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クエリ検索: "アキテーヌ地域圏"
9件中 1-9の結果を表示しています
  • 岡部 遊志
    経済地理学年報
    2015年 61 巻 2 号 101-120
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
    フランスにおいては地方分権が進むとともに,地域政策の担い手として「地域圏」の役割が重要になってきている.その重点政策の1つがフランス版のクラスター政策である「競争力の極」政策である.クラスター政策に関しては,その空間的なスケールとガバナンスのありようが問われているが,これらの点を踏まえて本稿では,フランスのミディ・ピレネー地域圏を対象地域にして,「競争力の極」政策が地域の産業集積と政府間関係に果たした役割を明らかにする.フランス南西部のミディ・ピレネー地域圏は,航空宇宙産業が集積するトゥールーズを中心都市としつつも,全体としては農村的で,周辺的な低成長地域として位置づけられてきた.2005年からの「競争力の極」政策により,当地域圏では,西隣の
    アキテーヌ地域圏
    と連携しつつ,「アエロスパース・ヴァレー」の名の下で,航空宇宙産業の国際競争力強化が目指されてきた。こうした政策の結果,既存の航空宇宙産業集積とIT産業との融合が図られるなど,研究開発機能の強化が促進された.資金面での中央政府の役割は低下しているものの,産業特性やガバナンスの観点からは,依然として影響力は強い.また,R&Dを促進するために「戦略分野」が設定されているが,これを空間的な観点から分析すると,広域的な連携がなされている一方で,中心都市トゥールーズの中心性が強化される傾向がみられた.
  • 辻村 清也
    Electrochemistry
    2013年 81 巻 8 号 661-662
    発行日: 2013/08/05
    公開日: 2013/08/05
    ジャーナル フリー
  • アキテーヌ、ミディ・ピレネー両地域圏における「競争力の極」
    *岡部 遊志
    人文地理学会大会 研究発表要旨
    2011年 2011 巻 310
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/23
    会議録・要旨集 フリー
    1,はじめに
     フランス政府はフランスの国際競争力の低下を懸念し,2005年に「競争力の極」政策を開始した.本政策は,フランス中央政府と地域圏が共同で遂行するクラスター政策である.本政策では,官民が共同でプロジェクトを実行するプラットフォームを構築し,研究開発の強化・発展をはかっている.現在71を数える「競争力の極」は通常,地域圏ごとに設定されるが,複数の地域圏にまたがるものもある.
     本報告では,こうした複数の地域圏によって運営される「競争力の極」を,地域政策の広域連携として捉えたい.本報告では,フランスにおける「競争力の極」の広域連携が,地域の競争力の強化にどのように関わっているのか,フランス政府が広域連携をなぜ推奨するのか,これらの点を検討することにしたい.
     本報告で事例としてあげるのが,フランス南西部に位置する
    アキテーヌ地域圏
    とミディ・ピレネー地域圏の両地域圏により運営される航空宇宙産業クラスター「アエロスパース・ヴァレー」である.
     本報告では,まず両地域圏における航空宇宙産業の歴史を概観し,地域特性を明らかにしたうえで,アエロスパース・ヴァレーにおける広域連携の実態を,「ビジネス戦略分野」の参加企業のデータベースの分析とヒアリングを通じて明らかにする.

    2,両地域圏における航空宇宙産業の発展過程
     アキテーヌ,ミディ・ピレネーの両地域圏の集積の形成過程は両地域圏ともほぼ同じである.この地域の航空宇宙産業の集積は,第2次世界大戦前に軍需産業が疎開してきたことからはじまる.その後1960年代の産業の地方分散政策の対象地域となり,両地域圏,特に両地域圏都であるボルドーとトゥールーズにはハイテク産業や航空宇宙産業関連の教育・研究機関がパリから移転した.特にトゥールーズは1970年代にエアバスの本社がパリより移転するなどフランスの航空宇宙産業の中心地となった.
     このように発展過程は共通しているが,両地域圏の産業の地域分布は異なる様相を見せる.
    アキテーヌ地域圏
    の航空宇宙産業はダッソーが中心となる.ダッソーの製造拠点はボルドーやビアリッツに所在し,比較的,地域圏全体に分散している傾向にある.
     これに対し,ミディ・ピレネー地域圏にはエアバスの生産拠点やそのサプライヤーが集積しているほか,航空機などの搭載システム分野が著名である.なおこれらの産業はトゥールーズとその周辺の自治体に一極集中している.

    3,アエロスペース・ヴァレーにおける広域連携
     アエロスパース・ヴァレーはトゥールーズを中心とし,ミディ・ピレネー,アキテーヌ両地域圏にまたがる航空宇宙産業に関するクラスターであり(図2),300社以上の企業,約65,000人の雇用者を有する.
     アエロスパース・ヴァレーでは,表に示したように,9のビジネス戦略分野が設定されている.ここでは,各ビジネス戦略分野への参加企業の地域分布を分析し,広域連携の実態を分析したい.
     ビジネス戦略分野は参加企業の地域分布によって3つの分類に分けられる.分類Aはトゥールーズへの集中が顕著な分野であり,ビジネス戦略分野の4,5,6,7が含まれる.この分野は航空機や衛星などの搭載システムといったシステム開発や,それに関連したサービスが中心である.これらの分野はトゥールーズにおいて最もポテンシャルを有する分野であるとされている.
     分類Bは両地域圏都へ集中している分野であり,ビジネス戦略分野の3と9がこれに該当する.新しい技術の開発がこの2分野では重視されており,研究機関などの参加が多くなっている.
     分類Cにおいては参加企業が両地域圏全体に分布する傾向にある.この分野はサプライヤーやメンテナンスといった分野を重視しており,中小企業の参加も多くなっている.
     これらから,アエロスパース・ヴァレーのビジネス戦略分野の特徴として,1)航空宇宙産業の中心地であるトゥールーズの支援,2)研究・開発における両地域圏都の重視,3)中小企業などの援助を通じた両地域圏全体への配慮,が挙げられる. 2)と3)は両地域圏に関わるものであり,中小企業支援と新技術開発の分野で広域連携を推進しているといえよう.

    4,おわりに
     アエロスパース・ヴァレーは両地域圏を,広域連携を行うことによって結び付け,より高い競争力を発揮できる基礎を構築しようとしている.しかし,依然としてトゥールーズのみを支援するビジネス戦略分野が多く,トゥールーズとその他の地域との間の格差を招きかねないという課題が残っている.
  • 沼田 善夫
    森林科学
    1995年 14 巻 24-31
    発行日: 1995/06/01
    公開日: 2017/07/31
    解説誌・一般情報誌 フリー
  • 市川 康夫
    地理空間
    2015年 8 巻 2 号 337-350
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/04
    ジャーナル オープンアクセス
     フランス農村は,19世紀初頭から1970 年代までの「農村流出(exode rural)」の時代から,人口の地方分散と都市住民の流入による農村の「人口回帰」時代へと転換している。本研究は,フランス農村における過疎化の展開を,人口動態や政策,ツーリズムとの関係に注目して論じることを目的とした。1990年代からの農村人口回帰は,通勤極や小都市との位置関係から,人口減少地帯である「空白の対角線」に新たな過疎化の格差を生み出した。そのなかで過疎地域の維持に重要となるのはコミューンであり,その持続性は行政範囲を補完する柔軟な領域に支えられていた。また,過疎解消に向けた政策対象は農業から農村へと転換し,法定年次休暇制度や早期離農政策は高齢者を農業から解放しツーリズムへと向かわせた。ツーリズムの展開に関わる過疎地域持続の背景には,フランスの労働観や農業文化,そして消費対象としての農村の存在があり,別荘地や二地域居住地としての役割が人々の還流を生み出していることが重要である。
  • 増田 正
    選挙研究
    2018年 34 巻 1 号 40-53
    発行日: 2018年
    公開日: 2021/07/16
    ジャーナル オープンアクセス
    エマニュエル=マクロンは,2017年フランス大統領選挙において,極右ポピュリストのマリーヌ=ルペンに勝利した。彼は公選職の経験がなく,政治のアウトサイダーであった。マクロンは次々に起こった出来事をうまく利用し,国家元首に上り詰めた。それらのチャンスには偶発的なものもあれば,必然的なものもあった。彼はあらゆる状況をうまく取り扱い,大統領の地位をつかんだのである。世論調査によれば,ルペンはたとえ相手が誰であれ,決選投票では敗北することが予想されていた。大統領任期を7年から5年に短縮した2000年の国民投票によって,分割政府(保革共存政権)の誕生はより難しくなった。時間的に先行する大統領選挙での勝利は,その直後の国民議会議員選挙における大統領多数派の形成を促進させる。政治体制の「大統領制化」によって,二つの選挙結果は自然に同期するようになったと考えられる。
  • 岡部 遊志
    E-journal GEO
    2014年 9 巻 2 号 135-158
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/11/29
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,フランスのクラスター政策である「競争力の極」政策について,成立の経緯,地域指定の仕方,産業分野・地理的分布等の特徴を明らかにするとともに,「国際的な極」7地域を取り上げ,いかなる企業間関係と政府間関係の下で,国際競争力の強化が目指されているのかを検討することにある.フランスでは,国際競争力の低下を克服することが重要な課題とされ,これまでの地方分散政策や中小企業支援策に代わり,大企業や大学の役割を重視した「競争力の極」政策が打ち出されてきた.この政策では71の極が,3つのカテゴリーに分けられて指定された.産業分野では,輸送機械製造業が多く,地理的分布においてもパリやリヨンなど,既存の産業集積地域が指定されるといった特徴が見られた.「国際的な極」には7地域が指定されたが,パリに多くが集中するとともに,バイオやICTなどの先端産業の強化が意図されていた.地域圏の役割は重要であるが,地域圏間の連携やパリの多国籍企業との連携など域外との関係も重視され,また中央政府からの支援も重点的に行うことによって,国際競争力の強化が目指されている.
  • 左地(野呂) 亮子
    文化人類学
    2013年 78 巻 2 号 177-197
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    住まいの空間をめぐる人類学の研究において、これまで、住居と象徴的、類比的関係をもつ身体や、空間の意味を読み解く媒体となる身体が注目されてきたが、感覚や運動を通して周囲の環境へと働きかけ、居住空間構築のプロセスに関与するような身体の経験については十分に議論されてきたとはいえない。そこで本論文では、フランスに暮らす移動生活者マヌーシュのキャラヴァン居住を事例として、環境や他者と関係を結びながら「方向=意味」を産出し、空間を「つくりあげる」身体の働きを明らかにすることを試みた。マヌーシュは、キャラヴァンという移動式住居を用いて野外環境を取り込んだ開放的な居住空間を構築するが、そこでは外部環境や他者との交わりの領域へと身体の正面を向ける独自の「構え」があらわれる。本論文では、このマヌーシュの身体の姿勢、ないしは環境や他者への構えを「身構え」と呼び、それが日常生活で出会い共在する他者との相互行為をどのように方向づけることで、キャラヴァン居住の空間構成にかかわるのかを検討した。そしてそれにより、マヌーシュの住まいの空間が、他者とのあいだで「共在感覚」を生み出しながら空間を拡張する身体の働きを通して構築されていることを明らかにした。
  • 左地 亮子
    文化人類学
    2014年 78 巻 4 号 470-491
    発行日: 2014/03/31
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    近年、人文社会科学の諸領域において、「語り」が意味生成に関与し、個人と他者や共同体との関係を架橋する社会的行為として注目されてきたのに対して、「語らないこと」や「沈黙」は、共同性に対立する孤立や孤独と結びつけられ中心的に扱われてこなかった。本論文は、こうした研究動向に新たな視座を提示すべく、フランスに暮らすマヌーシュの死者をとりまく「沈黙の敬意」を事例に、沈黙の共同性を明らかにすることを試みた。その際に注目したのは、服喪のあいだに死者をめぐって生じるマヌーシュの沈黙が、これまでの「死の人類学」において指摘されてきた、「個別特異な死者から集合匿名的な祖先への移行」を妨げる側面である。マヌーシュは死者の名前や記憶を口にすることを避け、遺品を廃棄する。先行研究は、この死者に属し死者を喚起するあらゆる有形無形の事物を共同体から排除するマヌーシュの態度を、死者の「忘却」を導き、死者を「集団の永続性」を保障する「匿名の祖先」に変換する手続きとみなしていた。しかし本論文では、マヌーシュの沈黙が、むしろ死者や遺族という共同体内部の個人の存在や体験の「特異性=単独性」を保護するために「敬意」という価値を与えられること、そしてそれがゆえに、個の体験を全体性の中に解消することを阻み、死者から祖先への移行が果たされる服喪の終了を先延ばしにすることを指摘した。マヌーシュの沈黙は、「個の全体への統合」を志向する調和的な儀礼モデルに抗いながら、差異の「分有」としての共同性を開示するのだ。
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