抜毛症の13歳女児の治療経過を報告する。治療では描画や箱庭, 遊戯などの非言語的な心理療法をおこなった。描画では主治医と交互に行うことで治療関係に深まりがみられた。箱庭では“栄養をとる”, “ふれあい”“育む”といったことがテーマとして繰り返し表出された。その後に行われた遊戯では, 遊びを通して本児の感情の表出が見られるようになった。また, 主治医は本人の心理療法と並行して母子面接も行い, 母親に箱庭も作成してもらった。その結果, 母親は患児に対して共感的に関わるように変化した。これらの結果, 本児の抜毛は消失するとともに, 自らの感情を母親に表現するようになっていった。本症例のように, 抜毛症の症例で, 内面を表現し, 内面の成長を促すために, 非言語的な心理療法を行うことは有効であると考えられた。
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