の着生植物は33種(うち固有種14種,絶滅危惧種12種),
    つる植物
    12種(うち固有種7種,絶滅危惧種3種)が記録されたが,アカギ林では着生植物が6種,
    つる植物
    は7種が確認されるにとどまった.特に山地帯の標高が高く着生植物が多い母島ではその傾向が顕著に見られ,着生植物のプロット当り平均個体数が在来林では103.2個体に対してアカギ林では3.4個体,平均種数は在来林5.3種に対してアカギ林0.8種と,種数・個体数ともにアカギ林では大きく減少していた.こうした結果は,ホストである樹木個体が在来樹種から外来種アカギに置き換わることで着生植物群集および
    つる植物
    群集が大きく衰退していることを示唆している.

  • *加藤 正吾, 川窪 伸光, 山本 隆史, 細井 和也, 小見山 章
    日本生態学会大会講演要旨集
    2005年 ESJ52 巻 G202
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/03/17
    会議録・要旨集 フリー
    「付着根型
    つる植物
    」は、林縁にのみ生育する「巻きつる型
    つる植物
    」に比べ、林床という暗い光環境下で、発芽・成長し、他の樹木の根元から幹に付着して、登攀し、自ら光環境を変えていく独特の生活型をもっている。つまり、「付着根型
    つる植物
    」の成長は、支持樹木への到達前と到達後とでは光屈性が異なる可能性がある。今回は、キヅタの匍匐シュートの伸長様式から、光傾度に対する光屈性の特徴について報告する。
     岐阜市でキヅタ1個体を採取し、節毎に切り分け、挿し木を行った。このキヅタ挿し木苗を用い、実験室内で人工光源(トルーライト)によって光傾度に対する光屈性を調べた。
     人工光源下に移動後、シュートが伸長した個体を対象に伸長様式の傾向をみたところ、匍匐シュートの伸長方向は光傾度に対して、シュートの水平方向への伸長方向の両側面とシュートの鉛直上向きの面・背面、それぞれについてほぼ同一の光環境を保ちながら、暗い方へ向かって成長した。したがって、付着根型
    つる植物
    のキヅタ匍匐シュートの成長様式は、水平方向だけではなく、垂直方向においても負の光屈性を持って匍匐・伸長する性質があることがわかった。
  • 下園 寿秋, 稲森 智, 前迫 俊一, 中屋 雅喜
    日本緑化工学会誌
    2007年 33 巻 1 号 167-170
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/02/21
    ジャーナル フリー
    林道の既設モルタル法面に,
    つる植物
    を利用した緑化試験を行った。植栽直後の法面の気温等を計測し,つるの伸長成長や4年後の被覆率を調査した結果,高温にさらされる法面に良好に被覆していたのは吸着型のオオイタビ,ツタであった。巻蔓型の種は伸長成長は良かったが,葉の付き方が部分的であるため,被覆は吸着型より劣った。
  • *市橋 隆自, 長嶋 寿江, 舘野 正樹
    日本生態学会大会講演要旨集
    2005年 ESJ52 巻 P2-097
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/03/17
    会議録・要旨集 フリー
    木本性
    つる植物
    5種(サルナシ、ツルウメモドキ、ミツバアケビ、マツブサ、イワガラミ)を対象に、画一的に捉えられることが多い
    つる植物
    の中に、種によって明瞭な成長特性の違いがあることを明らかにし、かつその違いを生育する光環境と関連付けた。過去の研究において、対象種は全て、伸長成長と支持物獲得に特化した「探索枝」(長く伸びて巻き付く、または付着根を形成する。生産性が著しく低い)と、葉の展開に特化した「普通枝」(支持物獲得の性質を示さない。生産性が高い)という2種類のシュートを持つことを明らかにした。この点に着目し、両シュートの比率、即ち生育空間の拡大(探索枝)とその場での同化物生産(普通枝)への相対的な投資量を、成長特性として評価した。サンプリングは日当たりの良い環境にいる栄養成長過程の個体を対象とした。探索枝への投資量は種によって大きく異なり、最も大きいサルナシ(全当年枝重量の約6割) から最も小さいイワガラミ(約1割)までの幅があった。また探索枝は葉の割合が低いシュートであるため、探索枝への投資量が大きい種ほど、葉への物質分配が小さかった。葉への物質分配が大きい2種(マツブサ、イワガラミ)ではさらに葉を薄く広げることによって大きな受光効率を達成していた。次にプロット調査による光環境評価から、探索枝への投資が最も大きいサルナシは、ほぼ明るい林縁部のみで成長し、普通枝への投資が大きいマツブサ、イワガラミの2種は主に暗い林内で成長することがわかった。他の2種は明瞭ではないが、暗い環境にはあまり見られなかった。以上から探索枝への投資が大きい伸長成長指向の種は明るい環境、普通枝への投資が大きい受光指向の種は暗い環境、という対応関係が明らかになり、それぞれが異なる成長戦略をとっていることが示唆された。
  • *森 英樹, 上野 真義, 上條 隆志, 津村 義彦, 正木 隆
    日本森林学会大会発表データベース
    2021年 132 巻 P-228
    発行日: 2021/05/24
    公開日: 2021/11/17
    会議録・要旨集 フリー

    木本性

    つる植物
    は、自重を樹木に委ねることで林床から林冠までの森林階層に生育するクローナル植物である。
    つる植物
    は、明るい林冠へ垂直方向に、暗い林床で水平方向にクローン成長する。しかしながら、
    つる植物
    の生活史において、これらの異なる方向への成長をどのように使い分けているのかはほとんど明らかになっていない。そこで本研究は、林床および林冠の
    つる植物
    に着目してそのクローン成長プロセスを明らかにすることを目的とした。調査地は茨城県北部に位置する小川試験地(6ha固定調査区)であり、対象種はフジ、ツルマサキ、イワガラミ、ツタウルシである。調査地内の樹木(DBH>5cm)およびベルトトランセクト(10mx120m)内の個体をサンプリングしてDNAマーカーで個体識別を行った。その結果、ツルマサキ、イワガラミ、ツタウルシは林床でクローン成長し、その中の個体が登攀を開始する(水平方向→垂直方向)一方で、フジは林床のクローン成長は親株を起源とするものであり、その後匍匐枝を林床で展開する(垂直方向→水平方向)ことが判明し、
    つる植物
    のクローン成長プロセスは種によって大きく異なることが明らかになった。

  • 鈴木 和次郎
    日本林学会誌
    1989年 71 巻 10 号 395-404
    発行日: 1989/10/01
    公開日: 2008/12/18
    ジャーナル フリー
    つる被害の実態と被害発生の機構を解明するため, 7年生から71年生までのヒノキ人工林7林分について,つる被害の割合と形態,さらにその被害木の材解析を行った。植栽木のつる被害は,観察時に
    つる植物
    によって被害を受けているもの(現在の被書)と,過去に
    つる植物
    によって被害を受け,今なおその影響を受け続けているもの(過去の被害)に大別され,林冠閉鎖後は,後者が主体であった。巻き付き型
    つる植物
    による被害発生の過程は,幹への食い込み,幹への巻き込み,肥大,そして,これらのことが原因となって植栽木の幹折れ,幹曲がりあるいは二股形成と進む。食い込み段階以降では
    つる植物
    が取り除かれても,幹材部に異常成長が生じ,外観的には肥大などとして,長期にわたりその影響が続き,木材の材質あるいは利用価値の低下をまねく。とりわけ,梢端部の食い込みの影響は大きく,それによる被害は顕著であるから,早期につる切りにより取り除く必要がある。
  • 荻野 和樹
    映像情報メディア学会技術報告
    2013年 37.17 巻 AIT2013-50
    発行日: 2013/03/08
    公開日: 2017/09/21
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,『緑のカーテン』となるツタ植物の生え始めの青葉から枯死に至るまでの過程を,成長環境の実地調査に基づきアルゴリズムを構築し,ビジュアルシミュレーションを行う.そして,シミュレーション結果により,その有用性を示す.
  • 野島 義照, 沖中 健, 小林 達明, 坊垣 和明, 瀬戸 裕直, 倉山 千春
    造園雑誌
    1992年 56 巻 5 号 115-120
    発行日: 1992/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    建築物の壁面に
    つる植物
    を被覆させることによる夏期の壁面温度の上昇抑止効果を把握するための測定実験を行った。簡易建築物の南側に
    つる植物で覆われた壁面とつる植物
    のない壁面とを設け, 壁面温度, 壁面での熱流の経時変化を, 晴れた日, 曇りの日, 晴れた日で室内は冷房, という3種類の異なった条件の日に計測した。そのうち1日の計測では,
    つる植物
    の葉からの水分の蒸散量, 地際の幹での樹液流速の計測, 熱赤外線ビデオカメラを用いた南側壁面全体の表面の温度分布の画像撮影をも行った。壁面の緑化により壁面の最高温度を約10℃低下させることができること等が確かめられた。また, 日中, 壁面緑化による壁面温度の低減量が大きくなるにつれて, 葉からの蒸散量も大きくなる傾向が見られた。
  • *榊原 幸江, 小山 浩正
    日本森林学会大会発表データベース
    2015年 126 巻 P2B106
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/23
    会議録・要旨集 フリー
    クズは開放地で他の植物を支柱として登攀しマント群落を形成する。支持器官を持たない
    つる植物
    はシュートが支柱に達することが重要である。このためクズでは当年シュートの先端(リーダー)が初め自立、旋回し、何も触れないと匍匐して支柱を探索する。匍匐のリーダーが支柱に触れると登攀を開始し、支柱の最上端に達すると再び旋回してから下垂する。本研究ではリーダー→匍匐→登攀→下垂の各段階で葉/茎への資源配分が異なると予想した。観察の結果、リーダー(約30cmで5節分)は発生から数日ほど展葉しなかった。葉の荷重がないことは旋回や探索運動に適している。匍匐段階に入ったシュートは全体の節から分枝が可能で、また相対的に茎に対する投資量が高い傾向があった(低LMA)。これらは支持物への到達機会を高めるのに適した形状と言える。逆に、登攀と下垂のシュートは葉への投資量が高かった(高いLMA、SLAおよびLAR)。また、下垂を開始した部位からの分枝が多かった。つまり、支柱上端から複数の分枝シュートが下垂することになり、マント群落の形成に貢献している。このようにクズは各段階が果たすそれぞれの機能に応じて異なる形状をしていると考えられた。
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