本研究では、環境演出特性の一端を明らかにすることを研究目的とする。そのために、愛知博で実施された705件の催事を研究対象とし、催事要因からのアプローチによる催事空間を考察してゆくこととした。考察過程は、先ず、過去に実施された博覧会催事と比較した。次に、催事要因の抽出目的に705件の催事をサンプルとして、9アイテム28カテゴリーを設定し、集計したデータを用いて主成分分析を行った。その結果、「催事主体要因」「催事要素構成要因」「催事運営要因」を抽出でき、愛知博の催事要因において装置が主導的役割となっていることがわかった。催事要因で抽出された主成分得点を用いて、一元配置分散分析により催事空間について考察を進めた。その結果、広場や通路といった屋外空間では、可変的な仮設或いは移動機能をもった装置を用いて、演者と参加者を巻き込んだ一つの環境を形成していることがわかった。以上より、愛知博の催事における環境演出特性とは、参加者の催事体験を誘発する催事空間の装置がもつ、「移動性」「可動性」であることを明らかにした。
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