【目的】いちごはコンポートに加工すると甘味が付与でき、酸味も抑えられ、加熱により軟らかくなる。本研究では、いちごのコンポートを真空調理と従来の湿式加熱と誘電加熱により調製し、加工に適したいちごの品種と加熱方法を明らかにすることを目的とした。
【方法】いちごはすずあかね、とちおとめ、やよいひめ、紅
ほっ
ぺ、あまおうを用いた。コンポートはいちごにシロップを加え、真空調理は真空包装後85℃で30分間、湿式加熱(煮熟)は90℃で2分間、電子レンジ加熱は500Wで90秒間加熱を行った。コンポートの糖度とpH、テクスチャー特性、破断特性、静的粘弾性を測定し、併せて官能評価を実施した。
【結果・考察】コンポートの糖度は品種や加熱方法による違いがみられなかったが、pHはやよいひめの試料が高値を示した。真空調理において、付着性はすずあかねの試料が高値を示し、みかけの弾性率はとちおとめの試料が最も高値を示した。破断応力はやよいひめとあまおうの試料がすずあかねと紅
ほっ
ぺの試料に比べ高値を示したが、破断ひずみと破断エネルギーではやよいひめの試料が紅
ほっ
ぺの試料に比べ高値を示した。官能評価では、コンポートの色は紅
ほっ
ぺとあまおうの試料がすずあかねとやよいひめの試料に比べ濃い赤色と評価され、甘味は紅
ほっ
ぺとあまおうの試料がすずあかねの試料に比べ強いと評価された。いずれの加熱方法においても、紅
ほっ
ぺとあまおうの試料が外観と総合評価で好ましいと評価された。以上より、コンポートに適したいちごの品種は紅
ほっ
ぺとあまおうであった。真空調理で調製した試料は硬さ、静的粘弾性において他の調理法とほとんど変わらない結果となり、真空調理の有効性が示された。
抄録全体を表示