食品本来の香臭を保持できる缶詰を製造できるようななんらかの方法を見出す手掛りを得ることを目的として, まず永産物をとりあげ, 鮮魚から缶詰製造工程中および缶詰熟成中に, においがどのように変るかを知るために,
アオリイカ
, サバ, カツオ, ヒメダイを用い, これら原料魚の鮮魚臭成分のうち揮発性酸性成分と揮発性塩基性成分とを減圧蒸留法により捕集してガスクロマトグラフィにより調べるとともに,
アオリイカ
, サバについては含硫化合物の含量をも調べた.
1) 魚肉の鮮度の指標として揮発性塩基窒素を測定した結果は
アオリイカ
, サバ, カツオ, ヒメダイについてそれぞれ17.1, 14.2, 21.6, 11.3mg%であった.
2) におい成分のうち揮発性酸性成分としては, 4魚種とも共通してギ酸, 酢酸, プロピオン酸が検出され, 定性的には魚穰による大差は認められなかった.
3) 一方, 揮発性塩基性成分は魚種によりかなり相違し, アンモニアは4魚種とも存在していたが量的には極めて大きく相違し, カツオ, ヒメダイに多量に存在していた.
アオリイカ
, カツオにはn-プロピルアミンが検出され, サバ, ヒメダイには
iso-ブチルアミンが検出された.サバにはトリメチルアミンも検出された.
4)
アオリイカ
およびサバについて含硫化合物を定量した結果, 硫化水素は両魚種に, メチルメルカプタンはサバに存在することが認められた.一方, 硫化ジメチルは両魚種ともに認められなかった.
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